8 増える仲間と車両交換
「初めて聞きましたよこのGCTで本名なんて」
シマリが更なる傷口を広げようとする。
「ちょっと、ちょっと」
シノミが慌てているが、
「あらあら~大変なことになってしまいましたわ」
ヒメは笑いながら状況を面白がっているかのように見える。
「ちょっと、ヒメにあれほど本名をいっちゃだめって言ったのにさっそく破るなんてー!」
「まぁまぁ落ち着いて。美・夏・ちゃん」
雅一が言ったら、
シノミがUMPの銃口を雅一の方に向ける。
「次にしゃべったら頭が吹っ飛ぶわよ。」
すぐに雅一は手を挙げて、
「撃つな!はやまるな!話せばわかる!!」
大声でわめく。
「しゃべるなって言うのが聞こえなかったのかなー??」
シノミはUMPのセーフティーを解除する。
「2人とも落ち着いて」
カノンがUMPを手で持ち上にあげる。
最初の原因はお前だろうと雅一は心の中でつぶやく。
「そうですわ!……えっと、シノミちゃん!人にむやみに銃を向けては、いけませんわ」
ヒメも2人の喧嘩の仲介をする。
元々の原因は誰かな?そんなことを二人して考えていたことは二人とも知らず。
「それで、あなたたちは、フリーの傭兵ってことでいいのね?」
カノンが一番最初に口を開いた。
「そう、でもヒメは今日が初めてなの。私が誘ったせいで」
シノミが顔を下に向ける。
「シノミちゃんそんなこと気にしてませんわ。」
ヒメは、暖かい笑顔で言う。
「でも……」
「それじゃあ、ヒメの事情を教えてくれないか?できる限りで」
雅一は、なるべく話をそらそうとした。
それにヒメは乗ったのか話し始める。
「私は、ずっとお家にいましたの。外出する時も周りに人がいるのが普通でしたわ。でもシノミちゃんは、そんな私を見て遊びに誘ってくれましたの。それで今日は、シノミちゃんがいつもやっている。…え~とV…R……MM…O…F…PSというのを一緒にやりましょうと言って誘ってくれましたわ。それが事情ですの。」
「なるほど、それでこのサバイバルゲームに巻き込まれたわけだ。」
雅一はヒメとシノミの話を聞いて納得する。
さらにヒメがお嬢様だと推測できる。
カノンが顎に手を置きながら
「それじゃあ、私たちのクランに入らない?これから先、二人だけじゃあ大変そうだし、旅は道連れって言うでしょ。」
「それは、嬉しいですけど」
シノミは、難しい顔をして考えているが
「シノミちゃん。いいじゃありませんか。この人達となら大丈夫だとわたくしは思いますわ。」
ヒメがシノミに目をうるうるさせながら言う。
「ヒメがそういうなら。カノンさん私たちクランにはいりますよ。」
うるうるに負けたシノミが頷く。
「さすが、美夏ちゃんですわ!」
「だから、本名言っちゃだめだって!!」
「ゴホッン。それじゃあ、“月下の灯”にようこそ。シノミ、ヒメ!MCD貸してくれるかな?」
「はい」
シノミはすぐにMCDを渡すのだが、
「えむしでぃ~???」
ヒメは頭の上にはてなマークがたくさんついているようだった。
「これがMCD。結構重要なんだから大事にしないとだめよ」
シノミがヒメにMCDの説明する。
カノンに渡す。
「これよしっと、二人ともこれからクランメンバーよ。よろしくね。」
新たに、二人仲間になった。
「私は、アヤネ。よろしく」
「シマリって言いまーす。」
「…キリ」
3人とも自己紹介を終える。
「さて、この装甲兵員輸送車どうします?」
シマリが無傷のまま残っている装甲兵員輸送車を指さす。
「そうね。それなら2両とももらっていこうか。高機動車から武器弾薬を下ろして」
カノンが提案するのだが
雅一が疑問に思ったことを口にする。
「でも、1台はシマリが運転するとしてもう1台は誰が運転するんだよ?」
「私よ」
「カノンが!?」
雅一はカノンが運転技術を持っているなんて信じられなかった。
「何でそんなに驚くのかなー私は、車両程度なら運転できる技術を持っていますー」
アヤネが、
「二人とも痴話喧嘩せず。武器弾薬の移し替えやるわよ」
「痴話喧嘩じゃない!!」×2
「息ぴったりじゃない」
「そうですわね~」
みんながクスクスと笑う。
カノンと雅一が息ぴったりな発言をしたあと高機動者から装甲兵員輸送車に武器弾薬を移し替えて最後の2人を回収しに向かった。