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抗争学園  作者: 三太華雄
一章
37/40

自分の役割

――学校校門前


「どうだ?奴が隠れていそうな場所は見つかったか?」

「いや、今の所は……」

「チッ、四辻の野郎、どこにいやがんだ……」


抗争が始まりニ十分が経過。

現在沖原三人の護衛をつけながら相手の組長である四辻の捜索をしていた。

 G組の狙いもB組と同様で、組長である四辻の首を取ることだ。

ただ、理由はB組とは違い、ただ弱くて狩りやすいという理由で、もし他に、停学にできそうな相手がいたなららそちらを狩ることに方針を変えることもできる。


「沖原、今平松から連絡が来ている。」


沖原は組員の一人に携帯を渡されると、苛立ちを押し殺しながらいつものように振る舞い、電話に出る。


「俺だ、状況はどうなっている?」

「今、喜田と若田部達に七人ずつ付いている、それ以外の奴らは他の奴らに数人で組んで迎撃しているがそれでも押され気味だ。停学者にまだ出てない。」

「そうか……なら今のままで構わん、足止めさえできればそれでいい。とりあえず、それ以上奴らを中庭から出すな。」

「了解、……なあ、俺もそろそろ動いていいか?」

「構わない、作戦通り、一番潰しやすいやつを狙え。」

「……了解だ。」


 そう指示を出した後、携帯を切ると、再び小さく舌打ちをする。


――クソッさっさと見つけねぇと


「さあお前ら!とっとと四辻ぶっ殺してこんな茶番の抗争なんて終わらせんぞ!この抗争に勝てば報酬として全員に百万、更にとどめを刺した奴には親元の組に沖原組から更に五百万追加で渡す、殺るのは堅気の雑魚だせいぜい励めよ!」

「おう!」



――中庭


「ぎゃあ!」

「さあさあ、次々次々!」


喜田がこの日三人目となる気絶者を出すと気持ちを高ぶらせながら警棒を振り回す。


「な、なんだよこいつら⁉️小競り合いの時よりもヤベェじゃねぇか⁉️」

「当たり前じゃん!抗争こそが、戦いこそが私達の見せ場なんだから!さぁさぁどんどんこいやぁ!」


 喜田が相手に向かって警棒を突き出し威嚇する、今日で警棒の恐怖を植え付けられた、組員たちはそのまま後ろへと駆け出す。


「こ、こんな奴ら女じゃねぇよ!」

「あ、コラ!逃げるなぁ!」


 そのままの勢いで相手を追いかけようとする喜田を秋山が止める。


「前に出すぎると……怒られる!」

「でも早くしないと逃げられんじゃん」

「大……丈夫!」


そう言うと秋山が逃げる相手七人の背中に二つの拳銃で連続で素早く打ち抜くと、打たれた七人は一斉に地面に転倒した。


「紀子ナイス!さあ、まだまだ戦いはこれからよ」

「ひ、ひいぃ!」


――若田部、片瀬ペア。


「……楽しそうだなぁ、あいつら。」

「ま、あいつらも戦闘狂みたいなもんだからな、戦うしか脳がないんだろ」

「ま、それは俺らもだろ?」

「だな」


そう言って若田部と片瀬が背中合わせで笑いあう。

二人の周りはG組組員に囲まれている、しかし頭や鼻に微かな血を流している周りの組員に対し、二人は服が汚れている程度で傷一つ付いていない。


「ハァ、ハァ、こいつら七人を相手に、クソッもう一度全員でかかるぞ!」


 組員の一人が若田部に突っ込むとそれに合わせて六人も一斉に襲いかかる。


「来るぞ、片瀬!」

「おうよ!」


 相手の四方八方からの攻撃に二人は息を合わせて避けるとそのままカウンターで顔面や腹部に殴りつける。


「がはぁ!」

「こ、こいつら……」


顔に傷を増やした組員たちが怯み始める、しかし後ろから一人の男が歩いてきた。


「ガッハッハッ、なかなかやるじゃねぇか。」


聞こえた笑い声に全員が声の方を振り向くと、そこには棍棒を片手に持ちながら歩いて来る平松がいた。


「平松、来てくれたか。」

「へ、やっと主力が出てきやがったか」


平松が来た事により意気消沈気味だったG組のメンバーが再び息を吹き返す、そしてそれを見て若田部と片瀬も身構える、しかし平松はG組の組員達の前を手で遮った。


「平松?」

「若田部の野郎は俺一人でやる、お前らはそこのチビの相手と他の奴らの援護に行け。」

「え、あ、ああわかった」


そう指示されると他の組員達は一部だけが片瀬を囲い残りは他の戦っている組員達の所へと駆け出した。


「……て待て、誰がチビだゴラァ!」


 チビという言葉に反応した片瀬が周りを無視して平松に敵意むき出す、すると今度は若田部が片瀬を抑えた。


「おい待てよ、指名されたのは俺だぜ?こいつは俺にやらせろ」

「……チッしゃあねえな……ならさっさとやっちまえ」


 片瀬は不満がそうに渋々承諾すると、残った他の組員を相手をし始める。


「さて、じゃあ若頭同士の一騎打ちと行こうか?」

「ガッハッハ、おうよ、沖原には一番殺りやすい奴をやれと言われてたんだがな、そんなつまんねことをするために奴の下にいるわけじゃねぇ。やっぱやり合うなら一番強ええやつとやらなきゃな」

「へ、おもしれぇ、そう言うやつは嫌いじゃねえぜ、なら、とっとと始めようぜ!」


若田部のバットと平松の棍棒がぶつかり合う。


――三羽鴉


「クソッこいつ等……」


 G組の三名の組員が目の前にいる腕を組みながら仁王立ちする鈴木に苛立ちを見せる、


「うおおおお」


勢いをつけて鉄パイプで鈴木に殴りかかる……が


「盾」


その言葉と共に鈴木の後ろに控えていた巨大な盾を持った館山が飛び出し攻撃を弾く。


「矛」


そしてその言葉に合わせて館山が下り今度は沼田が鈴木の前にでて相手を木の棒で突き刺す。


「ぐわぁ」

「畜生、コロコロと入れ替わりやがって。」

「フハハハハ、思い知ったか我らが三羽ガラスのコンビネーション、俺の合図とともに我が義兄弟たちが交互に入れ替わる、まさに最強の矛と盾の陣形、矛盾陣形の恐ろしさを!」

「あんたは何もしてねぇけどな。」

「クソ、ふざけやがってぇ……」

「さあ、この陣形、破れるものなら破ってみろ!」

「ならば後ろからならどうだ!」

「え?」


 突如背後から声が聞こえ振り向くと鈴木が振り向くと背後には、別の場所で戦っていたはずのG組の組員がバットを振りあげていた。


「げ、ヤバ!」


 相手のバットが鈴木の頭に振り下ろされそうになったその瞬間、敵のコメカミにどこからか飛んできたゴム弾か命中する。


「ぎゃあ!」

「た、助かった」

「大将!あんた油断しすぎだ!」

「じゅ銃弾⁉️な、なんだ何処からだ!」


組員達が慌てて弾丸の元手を探し始める。


「そうだ、俺達には……」

「いた、あそこだ!」


そして一人の組員が屋上に向かって指を差した。


「最強の狙撃手がいたんだった。」


――


「……クリア」

「次、G-4」


鷺沼から標的のいる座標を聞き、ツンコが素早くその座標の位置に銃口を合わせる。

そして風向きなどを計算しながら狙いを定めるとツンコはゆっくりと引き金を引く。


パァンと小さな音と共に放たれた弾丸は遠くにいる敵の頭に再び見事直撃する。


「……クリア」

「……以上」

「……ふう」


ツンコは一度態勢を直し一息いれる。


「他の人達は?」

「大丈夫……、ピンチなのは三バカだけ」

「ったくあいつら、絶対油断してたよね?」

「絶対してた」

「でもそれはお前らも同じだろ?」


二人が振り向くと数名の組員が武器を構えていた。


「へへへ、どんなに凄い狙撃手もこの距離とこの人数なら部が悪いだろ?」

「……」

「さあ、行くぞ!この二人をやっちまえば報酬は俺らのもんだ」


 男三人がバットを振り上げながら二人の方へ突撃する。

しかし……


ブチっ


足元で何かが切れる音がすると男たちの後ろからガタンと音がする


「へ?」


男達がそっと後ろを振り向くと屋上への扉の上に仕掛けられていた丸太が転がって来た。


「ま、丸太ぁ!」


そしてそのまま下敷きになる。


「フフフ……私が油断するわけないじゃん」



――体育館倉庫


「外が騒がしいですね……」

「うん……」


僕と百瀬さんは体育館の倉庫にある跳び箱の中でじっと息をひそめていた。

中には誰もいない分、外の音が体育館の中まで聞こえていた。


「怖いですか?」


唐突な問いに一瞬、戸惑うが百瀬さんの目線の先にある僕の手が震えていることに気づくと僕は小さく頷いた。


「……正直言うと怖い。そして何より悔しい……」

「悔しい……ですか?」

「僕は今まで痛い思いは何度もしてきたけどそれは自分の事だから耐えられた……でも今は仲間が僕を守るために戦っている。そんなことは今までなかったから、みんなが僕のせいで傷つくのが怖い、そしてただ何もしないでいる自分が悔しくて仕方がない。」

「それは私も一緒ですよ……特に私なんかは組長でもないのに守ってもらってばかりで……でも今はこうやって守ってもらうのが私たちの役割なんだと思います。」

「……そうだね守ってもらうことでも皆の役に立つというのなら僕は全力で生き延びて見せる」

「はい、私もです。」


――


「……」


ふと沖原が地面に落ちている小さなメモ帳の様なものを拾い上げるとその表紙に書かれた文字に目をやる


一年B組四辻誠


そう書かれた生徒手帳を見て沖原は目の前にある建物の扉をじっと見つめた。


「なるほど……体育館倉庫か」

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