表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぎゅうスキ! TWIST  作者: 神戸 ビーフマン
牛、檻をやぶる
14/29

ぎゅうスキ!(14) 迷い

修正しました。2016/10/28

 レンガづくりの街並みに街頭が灯る。そのオレンジの灯りはレンガの僅かな凹凸を強調し、とても幻想的に見える。空には赤、青、緑の月が昇っており、僅かな雲がその月にまるで霧のようにかかっている。

 どこかの室内だろうか。ソファーにオッサンが座っている。紫鉄血は窓から外を伺っていた。



 「もう少し上手になさい。普段はもっと馬鹿っぽいでしょうに」


 紫鉄血は優しく、少し寂しくも感じる顔で、オッサンにそう言った。


 オッサンは沈黙で応える。その眉間にはシワが寄っており、とても辛そうな顔をしていた。



 「……皆楽しそうにラピュータみたり、コタツに入ったりしてた」


 オッサンは小声でそう呟く。


 紫鉄血はティーポットから紅茶をカップに注いだ。白い湯気が立ち昇る。



 カップをオッサンの前に出す。


 「城では気づかないふり上手だったじゃない。」


 くすっと笑ってそう言った。



 「ぐっ。わかって言ってるだろ。あれは何も知らなかっただけだよ」


 少し頬を赤くして横を向いてオッサンは答える。

 カップを受け取ると口に運ぶ。



 「覚悟は決まりそう?あ。顔や態度に出しちゃだめよ」


 オッサンは再び眉を寄せ沈黙する。

 再びカップを口に運ぶ。



 「でも、笑っちゃうわね」


 紫鉄血は口に手を当て微笑む。


 「たった3人捕まえるのに、50人程度の部下を引き連れた将軍の一人充てがうかしら。あの陰険メガネ」


 そう言いながら、紫鉄血はオッサンの後ろに周り、肩に手を置く。



 「大丈夫よ。あなたが覚悟を決めきれないなら、鬼神にやってもらうわ。」



 「…でも、その場合って…」



 オッサンは後ろを振り返る。紫鉄血の柔らかい唇がそれを迎えた。


 驚きの表情を浮かべるオッサン。少し頬を染める紫鉄血。



 1秒ほどだろうか。重なる唇が離れると紫鉄血はその震える口で話す。



 「あなたが必要なの」




 * * *


 そこは灯りも付いていない部屋だった。窓からは見える月は黒い布のような雲にまきこまれており、その色はわからない。テーブルには酒のボトルが空いており、グラスは床に落ちていた。


 ベッドには男が一人横たわっており、何度も寝返りを繰り返していた。


 男は『クリエル』と言うと、男の前にウインドウが浮かび上がった。

 男はウインドウのキーボードのようなものを使い文字を綴る。



 表題:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:今日セイちんにキスされた(* ̄3 ̄)


 しばらくの後、彼の娘から返信がきた。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文: ( ̄△ ̄;)エッ・・?


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:どうやって断ったら良いかアドバイスくれ(;´Д`).


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:ちょいまち(;´д`)ノ マッテ

    どうしてそんなことになったん?


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:振り向きざまにチュ(〃ノωノ)キャッ


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:事故だろが!タヒね。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:え?でもあれは恋する瞳(灬╹ω╹灬)┣¨キ┣¨キ*


 男は「ふふっ」と笑うと、寝返りをうった。ウインドウも彼の寝返りに付き従うようについてくる。


 再び返信の赤いウインドウが男の目の前に現れた。



 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:で、何があったん?


 男は少しビクッとした。男は文字を打ち込む。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:!(*゜Д゜*)


 すぐに返信がきた。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:そういうの良いから。


 男はしばらく何度も寝返りを打つと、娘にメールを送った。

 娘からはすぐに返信がくる。

 男と娘のメールのやり取りがしばらく続いた。



 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:パパ人を殺すかもしれへん。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:それで。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:それでって。人殺しやで。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:異世界じゃん。日本の法律も適応されないじゃん。


 男はメールの返信を送るのを少し躊躇した。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:悪人だけじゃないで。善人も殺すんやで。いっぱい殺すんやで。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:うーん。面倒くさいな。

    どれか選んで。

    ▷私のために殺して。

    ▶殺してでも帰ってきて。

    ▷ママと香菜が待ってるよ。

    ▷寝れない夜はメールの相手するよ。


 男は再び「ふふっ」と笑うと、決めた選択を娘に送る。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 差出人:孤高田フランソワーズ

 本文:寝れない夜はメールの相手するよ。でよろ(っ´∀`)っ


 娘からの返信はすぐに男に届いた。


 表題:RE:パパモテキかもしれん<( ̄^ ̄)>

 宛先:孤高田フランソワーズ

 本文:今してるじゃん。(ー△ー;)


 男はそのメールを見ると、「くくくっ」と笑う。



 「帰ったら、新しい牛グッズ買ってやらないとな…」



 そう言うと、男はもう一度寝返りを打つとウインドウを閉じた。




 月は雲を抜け、一際明るく空に輝いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ