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幼馴染の一時 シリーズ

幼馴染の一時 高校一年の夏休み編

作者: 森崎優嘉

私立蕎鈴高校。トップクラスの高校と称され、成績優秀者が多く集う学校である。そしてその中でも生徒会は成績上位の者達が所属しており高い人気を誇っている。


蕎鈴高校は先週から夏休みに入り、部活動やその他活動などをするために校内は賑をみせている…それは生徒会室も同じだった。


「今年も夏は暑いな…」

「この部屋は冷房ついてるから暑くないだろう」

「そういうことじゃない!まったく吹雪はノッてくれないんだから!!」

「なんでもいいから黙って仕事しろ、お前の仕事が終わらないと和斗と美奈の仕事ができないぞ」

「そうですよ竹都先輩、速く終わらせてください」

「むっ!和斗くんは美奈ちゃんと速く帰りたいだけなんでしょー!」

「借りたい本があるので」


むむー!!と叫ぶのは生徒会会計の青井竹都(あおいたけと)。それを冷ややかな目で見ているのが生徒会長の藤堂吹雪(とうどうふぶき)である。


「最近和斗くん僕の扱いひどくなってない?」

「ソンナコトアリマセンヨ-」

「カタコトで言わないでっ余計に傷つくよ!」

「口より手を動かせ」


若干渋い顔をしていたが終わらないかぎり帰れないのは自分でも困ることに気が付き竹都も作業を再開したのだった。



「ただいま戻りました」

「あ、美奈ちゃん!おかえり~」

「すまないな美奈」

「いえいえ、これくらいどうってことはないですよ」


そう言って美奈は自分の席に座った。

それから数分後、生徒会室の扉が開いた。


「遅くなってごめんなさい」


そう言って入ってきたのは生徒会副会長、藍堂秋葉(あいどうあきは)だった。


「秋葉先輩、今日もモテモテですね」

「うれしくないわ」


彼女が遅れてくる理由はいつも同じ…それは彼女のファンたちにいつも囲まれるため生徒会室に行きたくても行けないのだ。


「ファンの人達ももう少し大人しくできないのでしょうか」

「はぁ…美奈ちゃんと和斗君のファンを見習ってもらいたいわよ」

「私のファンは知りませんけど、和斗のファンは会員№1の人と№2の友人が仕切っているので大丈夫みたいですよ」


№2とは美奈と同じ中学出身、なんと高校も同じになった宮野遥(みやのはるか)のことである。彼女曰く「プリンス様が安全に過ごせるよう、過激派の方たちへの警告もバッチリです!あと、秋元さんのファンクラブと協力してお二人を見守っていく会が最近発足されました!ちなみに私は見守っていく会の会長を務めています!!」

とのこと。


「はぁ…羨ましいわ」


そう言って秋葉は自分の席に着いた。




現在の役員は5人いる。

会長 3年 藤堂吹雪

副会長 3年 藍堂秋葉

会計 2年 青井竹都

書記 1年 冬川和斗

   1年 秋元美奈


「…改めて今の役員を見ると、来年が心配ね。もちろん和斗君と美奈ちゃんは大丈夫だけど…問題は竹都ね」

「同感だ」

「二人共ひどすぎですよ!」

「だって事実だもの」

「反論できない自分が悔しいー!!!」


竹都と秋葉が言い合いをしている頃。


「和斗、仕事終わった」

「丁度な、そっちも終わったようだし帰るか」

「うん」


二人は帰りの準備をして吹雪に声を掛けた。


「会長、俺達仕事終わったので帰りますね」

「あぁ、お疲れ様。明日も頼む」

「了解しました!」

「え!二人共帰るの!?」

「仕事終わりましたし」

「ずーるーい!」

「お前は仕事が終わらない限り返すわけには行かない」


竹都の悲鳴を聞きながら美奈と和斗は生徒会室を出た。


「そういえば和斗!今回の成績私が勝ったからご褒美ちょうだい!」

「そういえばそうだったな…何がいい?」

「この前駅前にできたケーキ屋でケーキ食べたい!」

「お前食べたいやつは全部食べようとするからな…ほどほどにしておけよ?」

「うん!あ、帰ったら本貸すね!」

「次勝ったら俺のをおごれよな」

「あたりまえだよ~」


廊下から聞こえる美奈と和斗の会話に三人は


「…あれで恋人じゃないの?」

「…本人たちは気づいていないけど、あれはもう恋人よ」

「…ずっと一緒に居たから自覚も何も無いのだろうな」


と苦笑いを浮かべていたのだった。





「やっぱりケーキはチーズケーキだね」

「よく飽きないな」


美奈と和斗はケーキを食べながら様々な会話をしていたのだが、周りに人が集まってきたため家に帰ってきた。


「はい、本」

「ありがとな」

「それ結構面白いからゆっくり読んでみてね」

「おう」


美奈の部屋では美奈がベットに寝転がり、和斗がクッションの上に座っている。二人の間に会話が無いが穏やかな空気だった。

数時間後、窓からの涼しい風が入ってくる中和斗が本を読み終わり美奈がいるベットの方へ顔を向けた。美奈は本を開いたまま眠そうにウトウトしていた。和斗がゆっくり、ベットに座る。


「…かずと?」

「まだ三時だ、一時間ぐらい寝ても夜寝られるだろ?」

「うん…」

「今日は疲れただろうし、寝てもいいぞ…起こしてやるから」

「…うん…そう、する」


そう言って美奈は眠りについた。静かな寝息が聞こえる中、和斗は違う本を開き読み始めたのだった。


数分後、ノックが聞こえた。扉を開き顔を出したのは美奈の母である秋元奈々(あきもとなな)だった。


「あら、美奈寝ちゃったわね…お友達が来たのだけど」

「4時になったら起こそうとしてたんですけど…友達?」

「宮野遥さんって言う子よ、和斗君知ってる?」

「…あぁ、知ってますよ」

「じゃあ上がらせるわね」


(確か俺のファンクラブとやらに入っている子だったよな、美奈とも仲良くしているようだし)


「お邪魔します…と!?」


入ってきた遥が大声を出しそうになって寝ている美奈を見つけ口を抑えた。


「プリンスがそばにいて安心しているように寝ているプリンセス…グッジョブです!」


と小声で叫んだ。それを和斗が苦笑いを浮かべた。


「今日の生徒会で疲れたんだろうな、校内中を歩きまくっていたし」

「秋元さんも冬川様がおそばにいられると本当に安心しています。お一人だとどうしてもファンの視線が気になるようで…」

「そうか…でも、美奈はあの性格だしな。辛いのを我慢するから危なっかしい…宮野さん、これからも美奈のことをよろしく頼む」

「はい、プリンスとプリンセスを見守る会の会長として、友人として、秋元さんを支えていきます!」


和斗は遥の言葉に頷き、眠る美奈の頭を撫でた。


(秋元さんを見る冬川様の表情が柔らかい…ああもう輝かしいです!!…秋元さんをしっかり支えてあげないと!!!!)


と、心ながらに改めて決心したのだった。


4時になり和斗が美奈を起こした時に


「ふぇ…もうよじ?」

「ああ…おはようお姫様?」

「ん…おはよう王子様」


そう言って和斗に抱きついた美奈にそれを受け入れる和斗、美奈の背中を子供のようにポンポンと叩きながら「おはよう美奈」と再び挨拶「おはよう和斗」と美奈も返事をする。

そんな光景を横で見ていた遥は顔を赤くしながら「プリンセスとプリンスが…はうっ!素晴らしい!」と叫んだのだった。

   


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