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5 輸送機とHALO



 ☆

~月下の灯~

「救出は成功したみたいだから、予定通りに始めるわよ。みんな集まったね。それじゃあ作戦を説明するわ」

 作戦室をひとつ借りての作戦会議。救出作戦は戦車などの損害はあったものの、人的被害はゼロで終わった。

 まず最初に雅一が入ってきたときの全員の第一声が、

「なんか、かわったね」

「うん、なんかかわった」

「はい、変わりました」

「かわりましたわ」

「変わったかも」

「変わったわねー」

「…………プイ」

 キリ以外の全員は雅一の変貌ぶりに驚きを隠せないでいた。キリも実は変貌ぶりに驚いていたけれど顔を横に向けた。

 という感じで雅一のお株も若干上がり、そのまま作戦概要の説明になった。



「春日部にあるミサイル陣地の撃破だけど、まずは大型の地対空ミサイル発射機が12機。三次元レーダーと思われる施設がひとつ。これと弾薬庫の爆破が主な任務」

 作戦室にある大きな画面から航空写真が映し出される。長方形に伸びた陣地。まわりはフェンスとコンクリートで出来た塀が出来ていて、その前には戦車などの侵入を拒む堀があった。北側には川が流れており、橋などは一本もたっていなかった。西側には倉庫が立ち並び、東側にはレーダー施設とミサイル発射装置が見える。

「チームを3つに分けて、弾薬庫、レーダー施設、ミサイル発射装置に爆薬を仕込むわよ」

 全員が黙って聞いている。それぞれの緊張感が嫌でも伝わる。


「コールサインは3つ。ペイジ、ナイト、クィーン。そして、いま北上中の部隊へ確認のコールサインがキング」

「今からメンバーを発表するわ。ペイジ1キリ、ペイジ2マサ、ペイジ3ハル。ナイト1がわたし、ナイト2シマリ、ナイト3カエデ。クィーン1アヤネ、クィーン2ヒメ、クィーン3シノミ」

「えっ」

 雅一が小声で口が開いてしまった。カノンがキリとの仲が悪いのを知っていてこのメンバーにしたのだから驚いている。


「次は武器で、私はM249 MK48 Mod0 カエデとシモハルにはSR-25 他の全員はHK416のサブプレッサー装備、サイドアームにUSP TACTICALサブプレッサー装備 の弾倉が45AUTO それに、他のアタッチメントは各自渡されると思うから、確認してちょうだい。あと今回の作戦では暗視装置の使用を前提に作戦を行っていくから、それじゃあ各チームに分かれて」

 カノンがそれだけ言うとそれぞれチームごとに分かれる。


 もちろんの事、キリとシモハルが集まってきた。

「簡単にせつめいしま~す」

 シモハルが声を大きく話し始める。この雅一とキリのびみょーな空気を察したことなのはもちろんのこと。

「私たちの降下ポイントは西側。弾薬庫は全部で4つ、それらに爆薬を仕込んで、距離を取ってから爆発。その手順で行って最後に陣地を抜け出して、キング――南からの戦車部隊との合流を果たすっていう感じね」

「だいたいはわかった。今回は完璧なステルスミッションだよな」

「そうなるわね。音を立てずに忍び寄るのが基本」


 ステルスミッションにおいては、どれだけ相手に気付かれずに任務を遂行するかが重要。

「なぁ、キリ。他になにかないか?」

 雅一はキリとの話すきっかけを作るために話しかけた。

「…………なにも」

 一言ポツリと漏らしただけでそれっきり口を閉ざしてしまう。それを見たシモハルは頭を少し悩ませてカノンを恨んだ。



 場所変わって、C-17の中、房総半島の南の海岸沿いにある滑走路から東から向かっていた。

 雲が3割ぐらい見え隠れしていて空には三日月が沈みかけていた。夜の空としては暗く、青色と言うよりかは紺色に星々が見えていた。そんな中、ジェット音ひとつ立てずに動いている。さらには姿かたちもない。このC-17はアヤネが不可視迷彩と音源除去モードを装備させている。今回の作戦の一部にも使われているが敵に知られてたくないという事情で一部の特殊部隊用の機体のみ設置となった。

 今は誰も見えない機体が空を飛んでいる。


 雅一はHK416のサブプレッサー装備にUSP TACTICALサブプレッサー装備にそれに前の戦いでM4から変わった両手剣を持っていた。

「マサ、それ持ってくの? 結構重たいでしょ?」

 いつでも降下できる態勢を整えたカノンが顔を覗き込む。ゴツゴツした服装で歩きにくい。

「なんとなくだよ」


 輸送機を操縦している人からの無線が入る。

「ただいま、埼玉上空です。お降りの方はフックをかけて準備してください」

 なんとも変なアナウンスだった。

「この感覚怖いです。相手に見つかってないか冷や冷やしますよ。それでは、あと数分したら順に降下していってください」

 ドアの開閉口が開いた。目の前には薄暗い夜空、雲が薄らと輸送機の下を覆っている。星空が宙に浮かぶ中ついに時間が屋てきた。

「一番東側に到着しました。あと30秒後に降下してください」

「かわったわ」

「了解です」

「アイアイサー」

「カウント開始、10、9……5,4,3,2,1、0、Good Luck」

「行くわよ!」

 カノンの一声で3人がC-17から飛び降りた。

 高度9000からのダイブ。3人は宙に浮きながら落ちていく。


「続いて、どうぞ、カウント入ります。10、9、8……5,4,3,2,1、0、Good Luck」

「付いてきなさい!」

「ヒメ! 行くわよ」

「がんばりましょう。美夏ちゃん」

 シノミに抱えられたヒメとアヤネが降下していく。ふたつの点が空に現れた。


「次は俺たちか」

 雅一は冷や汗が流れ出て、手を握りしめている。いくら練習したからと言っても今回は死ぬこともありえる。ハロー神様のパターンもあり得るのだ。

「マサ! 元気出していくわよ!」

 シモハルが元気づける。雅一の顔は軽く緊張がほぐれた程度だが十分だった。

「最後に西側のカウントを始めます。10、9」

 10秒のカウントが長く感じられた声がスローモションで聞こえる。

「8,7,6,5」

 徐々に時は近づいて来ている。シモハルが先頭でいつでも飛び降りれる準備をしている。キリは雅一の後ろにいた。

「4.3.2.1.Good Luck」


「お先に!」

 シモハルがダイブした。一瞬で姿が見えなくなる。

 雅一はそれに続いて、輸送機の開閉口から跳んだ。

 体の重力が一気に下へと行く。浮遊感も感じながら不思議な感じだった。必死に位置がずれないように、シモハルを目で追いかける。シモハルの斜め後ろのポジションを維持する。

 後ろは見ることができないけど、キリが付いて来ているような気がした。

 雲を潜り抜ける。

 ようやく地面が見えてきた。一部の街灯で照らされている施設。はっきりとは見えない。

 ここで見つかったら全滅も覚悟しないといけないために余計に緊張感がます。こういった隠密作戦においては運も重要な要素なのだ。運がよくないと戦場では生きていけない。

 どんな知恵より技術より、最後は結局のところ運の世界だ。

 施設の輪郭がはっきり見え始めたころ、シモハルがパラシュートを開く準備をした。雅一もそれにならう。


「こちらペイジ3、パラシュートを。そして暗視装置をオンにして」

 シモハルからの短距離無線連絡で雅一は暗視装置のスイッチをオンにした。目の前が緑色と白色の世界へと変わる。

 シモハルが長方形型のパラシュートを開けた。雅一もパラシュートを開ける。この長方形型のパラシュートは操作性がよくある程度の決まった場所に降下できる。

 シモハルが弾薬庫のさらに西側にある林へと降下場所をさだめた。一か所だけ丸いヘリポートが出来ている場所へと強襲する。この際にいかにばれずに降下するかが肝だ。

 ヘリポートには銃を持った敵が2人いた。隣り合ってヘリポートを監視している。その2人にシモハルはSR-25の銃口で狙いをつけて撃つ。ひとりが倒れると驚いて、周りを見渡す。シモハル次はUSP TACTICALでもう1人の敵の頭を足でけってから発砲。乾いた音が流れるだけでうるさくもなんともなかった。

 シモハルが上手に着地した。


 次は雅一の番。ヘリポートの円状の一番真ん中へと降りていく。ここで足から歩きながら徐々に減速していくというやり方でおりる。

 右足が地面に着いた。次に左足、右足と徐々に減速していく。しかし、パラシュートが風にさらされて右へと流されていった。

「お、おっとっと」

 声を最低限出さずに踏ん張った結果、足を滑らせてこける。このままでは全体重が右にかかって下手すると骨折、最低でも脱臼と言うのは目に見えていた。

「こんなタイミングで使いたくなかったけど」

 雅一は付加魔法を使ってなんとか難を逃れた。今回の場合重量がおもかったので、相当なMPを消費してしまった。

 キリは慣れた手つきでおりてきた。

「それじゃあ、作戦開始よ」

「OKだ」

「……了解」



 こうして、各チーム任務を遂行することになった。



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