表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/67

1 作戦終了は作戦開始の合図

「そういえば、あんたって魔法が使えたよね」

「ん? そうだったな」

 オレンジ色のポニーテールを揺らしながら話しかけてくるカノン。

 今は、荒れ果てた市街地の駐屯地で休息を取っていた。別のクランが警備をしてくれているおかげで、ミノマサたちのクラン『月下の灯』は、ゆったりと過ごしていた。

「そんな設定も忘れてる?」

「最近、銃しか撃ってないからな」

 そう言いながら、ホルスターに収めてあるグラッチを指さす。

「それもそうね」

 カノンは珍しく笑う。珍しいというのは、この何とも言えない優しい笑みだった。

「魔法がどうかしたか?」

「あなたって、あっちの世界だと何してたの?」

「あっちだとな、俺はサポート付加要因の剣士だったな。自分を強化したり、他人を強化したりしながら、パーティー組んで、第一巻き込まれた日も、仲間から呼ばれてたんだ」

 もうログアウトできなくなって、かなりの日数が経過していた。いままでの出来事が一瞬のように駆け抜ける。

「それじゃあ、水とか火とか、光とか出せないの?」

「それぐらいの低レベルでいいなら簡単にだせるぞ」

 そう言いながら、水をちょろちょろと出して見せた。

「ちなみに、飲むことも可能だ」

 水をそのまま口に含む。以前もRPGをしていたときに試したことがあり、意外においしかったのだ。実際、VRでの飲食は必要ない。

「そう、これからは、マサが魔法を使えることを前提にしないと」

 カノンは顎に手を置きながら思考しだす。

「次の任務が決まったか?」

「えぇ、次はエアボーンよ」

「ま、また、あの高高度降下低高度開傘ってやつか!?」

 あの忌々しい記憶がよみがえる。なんど地面にぶつかったことか。

「違う。今回は普通のエアボーンよ。前回より、かなり楽よ」

 そう笑いながら言うカノンに安心したミノマサだった。

 ただし、後日それが嘘だとわかるが、今のところは知らないミノマサ。

 翌日、10時ごろ、『月下の灯』に招集がかかる。

 集まった先には、多数のクランが集まっていた。そのうち、ほとんどが20代から10代である。ちらほら、30代40代が混じる。比率的に言えば男性のほうが多い。

 そんな集団の中、40代ぐらいの軍服を着た男が前にでた。

「今回集まって、皆には、これからエアボーンをしてもらう。場所は秩父だ」

 そうして、MCDから地図の画像が送られてきた。それを全員が見る。

「先ほど、入間を奪取することに成功した。そこから輸送機で山を縫い秩父市街に降下してもらう。目的は秩父のどこかにある敵基地の強襲だ」

 そこで、聞いていた人が手を上げる。

「質問よろしいでしょうか?」

「みとめる」

「どこかにあるということは、敵の基地は不明なのですか?」

「その通りだ。現在、空から探してはいるが見つからない。おそらく地下か、それとも山のすそ野にあると思われる。そのために、市街地で戦闘を行い。敵を巣穴からおびき出す」

 作戦は至って簡単だった。エアボーンで迅速に市街地を占拠。

 その後、敵基地のあぶりだしだった。

「作戦日時は明朝。それまでに、入間基地に行ってくれ。クランごとの降下ポイントはMCDに送っておく。以上だ。解散」

 この号令を合図に、各面々が離れだす。

もちろん『月下の灯』のメンバーも固まって動き出した。

「今回は楽ね。エアボーンで占拠だなんて」

 黒髪を淫らに揺られながらアネヤは、つまらなさそうな顔をする。

「それにしても、人使いが荒いです。もうちょっと休ませてくれてもいいのに」

 シマリが愚痴を垂れていた。

「まぁまぁ、それだけ戦力にゆとりがないのよ。それに、今回はエアボーンよ、派手にいかないと!」

 カノンが盛り上げながら、全員は一路入間基地へと移動した。


 入間基地に入る。

「広いな」

 ジープに乗っていたミノマサは驚いた。

「そりゃ、大きな飛行場ですから~。当然」

「でも、そんなに人がいないから、今回のエアボーンは小規模なのかな」

 相変わらず仲が良いカエデとシモハルはジープから顔を出す。

「おぉ、オスプレイだー。珍しい」

「お酢プレイ?」

「マサ変態!」

 シモハルは顔を真っ赤にしながら頭をたたいた。

「いたいわ!」

「言ったほうが悪い!」

「ハルが赤くなってるー」

「カエデ!」

 結局オスプレイの説明をすることなく、ジープは格納庫の前にたどり着いた。


「それで、オスプレイってなんなんだー!」

 ミノマサが叫んでしまったのを、運がよく? 聞いていたカノンが丁寧に説明した。それで約10分間話していた。

 ミノマサが理解したことは、ヘリと飛行機の中間ということだけわかった。

「カノン」

 その声につられて視線をずらすと、そこには

「シグレ! 久しぶり」

 黒髪ショートの可愛らしい容姿のシグレがいた。

「あなたもこの作戦に?」

「そういうシグレも?」

「私たちはヘリの強襲で、少し間を空けて参加するわ」

「また一緒に戦えるんだ!」

「でも、前のようなことはもうこりごりよ」

 シグレはそういいながら、ミノマサのことを睨んだ。

「なんだ、俺は厄病神かよ」

「間違えない」

「違った?」

 カノンとシグレの容赦ない一言で、精神的に倒れ伏せたミノマサだった。


 こうして、作戦は始まった。

 秩父に対するエアボーン。最初は、皆楽な戦闘だと思い込んでいた。

 これが、まさか蜂の巣を突っついたことなど、誰も知らなかった。


 人気投票を新しくしました。

 そのほかにも、こんな銃を出してほしいや、こんな作戦をしてほしいなどの書き込みもあるので、どしどし書き込んでください。

 今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人気投票を開催中です。ぜひやってみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ