9 静寂は喧噪へ
テイワズ
1・雅一
2・カエデ
3・シマリ
ソウイル
1・アヤネ
2・ヒメ
3・キリ
アンサズ
1・カノン
2・シノミ
3・シモハル
☆
~ソウイル~
敵に遭遇しないように、警戒を強めて前進していた。
住宅街を抜けようとしたのだ、小さな住宅街と住宅街の間は、田んぼが広がっており、ちょうど武装した4人が、その場所を見張っていた。
「邪魔ね……」
アヤネとキリとヒメは、敵から50mぐらい離れた民家の中に入っていた。
「……私が2………アヤネが2…」
「わかった。それじゃあ、もう少し先の所から撃つから、キリはよろしく。ヒメは、付いて来て」
「わかりましたわ」
「……了解」
キリは足音ひとつ立てずに外に出ていく。アヤネとヒメは、このまま外に出て、相手との距離を詰めていく。
アヤネがSG552のセーフティーを解除して、照準器で一人の頭に狙いをつける。
SG552とは、スイスが使っているアサルトライフルで、命中率の高さが売りの銃だ。
キリは、その間に家の裏を通って、相手に近づく。
家と家の間のわずか10mに4人がいる。1人は、塀にもたれ掛っており、3人は周りを見渡している。2人はAK―47。1人が、SVD、1人がRPGを持っている。
SVDは、ドラグノフ狙撃銃。ソ連が採用した狙撃銃で、耐久性とセミオートのために連射できるという特性を持っている。
キリは、もたれ掛っている男の塀の裏側に着く。
「ソウイル3 OK」
小さな声でつぶやく。
「いまよ」
アヤネがイヤホンで合図を送る。
キリが塀の上に登って、ピアノ線らしき紐で、相手の首を絞めてそのまま殺す。
アヤネが、SSG552の弾を三発撃ちだすと、その内、一発が男の頭に当たる。
2人が慌てて、アヤネの方を見る。キリの存在は、気づいていなかった。
キリは懐から、ベレッタ M92 エリートIA サイレンサー装備を取り出して、1人の男の眉間に銃を突き付けて撃つ。乾いた音と共に、弾が貫通して男が倒れる。
アヤネも接近していき、フルオートでSSG552をぶっ放す。何十発が当たり、倒れる。
あっという間に4人を倒すことに成功した。
ベレッタM92エリートIAサイレンサー装備は、M9として、米軍が採用している拳銃の事で、エリートIAはさらに耐久性や、精度をよくした拳銃となっている。セミオートで銃弾の数も多い。サイレンサー装備のために銃声が激減している。
「殲滅終了。キリ、ご苦労様」
「……当然」
「2人ともすごいですわ」
ヒメが2人の所に走って行く。
「ありがと。それじゃあ、駆け足で田んぼ道を踏破するわよ」
「……了解」
「はいですの」
3人は次の住宅街へと息をひそめる。
☆
~テイワズ~
「部隊を分けたのは、失敗ね」
カノンは激しく後悔している。
「今更だよ」
「今を考えないと」
状況は、最悪だった。武装した兵16人に囲まれていた。敵は、こちらに気付いていないようだが、完璧に囲まれていた。そして、3人は家の間に縮こまっていた。
「どうする?」
「それなら、家に入って窓から応戦してみる?」
1人が入れそうな窓を指さす。
「それでいいかな」
窓をそっと開けて中に入る。風呂場につながっていた。
「完璧な不法侵入ね」
「ヴァーチャルだから、大丈夫ですよ」
続いてシノミが入り、最後にシモハルが入る。
「2階から、狙撃と銃撃を加える。最初にどれぐらい減らせるかが肝よ」
3人は、2階に上がり、窓から敵を覗く。
敵は、16人。車が2台分ぐらい通れる道に固まって歩いている。
綺麗な2列の隊列となっている。
「まず、銃弾の嵐を浴びせましょうか」
カノンがMK48 Mod0を構える。
MK48 Mod0は、M249の7.62x51mm仕様で、少数対多数の戦いにおいて、威力を補えるように、弾を大きめのサイズのを使っている。
シモハルは、M24のスコープを覗く。
シノミは、G36Cのセーフティーレバーを解除して窓の隙間から、銃口をだす。
G36Dは、ドイツ軍が使っているアサルトライフルで、耐久性などが優れていて、汎用性に富んでいる。
敵が家の真横を通ると同時にカノンが口を開き
「銃撃開始」
G36Dの弾が、飛んでいき2人に当たり、1人は絶命、1人は倒れる。カノンのMK48 Mod0は、窓をぶち破って銃弾をまき散らす。狙って撃っているのではなく。ただ左右に移動させながら撃っている。それによって、数人が巻き込まれる。シモハルのM24は、正確に1人1人の胴体を狙って撃っている。
敵も反撃してきて、AK-47が、窓を割ったり木の板を穴をあけている。
3,4人が家の中に突入してくる。
カノンは弾切れのMK48 Mod0を横において、UZIを持って、階段を一気に飛び降りて3人の胴体に穴をあける。
UZIはサブマシンガンで、命中率は低いが、連射力が優れているバラマキ専門の銃だ。
カノンがまた2階に登っている間にシノミがG36Cで援護をする。
敵が全員家の中に押しかけてくる。
シモハルもM21を横において、M1014を取り出して、壁越しで散弾が飛び、貫通して敵をハチの巣状態にする。
M1014は、ボルトアクションのショットガンで、信頼性と威力においては優れている。
シモハルは、壁越しに何発も撃ち、弾切れと共に一発ずつ弾を込めていく。
シノミも、G36Dで応戦しながら、隣の部屋をぶち破って、奇襲する。
「どうだ!」
その銃弾の嵐に敵が倒れていく。
「みんな、窓から出て!!」
カノンがM67破片手榴弾を3個ほど投げ込んで、窓を出て屋根を滑って、庭でに出てから塀を越え外に出る。
シノミとシモハルも同じように出ていく。もちろん武器は、しっかりと手に持っている。
爆発と共に、手榴弾の破片が、壁という、壁を貫通していき、家の中にいる敵兵を食っていく。
3人は、間一髪で外に出ていき、東へと急いだ。