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13 絶体絶命 マイクロガンでハチの巣を



 ☆

~トリックスター~

 屋上では弾幕支援の後に、弾倉を交換して敵の襲撃を防いでいた。

「なにあれ!?」

 カエデが今までビルによって死角になっていたところから巨大なものが近づいていてきていることに気付いた。

「このゲーム何でもアリね」

 シグレは今までゲームやって来て一番変な体験をしてるのかなと、意外に落ち着いていた。

 下から足音が聞こえたために、USP45をホルダーから取り出して、ドアへ銃口を向ける。

「ストップ! てか、何回向けられたらいいのやら……」

 肩を落としながら登場したのは雅一だった。それに続いて、トリックのメンバーが次々と登ってきた。

「ご苦労様」

「本当よね」

「それより、これからどうするの?」

 みんなホッと一息ついていたところへ、サキが釘をさした。

「どうするかな……」

「まずは、あのデカぶつが問題」

 そう言いながら指さす。

「げっ! あんなのがいたのかよ!」「えっ! あんなんがいたの!」

 雅一とシモハルがほぼ同時に驚く。

「あれをどうにかしないと」

「それなら、今ある火力を一気に投入しかないわね。敵の事も何にもわからないし」

 カノンが巨大な人の形をしたのを見ながら言った。

「だから、シノミとシマリは下の警戒。それ以外で一斉射撃による撃破ってところしか作戦がないわね」

「それで行きましょう」

「わかりました」

「賛成」

「イエス、マム」

「はいはい」

 それぞれ返事をして持ち場に着く。シノミとシマリは下の階に行き、他はそれぞれ銃を持ちながら敵がくるのを待つ。


人型の敵の全貌が明らかになった。体長は3mぐらいでそこまで大きくないのだが、右手にはマイクロガンを持ち、左手にはバレットM82が二丁腕にはまっていた。背中にはRPG-7の弾頭が撃ちだせるようにもなっている。

 マイクロガンとは、戦闘ヘリなどに搭載されているミニガンのさらに小さくして携帯性を向上させた奴なのだが、バッテリーを持ったりすると1人での運用は、不可能と言うことが分かったのでお蔵入りになった武器だ。一秒でもマイクロガンの射線にいると、あっという間にハチの巣にされること間違えなしの一品。


「なんかやばいね」

「みるからにやばそう」

 マサがAK-47

 カノンがXM8を二丁

 カエデがHK417

 シモハルがバレットM95

 シグレがSCAR-L

 サキがM27 IARを二丁

 全員が引き金に指をかけて狙う。狙うと言っても、すでに照準器のサイズを越えて入りきっていなかった。

「それじゃあ、一斉射撃開始!」

 カノンの掛け声共に射撃が始まる。

 アサルトライフルを持っている人はフルオートで弾丸を吐き出す。

 スナイパーライフルを持っている人も、先ほどの弾幕支援と同じように弾丸を素早く打つ。

謎の人型兵器に向かって射撃が開始されて、全員の弾がなくなり、砂埃をとれるのを待っていた。

「や……った?」

「まだ!」

 カエデが叫んだ瞬間、ビルの下の方が爆発した。

「えっ!」

 人型兵器は健在だった。そいつがこちらの屋上目がけてミニガンとM82を撃ってくる。

「離れて!」

 掛け声と共に、撃っていた方向とは逆方向に全力ダッシュ。

 元いたところは、文字通りハチの巣になっていた。

 原形をとどめてなく、次々と削られていっていることがわかる。さらに他の敵も同じように狙っているのか、削る速さはどんどん早くなっていった。

「どうするの!?」

「いったん、下に下がるの……は」

 屋上への出入り口はすでになかった。

 粉々に粉砕していた。

 じりじりと削られていき、下がって行く。

「打つ手なし!?」

「どうするの!?」

「俺の出番か!!」

 雅一が不敵な笑みを漏らす。

「できるの?」

「まかせとけ!」

「その割には、膝がふるえてるけど」

「うっさい! 武者震いだ!」

「はいはい」

 カノンが笑いをこぼす。

「しゃーないからマサを信じて開ける」

「いや、ちょ、まて、信じるのはやすぎじゃないか!?」

「マサ! いってこい!」

「そうだそうだ! かっこよく!」

 シモハルとカエデも後ろから言う。

「死亡フラグ立てておく?」

「それなら、あとは頼んだ!」

 シグレとサキが今回初めて茶化す。

「あのな、もうちょっと緊張感を……」

 その間も、どんどん削られていった。

「もうこのさいでしょ」

「そうそう、あとはたのんだよ!」

「だからそれが死亡フラグなんだって!」

「この作戦で見た感じ出番がゼロだから」

「いいところ見せないと! 男でしょ!」

「あのだな……俺は今から死ぬかもしれないでしょ」

 カノンが目をこすりながら

「死んでも忘れない!」

「嘘泣きで、死亡フラグを立てるな!」

 雅一がため息をつく。

「それじゃあ、いっちょうやりますか」

 雅一が考えた作戦は、ひとつ。

 ここから飛び込んだ加速を利用した攻撃。

 そのためには、剣とかがあるとさらにいいのだが、そんなものはないので、手にはM4をもった。

「それじゃあ、いっっくぜーーー!!!」

 雅一はM4を手に持ちながら屋上から飛び降りた。

 その瞬間、銃撃の嵐が襲い掛かるのだが、付加魔法プラス今回は風の防御魔法も展開した。

 何で今まで使わなかったのだよ! って突っ込みが入るかもしれないが、それは雅一のMPの少なさが起因するものだった。


「うっらぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!」

 雅一が飛び込んで落ちていく。頭が下に向き、人型兵器に狙いをつける。

 とてもゆったりした時間が流れる。

(俺も死ぬのかな……)

 付加魔法で落ちても死ぬわけではないのだが、もし攻撃に失敗した場合、ハチの巣にされる。今回も突っ込みも、M4じゃ心細い。

「それなら、あなたに力を……」

 また、頭の中から声が聞こえた。

 そうすると――M4が蒼く光った。



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