表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロワとカラス城の魔女  作者: thruu
魔法陣にはご注意を
17/35

3.

「それしきの事、俺様ともなればすぐに分かるのだよ。ロワ君」


 そう言うと黒猫はまん丸の目を鋭い目つきにした。


「俺はお前を立派な魔法使いにしたいんだ。その俺様の気持ちは分かるな?」


 まるで洗脳でもするかのように、黒猫は声を低くして囁くように言う。


「はい!ありがとうございます。お願いします!」


 私は感動すら覚えて、そう返事をした。


「俺様の言う通りにするんだぞ。よし!!立派な魔法使いにしてやるからな」


 薄暗い中で黒猫を見つけるのは困難だったけれど、時々振り返ると見える光る目を目印に追いかけた。


 途中、何度か壁や机、棚にぶつかった。それは仕方のない事だった。進めば進むほど灯りはなくなっていく。


「すみません、ディアさん。電気つけませんか?これじゃあ何も見えなくて」


 もうどこに黒猫がいるのかも分からなくなった。


 暗闇の中で黒猫は不思議そうな声を出した。


「は?何言ってんだ?カラス城だぞ。電気なんか通ってるわけないだろ」


 黒猫の大声がどこかから聞こえる。こっそりしなくていいのか。なんて、私には言えない。


「え!そうなんですか?じゃあどうやってこの暗闇を」


 歩き回るのだろう。と考えていると、呆れたような声が聞こえた。


「見えないんだったら、灯りくらい自分でだせよ。さすがにそれくらいは出来るだろう?魔法学校になんか行かなくたって誰でも……」


 黒猫の言葉に、私は返す言葉もなかった。


「おい、まさか」


 私の沈黙に黒猫は情けない声を出した。


「はい。できません」


 仕方なく認める。姿は見えないけれど、落胆している姿は想像できる。私にとって、誰かをがっかりさせる事なんていつもの事なのだ。けれど、黒猫は違った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ