あなたが欲しい
自分は今まで何をしてきたんだろうか。
このまま花の学生生活を終えてしまうのだろうか。
後悔、しかしていない気がする。
はぁ、とため息が自然とこぼれる。
「どうしたんだよ、ため息なんかついて。」
後ろから頬に熱い何かを押し付けられ思わずそちらの方を振り返ると、缶のココア2つを手にした君がいた。
今年の夏、君と出会ってしまった。
文化祭の時、違うクラスを覗いてみると、自分から率先して指示を出している君が輝いて見えた。
自分みたいに目標を見失っていない、こういう人になりたいと素直に思えた。
気がつけば目で追いかけていたなんて、今どきどのラブソングでも飽きられて錆び付いたワードがパッと思い浮かぶ。
こういうことなんだな、あの曲の気持ちって。
たぶん同じ気持ちなんだろう。今更実感した。
どうやら自分は君に恋をしてしまったみたいだ。
そんな時、目が合ってしまった。
ドキッとして、目線を右下にやってしまった。上手く呼吸ができない。普段無意識でしている呼吸がこんなに辛くなってしまう。
そして自分はその場を去ろうとした。
「待って!」
初めて自分に声を掛けてくれたあの時のことは忘れられない。今まで過ごしていたモノクロの高校生活が音を立てて一気に色づいていった。
「何考えてんのー。」
隣にいる君が自分の頬に指を当てた。
一瞬で体温が上がってしまうのが分かったから必死にブランコを漕ぐことに集中させた。
「何ーいきなりー!」
君も負けじとブランコを漕いだ。自然と2人の間に笑がこぼれる。段々とテンションが上がり、大笑いになってくる。
楽しい。
今、本当に、楽しい。
だから、
決心する。
徐々に勢いがなくなる自分のブランコ。ワンテンポ遅れて同じくらいになる君のブランコ。やがて完全にとまる。自分の心臓は逆に口から飛び出しそうだ。
「あのさ!」
君は首をかしげ、被っている赤いニット帽を整える。
「高校生活、あなたに出会えて、本当に楽しかったです。」
「どうしたの、急に。改まって。」
そう言って、微笑む。
「・・・・・・たが・・・・・・しい。」
「え?ごめんもういっ
「あなたが欲しい!!!」
そういってポケットに大事にしまい込んでいた小さな箱を取り出す。
「結婚してください!」
はこの中身はもちろん。
君を泣かせるのは今日で最後にしよう、と決心した。
爆発マダー?
恋愛系とかあんまり得意ではない気が
そもそも全般得意では