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茶色のやつ
中学の時、体育祭の練習に早朝のマラソンをしていた頃の話。
家から近所の廃校まで、約1キロを往復して帰ってくるというものだった。
いつものように5時に起床。
眠い目をこすり、ジャージに着替える。
あんまり眠いと、上下お揃いにならないこともしばしばあって、その日も上下で違う色のジャージを着てた。
いつも通りの風景。
早朝、すれ違う人もいない。
朝靄で少し前が見えづらい。
小さくあくびをして、注意深く前を見ていると、ふといつも通る川辺に茶色の何かが佇んでいるのを見つけた。
なにか動物だろうか。
茶色一色。手も足も頭も見当たらない。
水でも飲んでいるのかな。
そう思い、少し近づいてみたけど、それにしたって大きすぎる。158センチあった私より明らかに大きい。
180センチくらいの身長だった。
なにか奇妙だ。という好奇心と、近づいてはいけない。という危機感がない混ぜになって、私はただそこで茶色を眺めていた。
しばらくして靄は晴れ、茶色も消えてしまっていた。
あそこで近づいていたら、どうなっていたのかな。
今でもたまに、そんなことを思う。