2 合流成功 ドラグーンの実力
☆
~テイワズ&ドラグーン~
学校が見え始めた。
「あれか?」
「そうね」
シグレがMCDのマップで確認をしてから頷く。
「やっとか……」
たった一キロ進むだけに、1,2時間をかけて移動していた。
「敵とはなるべく、交戦したくないから」
「家は、もっと敵を倒したい」
「サキ、飛び出さないように」
「子供か!」
少し進んで行くと民家の横の角に、敵の兵が3人いた。
「もらい!」
サキが飛び出していく。
「サキ!」
シグレが止めようとして飛び出す。
「さっそく、破ったぞあいつ…」
「みんな! 付いて来て!」
シグレに言われて、全員が走ってついていく。
サキはM27 IARを、フルオートではなく、3発ずつ丁寧に当てていく。
1人が倒れて。もう1人は頭に当たり即死。
最後の1人は、シグレが飛び出していき、相手のAK―47をもった腕をつかむ。相手は、AK―47を乱射させる。
そのまま、敵を一本背負いをして、最後にUSP45を腰につけているホルダーから抜き取り、頭に撃ちこみ殺す。
何発がくらってもしぶとく生き残っていた最後の1人を、サキがコンバットナイフで首の根元を裂き殺す。
USP45は、拳銃で.45ACP弾という大型の銃弾を使っていることが特徴的。軽量で高威力なので、対テロの特殊部隊などが好んで使っている拳銃だ。
「一本背負いって……何気にチームワークがいいな」
雅一は一連の動作に隙がなく、凄いと思った。
「しっかし、ヴァーチャルでも疲れるんだな……」
雅一が肩などを回す。
「そりゃ、肉体的負担がない代わりに、精神的な負担が多いから」
シグレが丁寧に解説する。
「精神的負担?」
「そう、周りの物を確認するだけでも、人にとったら負担になる。これは、ビルだなとか、これはUSP45だと考えるだけでも疲れる。だから、ヴァーチャルでも疲れるし、寝ることも必要なの」
「なんとな~く、わかった」
学校の校門へと行く。
「ストップ」
止めてから、塀にそって移動する。そして、鏡を使って、反射させて中の校庭と校舎を見る。
「いないようね……ミノマサは、ここで待機」
「俺の名前は、マサでいい。それで何で待機?」
「マサね。回答は、校門を見張ってて」
「了解っと」
雅一はセメントの塀にもたれかかる。
シグレを先頭に校舎の中へと入って行くのを眺めている。
「暇だな~」
雅一は、疑似的な空を眺める。
この青空全てが、ヴァーチャルだと思えないぐらい、現実を忠実に再現している。
この不気味なVRの世界に来てから、数日が経過したが、慣れたとは思えない。
「現実の世界の俺は、どうなってるのかな……」
このゲームの体感時間と、現実の進むスピードは違う。
ゲームの方が倍の時間、いられることになるのだ。
現実で 12時間過ぎたらな、こちら仮想では、24時間経過していることになる。
「大丈夫かな……」
かえってこないことを心配したが、突如
「動くな!」
後ろから声がして、素直に、手を挙げる。
「な、なんだよ……」
雅一はここでダメなのかと思ったのだが、振り返ってみると、
「カノン!」
「はーい」
カノンとシノミとシモハルがいた。
「脅かすなよ……」
「こんなところで、突っ立てる。あんたが悪い」
「そうかよ……」
「待ってろ、連絡するから……」
雅一はMCDを取り出して、インカムで連絡する。
「こちら、マサ」
『どうしたの?』
シグレの声が返ってくる。
「カノン達、別の部隊がこっちに来たぞ」
『了解、校舎の中に入って来ていいわ』
「わかった」
インカムを外す。
「校舎の中に、入っていいってさ」
「いこう、いこう」
4人が校舎の中へと入って行く。
カエデが校舎に待っていた。
「みんな、元気でよかった」
「無事だね~~」
シモハルとカエデが抱き合って再会を喜ぶ。
「こっちだよ~ 付いて来てーー!!」
カエデの先導によって3階にある教室に入る。
そこには、シマリや、シグレ、サキがいた。
「見ない顔が、2人」
カノンたちが教室に入って来て、つぶやく。
「私は、シグレ。クラン“ヴァルキュリアドラグーン”のリーダーよ」
「家は、サキ。よろしく」
先に、2人が自己紹介してきたので、それに続いて
「カノンよ。月下の灯のリーダー」
「シモハルで~す。よろしく」
「シノミ」
「了解、まずは無線で」
シグレがサキが背負っていた無線機のスイッチをオンにする。
『こちらHQ』
マユミの声がする。
「こちら、ドラグーン。合流地点で、2部隊の合流に成功」
『よかったー。それでは、今から1時間後に、爆撃機を飛ばして、絨毯爆撃をするので、学校で待機しててください。IFFを忘れずに』
「ドラグーン了解」
無線を切った。
「それじゃあ、MCDを貸して、IFFの設定するから」
シグレが言ったら、全員がMCDを渡している中で、雅一が首をかしげる。
「IFF?」
「敵味方識別の事よ。これないと、爆撃機に間違えて、殺されるかもしれないんだから」
カノンが答える。
「そりゃあ、重要だな」
雅一がMCDを渡す。
数分もしたら返された。
「これから、1時間、休憩ね」
「見張りは?」
カノンの発言にシグレが問い返す。
「対人センサーを付ければOK! 校門や、その周りは設置済みよ」
「あら、それは用意周到で」
「だから、校舎の中に、設置するだけ」
カノンが教室を出て行った。
束の間の休息が出来たのだ。