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11 ファーストフェイズのコングが鳴り響き


  ☆

~館山統合司令所~

「ここは、大胆に爆撃して、かく乱したのち……でも、う~ん。難しい」

 マユミは木更津の拡大地図を眺めながら唸っている。

「気を張らずに偵察が帰って来てからでも遅くないって」

 ヨウコが作戦室に入って来て、気を張っているマユミに声をかける。

「でも、ある程度は決めておかないと」


「もう決めてあるじゃない。偵察、制空権確保、爆撃、ヘリボーン、救出。完璧じゃない」

「でも……もしもっていうために、パターンは考えないと」

「頭を柔らかくして考えてみるんだ。一つの事を見すぎるな。たぶん、あなたは救出する事だけ見てるから、迷っている。だから、もっと広く考えればいい。木更津にいる敵兵力の排除だけを考えればいい」 

 ヨウコがマユミの肩に手を置き叩く。


「広く…ですか……」

「司令官は、木を見すぎたらダメ。森を見ないと! 木を見て森を見ずじゃ司令官失格よ」

「森……森…森、森を使いましょう!」

 マユミがひらめいた感じで作戦室の大きな画面を操作していく。

「ヨウコさん、館山にスナイパーってどれぐらいいますか?」

「そうだね……数十人はいるんじゃないか?」

「ヨウコさんは、狙撃はできますか?」

「もちろんさ、私の射撃の腕は結構いいよ」


「それなら、今からスナイパーの人を招集するので、その部隊長をやってくれませんか?」

「でも私は、オブザーバーだから……」

「関係ないですよ! お願いします!」

 マユミの目に水がたまって行き、決壊しそうだった。それに負けたヨウコが仕方ない感じに頷く。

「わかった。やる、部隊長ぐらい、やってやるよ」

「ありがとうございます。さっそく、招集しないと」


 マユミは走って作戦室を出ていく。

「元気だね……」

 ヨウコも作戦室から出て、武器の確認をするのだった。



「マイク、テス、テス。緊急ですいませんが、狙撃に自信のある方は至急作戦室に来てください。編成上、必要な場合はクランを優先させてください! もう一度言います。狙撃に自信のある方は至急作戦室に来てください。編成上、必要な場合はクランを優先させてください! 通信終了」

 アナウンスのスイッチをオンにすると、今度は別の無線から応答があった。

「はい、なんですか?」


『こちら、偵察部隊担当の“コンバットエンジェル”だが、離陸許可をくれ』

 コンバットエンジェルは空戦専門の全国区のクランだ。

「了解、こちらのコールサインは、ビーナスシルク。」

『ウィルコ。こちらのコールサインはエンジェルだ。そして、偵察機がランドシャッターだ。十二機上がるぞ!』

「こちらビーナスシルク。了解、離陸を許可します。あと、ファーストフェイズを開始します」



  ☆

~コンバットエンジェル~

『こちら、ビーナスシルク。了解、離陸を許可します。あと、ファーストフェイズを開始します』

「よし、各機聞いたか? まずはエンジェル5,6,7,8が上がれ。その次にランドシャッターが1,2,3,4が上がって、最後にエンジェル1,2,3,4、が上がる」

「了解」×11

「エンジェル5、離陸」

「エンジェル6、離陸」

 エンジェルと呼ばれている人たちが使っている機体は、F-2だ。


 F-2はF-16をもとに作り、機動性能が上がっている。さらに突出しているのが、対艦ミサイルを四発搭載できることだ。

「ランドシャッター1、出撃」

 その後、RF-15Jが飛んでいく。

 RF-15は、F-15の偵察用の機体だ。この機体には、カメラなどが搭載されていて、自衛用としては、短距離ミサイルが二発とバルカンが搭載されている。

「最後にエンジェル1 離陸」

『健闘を祈ります。それでは、偵察活動に入ってください』



 そのまま、上空を越えて雲の上に行き一気に木更津上空まで到着する。

「エンジェル3、隊長、でか物を落としませんか?」

 滑走路に止まっている。An-225の事だ。


「エンジェル1、許可する。3,4行って来い。跡形もなく消し去れ。その他は、編隊を崩すな!」

 RF-15J1機につきF-2が3機守っている編成となっている。

「エンジェル3、フォックス・ツー」

 F-2に搭載されているAAM-5が2発放たれる。

 「エンジェル4、フォックス・ツー」


 同じく、AAM-5が2発放たれて、そのままAn-225の巨体に命中する。2発が両翼に当たり折れる。さらに2発が先端部分と、ど真ん中に当たり。爆発はしないけど炎上している。

「エンジェル3、丸焼きにしました」

「エンジェル3,4 ご苦労。ランドシャッター状況はどうだ?」


「こちら、ランドシャッター1.敵はきれいに3つに分かれています。さらに一番西にいる部隊は、戦車が4両となっています。南東に向かって移動している模様」


「救出者の姿は、見えるか?」

「いえ、視認できません。やはり行って見ないことにはわかりません」

「ランドシャッターご苦労」

「こちら、エンジェル1 ビーナスシルク応答してください」


『こちら、ビーナスシルク。どうぞ』

「やはり、3つに部隊がわかれており、南東に向かって移動しています。我々は、一応滑走路に止まっていた輸送機を撃破しました。もう少し、偵察を続けます」

『ビーナスシルク 了解。燃料切れたらすぐに戻ってきてください』

「エンジェル1 了解」



  ☆

~館山統合司令所~

「やっぱり……この作戦通り行きましょ」

 ヨウコにレポート用紙を渡す。

「これで、いいんじゃない?」

「それなら、今から20分後に第二フェイズに移行します」

 マユミは自信ありげな顔していた。

「それじゃあ、私は行ってくるよ」

「気を付けて」

「死なないから心配しなさんな。今回の任務は簡単さ!」

ヨウコは余裕そうな顔で走って司令所を出て行った。

「私も頑張らないと」


 自分自身にカツを入れた。



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