学校の窓女
窓の外を見る貴女は窓よりも透き通っている。
ペンを握ることなく、教科書を開くことなく、貴女はずっと窓の外を見つめている。
髪の毛から爪先まで美しくないものなど少しもない。
窓際の貴女は授業中に窓の方向を9割9分見つめている。
黒板は一切見ていないが、常にクラストップの成績を収めている。
綺麗さや可愛さに、頭の良さ、性格のよさ、ミステリアスさが加わり、男子たちからの人気は凄まじい。
美しすぎるが故に、彼女は幽霊ではないか?という噂が学校の中で広がっている。
その他にも、妖怪、幻などの噂は絶えない。
学校のマドンナである貴女を隣の席で眺めている時間が僕は好きだ。
その席は僕が事故に遭って一ヶ月が経った今でも教室にそのまま存在している席。
貴女と親密になる一歩手前で僕の肉体は消え去ってしまった。
貴女と相思相愛であったと僕は勝手に解釈している。
今日も貴女の横顔を隣の席から眺め続ける。
貴女が窓越しの空を常に見上げている理由が僕だと信じて。