8 煙幕と囮役
☆
~月下の灯~
弾薬庫とミサイル発射装置に2つ目を着け終えて、3つ目と向かっていた。
☆
~クィーン~
アヤネとヒメ、シノミの3人はレーダー施設内部に侵入して、無機質で白い通路を歩いている。
「美夏ちゃん、大丈夫なのですか?」
ヒメは心配そうにシノミの袖をつかみながら一緒に付き従う。
「大丈夫だって」
シノミはにっこりと笑いかけながら緊張をほぐす。シノミはさながらヒメを守る騎士だった。
「二人とも、ここが施設の中心部みたい」
アヤネが目の前のドアを指さす。人が2人分ぐらいの小さなドアだった。
「もう着いたの? なんで見つからなかったの?」
シノミは驚いている様子。
「それは、私を誰だと思ってるの」
MCDを見せる。MCDには0101の羅列がすごいことになっていて、ハッキングしていたことは一目でわかった。
「それじゃあ、ドアを開けるから、それと同時に煙幕張って一気に強襲。わかった?」
「はい、ヒメは後ろを見張ってて」
「わかりましたわ」
ヒメを突入させないようにという心遣いを感じたアヤネは納得する。
「3,2,1、はい」
簡単にドアが開いた。
シノミが煙幕筒を投げて、白色の煙がまき散らされる。催涙系じゃないので、息を吸えるので、ただ目隠し。
シノミはHK416を構えて椅子に座っているやつらを後ろから強襲した。
アヤネも後ろから入って来て、円形状になっている部屋の左端と右端からそれぞれ撃って行って、計6人を何も気づかれずにただ、倒した。
「制圧終了」
「ヒメ、入って来て」
「はいですの」
3人はレーダー施設の中心部の円形状の部屋を制圧をした。
「入口に、物を積んでバリケート張っておいて、私はさっそくシステムを制圧するから」
アヤネは中心の椅子に座って、ヒメとシノミは周りにある木箱から鉄板からいろいろと入口においてバリケートが完成させる。
その間、アヤネはキーボードをカタカタと音を奏でて、いったん手を止めると、
「あとは、敵が置いて行った武器を使って、少しの間持ちこたえないと」
敵の6人の傍らにはAK-74UとAN-94が置かれていて、ロッカーの中にも武器が入っているのがわかってるので、これでHK416の弾薬を節約できる。
見つかった後にはサブプレッサーの能力はほぼ意味がない。
「それじゃあ、2人とも死守するわよ」
「了解」
「わかりましたわ」
アヤネはボタンを押すと、画面が青色に染まり、ジャミングを開始した。
「さぁ、パーティーの始まりよ!」
3人は武器を手に持ち、相手を待つ。
☆
~ナイト~
3つ目の発射装置の破壊のために移動中だった時に、周りがあわただしくなった。
「ナイト2、なにがおきましたか?」
冷静に言ったつもりだけど、声が上辺ってしまう。
「こちらナイト1、ばれてはないみたいね。一応、警戒厳でそのままお願い」
「ナイト2、わかりました」
「ナイト3、了解」
2人はカノンの指示通りに3つ目へと向かった。
☆
~ペイジ~
「外が騒がしくないか」
3つ目の弾薬庫の中で爆弾を設置している最中に、外で走る音が増えたので、雅一が心配する。
「大丈夫……見つかってない」
「たぶん、まだバレてないよ」
2人は驚きを見せていなくて、平然としていた。
「それより、どうする? 外に出てから」
「……」
「そうなのよね」
外はあわただしいので出てしまったら、99%敵に見つかる。
「……不可視迷彩を使う」
キリがMCDを2人に見せる。そうすると、シモハルが納得した顔になる。
「それで行きましょ。私とマサが囮で、キリは最後の爆弾を設置をお願いね」
「……うん」
「大丈夫なのか?」
雅一がしきりに心配してしまった。キリ1人で行かせることに。
「大丈夫よ。マサより、くぐってきた修羅場違うから」
「……」
キリが雅一の事を見つめてくる。紫色の髪が左右に動いて、桔梗色の瞳が雅一の目と合う。
「信じて」
「えっ」
キリは雅一の右手を自分の左手と重ねた。そのことに雅一は踊りてしまって顔が固まる。
「信じて」
「あぁ」
信じてだけ言われて、そのまま押されて頷いた。
「……私を信じて」
「わかった。キリを信じてやる」
その様子を見て、シモハルはニヤニヤとした顔になった。
雅一は前にカノンから言われた一匹狼の話を思い出す。チームプレイ、信頼、そういうのがキリにとったら重要なのだと。
「……行く」
キリは倉庫入口で不可視迷彩を使って走り出した。
「私たちも行くわよ!」
「りょうかい!!」
2人とも大声で、飛び出した。
雅一はHK416のM320――グレネードを射出して、2,3人が固まっていたところに命中させた。
キリが右に行ったのにたいして、雅一たちは左の雑木林の方へと走って行った。
「ほらほら!」
シモハルのSR-25が火を噴く。
一発一発が相手に当たって行く。サブプレッサーが付いているので、どこから撃ってるのかだいたいの見当しかつけれない。
「マサ、4つ目の倉庫まで行くわよ」
「囮にならなくないか」
「キリの不可視迷彩が使えなくなったら、どっちにしろ見つかっちゃうから」
「そうだよな」
2人は4つ目の倉庫へと急いで、キリは不可視迷彩で目にうつらず、そのまま4つ目の倉庫を目指した。