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浮世噺  作者: 齋藤昨夜
2/13

あぁ、なるほど最近よく来ると思ったらお盆休みだったのか。

怪談はこの時期が旬だからね、何か珍しい話を聞いたら話しに来てよ。

うん。期待して待ってるね。

お盆休みはお客さんが少し増えるんだけど、ほら、うちって雑誌コーナーの横に休憩スペースがあるでしょ?

バイトの子に店任せてそこで雑誌読んでたらさ、隣で怪談をしててね。



去年の盆の話なんですけど、祖父の家に寝泊りしてたとき、僕は仏壇のある座敷に布団敷いて寝てたんですよね。

エアコンなんて無いもんで、蒸し暑くて、寝付けなくて、灯りの消えた座敷で一人、寝っ転がってスマホでゲームやってたんですよ。

夜が更けるのも気にしないで遊んでたら、僕のすぐ横のガラス窓から「コツン、コツン」って音がするんですよ。ノックでもするみたいに。

でももう深夜2時過ぎですし、とっくに親類はみんな寝てるんですよね

その音っていうのも意識しなければ聞こえないような音なんですけど、仏壇の前でしかも夜中で周りが暗いものですから音が目立つんですよ。

音なのに目立つっていうのはなんだか変な言い回しなんですが、「コツン、コツン」っていう音が気になって仕方なくなる訳ですよ。

考えれば考えるほど不安になるので、もう寝てしまおう。と思いスマホの電源を落とそうとしたんですよ。

何をどう思ったのか、僕は電源を切る前にどうしても窓の外に何がいるのか気になりました。

こつん。こつん。と相変わらず等間隔に音は鳴り続いてましたし、流石に気味が悪いなぁと感じていたんですよ。

このまま正体のわからない相手に怯えているのも情けなく感じたんで、もっていたスマホでパッと窓の外を照らしました。

するとそこには、真っ白な顔の女が目を見開いて、額をひたすら窓に打ち付けていたのです…なんて妄想をしていたもので、手はかなり震えて、心臓もばくばくいっていたんですが、現実はそうならず、ただ木の枝が窓を叩いているだけでした。

正直拍子抜けしてしまい、変に疲れていたせいもあり、そのまま昼までぐっすり寝てしまいました。

朝になってから僕は、重要なことに気がつきました。

僕がいた部屋は一階の座敷だったのですが、窓の外に木などないのです。

今になって思えば、昨晩は木の枝が揺れるほどの風も吹いていませんでした。

僕が見たのは、なんだったのでしょうか。



っていう話なんだよ。

そういえばうちも、お盆休みは休憩スペースに誰かいるなぁ、と思って見に行くと誰もいなかったりしてね。

お客さんが増えるってのはいいことなんだけど、本を買っていってほしいよね。

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