表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

友達にもらった大切なお守り

作者: 天寺 桜

「おまえ、いつもそれ持っているよな」



 これは二年前、外国に行ってしまった友達からもらった必勝のお守りだ。

 その年はオレもあいつも受験だった。

『一緒に同じ学校受かろうな!』

 そう言ってあいつは、オレに合わせてレベルの高い学校を目指していた。

 今思えば、あれはだいぶ無茶だったと思う。あいつ、授業態度が良くて成績は悪くない方だったけど、テストでは点が取れなくて、いつも先生に難癖つけてたから。

 七月になって、夏休みが始まって、残り日数あと二週間ぐらいだった時、いきなり

『お前の家、今すぐ行っていいか? 勉強教えてほしいんだ』

 と電話かけてきたときは少し驚いた。それまでずっと会っていなかったから。

 あいつの家はオレの家から少し遠めで、自転車でも十五分ぐらいはかかる距離だった。

 なのにあいつは、電話の後、五分ぐらいでついて、オレの母さんがすごく驚いていたのを覚えている。

『こっちに向かっている途中で電話したんだよ』

 その後は、勉強を教えて、問題解いての繰り返しで時間は過ぎていった。

 もう時間が遅くなって、さすがにそろそろ帰らなければいけない時間になった。

 あいつが勉強道具をしまっているのをぼんやりと見ていたら、いきなりお守りをつきだして

『これ、やるよ。だから、絶対受かれよ、高校』

 と言った。あの時は思わず受け取ってしまったが、今更よく考えると、あの台詞はおかしかった。オレは受からないけど、せめてお前だけでも受かれよ。そうともとれた。

 あいつは、お守りを渡したあと、何も言わずに帰ってしまった。お守りについての説明もせずに。

 夏休みが終わって、学校が始まってすべて分かった。

『残念だが、海外への引越でね』

 それを聞いて、なぜあいつがお守りを渡してきたか、すぐに分かった。自分は受けられないからだ。

 その時はひどく落ち込んだなあ。なんで言ってくれなかったんだろうって。

 今ではその理由もなんとなく分かったけど。

 その後オレは頑張った。おかげで行きたかった高校にも受かって、今は青春をエンジョイしている。



「なあ、それ、なんなんだ? お守りだよな。そんなに大切な物なのか?」

「え? なに、そんなに知りたいのか? そこまで追求されると逆に言いたくなくなるんだよなあ」

「いいじゃねえか、教えろよ」

「えー……」


 オレは今日もこのお守りで一日を勝利の日にしようと思う。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

お時間があればぜひ評価と感想のほうもお願いします。

辛口な評価と感想、お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] シンプルで話がまとまっていて読みやすいです! [気になる点] 悪い点というより、私だったらこうするって意見なのですが、最初の「おまえ、いつもそれもってるよな」の前後どちらかに、主人公のオレ…
[良い点] 男同士の友情、素晴らしいですね。 外国に行った友達が凄くいいやつで好感が持てます。 [気になる点] すごい驚いていた→すごく驚いていた この場合のすごい、はあくまでも話し言葉なので、…
2014/01/27 23:17 退会済み
管理
[一言] 拝読させていただきました。 男の友情ですね。 オレが青春をエンジョイしているように、友達も青春をエンジョイしているのでしょうか。そうだといいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ