6 無双相談 銃弾の嵐が降り注ぐ
トリック1 カノン
2 サキ
3 シノミ
4 シマリ
スター 1 シグレ
2 雅一
3 カエデ
4 シモハル
☆
~トリック~
国道の横、歩道を歩いていた時
大きい発射音が聞こえた。
「RPG!?」
カノンの叫び声と共に、アスファルトの道路の真ん中に穴が開く。
「どこ?」
「前と……ところどころの建物。たぶん40ぐらい」
サキが冷静に状況を確認する。
「それなら、私たちは建物に隠れるから」
「了解」
「急ぎましょう」
「わかりました」
それぞれが、武器を持ち走り出す。
右側のカノンとシマリが小さいお菓子屋の中に入る。
サキとシノミが左側の肉屋にスライディングで入ってく。
『何だ!?』
無線から連絡が入ったので、カノンが返す。
「こちら、トリック。敵と遭遇、数は約40。バックアップお願い」
『わかった、5分待って』
「トリック1、了解」
カノンはMK48 Mod0に二脚を取り付けて、うつぶせになって撃つ。
シマリも、AUG A3を撃ちながら、カノンを援護する。
カノンの機銃掃射で、的を的確に狙えないでいる。
そこへ、シマリが3発ずつフルメタルジャケット弾を撃ち、体に吸い込まれていく。
機銃掃射などにより、鮮血が飛びちる。
カノンが弾倉を交換するときに、シマリが援護するという完璧なコンビネーションを見せて、敵を狩っていく。
「トリック3しっかり頼むよ」
「まかせて」
サキは、M27 IARに三脚を付けて、うつぶせで撃つ。
シノミはG36Cで援護する。
カノンとシマリを違って、即席コンビなのだが、うまく機能している。
「トリック2。敵はEタイプ」
Eタイプとは、民兵レベル。
サキは武器を見て判断した。
AK―47を主力兵器として持っていて、小隊単位の規則だった行動をしていない。
「トリック1、それじゃあ、さっさと殺るわよ」
「トリック2、了解」
前衛組は敵を錯乱しつつ、1人ずつ削って行った。
☆
~スター~
「バックアップって何やるんだよ?」
前方では激しい銃撃戦が開始されている。
「まずは、遮蔽物を作って……車押すの手伝って」
シモハルとカエデが、すでに塗装が剥げていて、タイヤだけが何とかついている状態の車を押す。雅一は手伝いをした。
「これでいいか」
「ありがとう」
「これで、窓ガラスを割って」
道路の真ん中にまで持ってきた車の窓ガラスを銃床で割る。
「それじゃあ、ミノマサ、周辺の警戒をよろしく」
シグレが雅一に言う。
「マサでいいぞ」
「それじゃあ、マサ。よろしく」
「了解」
雅一はM4を持って、後ろなどを見て回る。
「ハル! M95じゃ、でかいから。これ」
カエデは先程まで使っていたM21を渡す。
「サンキュー」
車をはさんで、狙撃銃で狙う。
シグレは大きなスコープを持ち、観測手。
「敵、三階建ての建物の屋上、2」
距離はだいたい200メートル前後、この距離は風などに影響されにくい長さなので、弾道計算する必要がない。
「了解」
「右をやる」
カエデとシモハルがほぼ同時に撃つ。
屋上にいた敵が落ちて地上とぶつかり、消えていく。
VRMMOに関係なしに、ネットの法則上、死体などは残っても数秒。
跡形もなく消えていく。
「次は……右側の建物に8。左側に4」
「了解、左ね」
「わかった」
M21とHK417の鉛玉が、次々と撃ち込まれていき、体へと吸い込まれる。
「このクランの女たちは、バケモノぞろいだ」
雅一はため息をつくことしかできなかった。
数は劣勢にもかかわらず、敵を容赦なく殺している。
敵はあるラインから一歩も越えられない。
越える前に鉛玉の餌食になるか、狙撃で狙われる。
さらに越えた瞬間に、体に穴が開く、といった具合。
前衛は4人しかいないにも関わらず、銃弾の嵐を吹かせ続けている。
40人を、たった数十分で片づけた。
『こちら、トリック1。クリア』
「こちら、スター1。同じく敵影なし」
☆
~館山統合司令所~
「どうしましょう………」
マユミは頭を抱えている。
いくつか考えたのだが、まったくダメだった。
地上から救出するにも、損害は大きいし、空からでも先程みたいに狙われたらひとたまりもない。
「司令官殿、どうするんですか?」
ヨウコが扉に、もたれかかっている。
迷彩服を着て、いかにも軍事そうな面構えだった。
「それを今、考えてるんです」
「救出をあきらめる?」
「それはできません!!」
マユミは大声で言ったのだが、ヨウコは驚いてはいなかった。
「そう、それなら考えないと」
「そうですけど…………」
その時に、扉があく。
ヨウコは、よろけずに扉から入ってくる相手を見る。
「私にいい考えがあります」
入ってきたのは、アヤネ、キリ、ヒメの3人だった。
3人は救出された後、館山まで来たのだが、その途中でヘリが2機落とされて、必死に逃げているということを知ってから、司令所まで急いで走った。
「え……とっ、月下の灯の救出された人たちですね」
「はい、そうですわ」
「……はい」
「あら、案外かわいい子が司令官なんだ」
それぞれが違った反応をした。
「お世辞なんて言わなくてもいいのに、それより作戦があるってなんですか?」
少し頬を赤らめてマユミが聞く。
「そうそう、ちょっとズルしてみない?」
アヤネが不気味な微笑みをした。
「ズルね……面白そう」
ヨウコも同じように笑った。
「……大丈夫なんでしょうかね…」
2人の笑いを見て、とても不気味に感じたマユミだった。