4 敵の気配とシマケンの正体
少しずつ進んでいった。
運よく、敵と遭遇することなく目標の工場へとたどりついた。
「ようやくか~」
雅一はちょっと背伸びをするのだが
「伏せて!」
その言葉を発した後カノンは、雅一を無理やりしゃがませる。
「どうしたんだ?」
小声で聞く。
「何か、向こうにある2って書いてある倉庫で人の音がするの」
カノンが壁の向こうを除きながら返事をした。
「本当か?」
足音すら聞こえていない状況で迷っている雅一だったのだが、
「さぁ、あなたの出番よ」
「俺に何させるんだ!?」
「ちょっと様子見てきてくれない?」
親指は2と書いてある倉庫を指さしている。
「あぁ、わかったよ」
「私も後ろから付いて行くから」
雅一は、近づいてみると軍服の男が三人立っていた。
何やらドアを開けようとしている。
「今がチャンスだな。カノン一人は任せる。お前が発砲したと同時に俺は突っ込むから」
「了解」
気づかれないように近づき50メートルを切ったところで、カノンがAK―47から銃弾をまき散らした。
「ほらほら!こっち!」
そのバラマキで一人が倒れて二人が体勢を立て直し銃をこちらに向けようとした時に雅一が動いた。
「スキル疾風」
スキル疾風と言うのは通常の移動速度を1,5倍上がるスキルだ。
雅一は、一人目の奴の心臓部分をぶっさし倒れかけて横になっていると同時に、さっき手に入れた拳銃グラッチをホルダーから抜き取り。
3発銃弾が飛ぶ。
その内2発が胸と腹部に直撃して倒れる。
その後カノンが頭に鉛弾を撃ち込み完全に沈黙させる。
雅一は倉庫のドアを開けて中に入って行くと。
「止まりなさい!!」
その手にはMACを持った女の子が立っていた。
雅一はつくづく女の子に狙われるのが趣味らしいと思ってしまう。
身長は150㎝前半くらいで胸が少し大きく、赤髪のショートの女の子だ。
「あの~銃を下ろしてもらえませんか?」
雅一は、カノンと同じように下から目線の言葉で話しかける。
「あんた、誰かって聞いてるの!」
「俺はですね。ミノマサと言うプレイヤーでしてね。今は月下の灯というクランメンバーなのですよ。はい」
なるべく丁寧に話したつもりだと雅一は自負する。
「月下の灯…ってでも、あんたみたいな男はいなかったはず。」
女の子は月下の灯と言う言葉に反応している。
その時にカノンが中に入ってくる。
「その人、新しく入った人だから。」
カノンを見た瞬間女の子に安心感に包まれたような雰囲気になる。
「そうなんですか?それなら許してあげます」
「許してあげるって」
この女の子の性格をだいたい把握できた雅一だった。
「この子がシマケンよ」
「えっ!名前からして男じゃないの?」
雅一はずっとシマケンを男だと思っていた。
「それは、兄貴のIDです。たまたま兄貴が途中で放置したこのIDを借りてやっていましたから。できる限り。シマリと呼んでください」
「あぁ、わかったよシマリ」
そうして、二人はシマケン…シマリと合流できたのだ。
「次は、アカネとキリとの合流ね」
カノンはMCDを見ながら言う。
「シマリ。車の確保はできた?」
シマリは自慢げな顔になり
「もちろんです。こっちに来てください。」
そこには、高機動車があった。
高機動車と言うのは陸自が配備している人員輸送用車両の事だ。
「さすが。シマリ!これでこれからの移動が楽になる。後、敵さんからの土産もあった。」
カノンは銃、弾薬と手榴弾を持ってくる。
「銃は、AK―47が二丁と、あとRPKにその弾薬の75連ドラムマガジンも二つもあったわ。これで、軽機関銃を使う事が出来る。」
RPKとは、軽機関銃で75発撃つ事が出来るソ連の銃だ。
「それでは、二人とも行きましょうか。シマリ運転よろしく」
銃などを持って高機動車に乗り込み。
シマリがエンジンをふかして、倉庫から走り去った。
新たに増えたシマリと共に二人との合流するポイントに向かうのであった。