8 狙撃の銃声音は意外に響き渡って
テイワズ
1・雅一
2・カエデ
3・シマリ
ソウイル
1・アヤネ
2・ヒメ
3・キリ
アンサズ
1・カノン
2・シノミ
3・シモハル
☆
~テイワズ~
3人が慎重に歩いていると、南西の方に、とてもでかい輸送機が着陸する。
「おいおい、あれなんだ?」
雅一が二人に聞くとシマリから返答が返ってくる。
「あれは、An-225。世界最大の搭載量を誇っている輸送機です。数々のギネス記録を作ってますね」
「まてよ……あれに何が積まれていると思う?」
「たぶん、戦車が4,5両は搭載できるかと……」
「まじでか、走るぞ」
「焦らず、ゆっくり、ゆっくり」
カエデが、どうどう、と言いつつ雅一をいさめる。
「けど、橋は早く渡ったほうがいいと思いますよ」
「そうだ、そうだ」
「う、うぅぅ、わかった、わかった」
急いで橋を渡る。
「南に行くと、あの輸送機の場所に行くから、このまま南東に進んで行きましょう」
「そうだな」
「いきましょ」
南東に進路を変える。周りに遮蔽物のない、田園地帯は、しゃがみながら走って行く。
「腰がいたい……」
「シッ! 静かに!」
シマリが、雅一に注意したのちに、北東の方に指をさす。3人は田んぼの横にある用水路の中に入る。
「敵が、3。どうする?」
「狙撃してもいいけど、そうすると他の敵まで場所がしられちゃう」
「それなら、無視していこうぜ」
「行けたら、苦労しないですよ」
「そうそう」
用水路の狭い通路の中で、男1人と女2人という変わった状況にいる。
「それなら、狙撃してから考えようぜ」
「それじゃあ、答えになってないし」
「そうです」
「狙撃、狙撃」
雅一がカエデに視線を送る。
「わかったから、撃ってから考えましょ。敵の陽動に使えるし」
カエデがM21を準備する。そして、大きめのサイズの片目専用スコープをシマリに渡す。
「シマリ、観測手。よろしく」
「了解」
カエデが、M21のスコープを覗く。シマリもスコープを覗きこむ。
観測手の役割は、撃っている間の敵の監視と、周りの状況を見るために必要なのだ。
「敵の距離は、350。数は、3」
「他に敵は、見当たりません」
軍服の男はAKー47を持って、突っ立っている。いい的だった。
「一番右の奴から」
「了解」
カエデがM21の引き金を引く。M21の銃口から、7.62x51mm NATO弾が吐き出されて激しい騒音と共に、一人が倒れる。
「命中」
「もうひとり行くよ~」
2人は慌ててAKー47を構えたが、敵がどこから撃っているのか、わからずに慌てている。
M21が激しい悲鳴を上げる。
「外した」
敵の肩をかすっただけだった。
カエデがまた狙いをつける。
「敵は、右に移動中」
「まかせといて」
M21がさらに音をならす。
「命中」
「最後の一人」
雅一が唾を延びこむと同時に、銃撃音が鳴り、カエデがガッツポーズをする。
「命中。早く逃げましょう」
「マサ、退散するよ」
「了解」
南へと足を進める。
小さな住宅街を抜けて、進もうとしたのだが、一発の銃弾が窓を吹き飛ばす。
「どこ!?」
「たぶん、あの学校の屋上」
3人は学校の死角となる場所に隠れる。こそっと盗み見る。
「屋上に、動く影が4つ。たぶん、狙撃主と観測手ね」
「距離は、300。ここから先は、遮蔽物がなしだから、ここから反撃しないと」
カエデが瞬時に状況判断をする。
「それなら、俺が囮になるから、カエデとシマリで狙撃してくれ」
「大丈夫!?」
カエデが心配そうな顔をする。
「大丈夫だって、前にも言っただろ、俺はRPGのスキルが使えるんだから」
「それなら……無線のコールサイン覚えてる?」
「もちろん」
「それなら、私とシマリがそこの家の2階から狙撃するから、準備が整ったら、合図を送るわ」
カエデが玄関をぶち破って中に入る。そして、階段を上り、2階の窓の隙間を少しだけ開けてM21を構える。
「こちら、テイワズ3。テイワズ1、準備いいわよ」
「テイワズ1、期待してるぞ」
シマリが4人の位置を見て伝える。
「屋上の右上に二人」
「了解、テイワズ1 GOGO」
「了解」
雅一が塀から飛び出して田んぼの方へ走って行く。
「スキル、疾風」
雅一の走る速さが、さらに速くなり敵をかく乱する。
「1人目、もらい!」
M21の銃声が響く。
「狙撃主に命中、観測手は逃げて行きます」
「逃がすか!」
すぐに狙いをつけて撃つ。
「肩に命中、しかし倒せていません」
「まだまだ」
そのまま、4発連続に撃つ。その内3発が敵の胴体を貫き倒れる。
「観測手、ダウン。他の四人は……」
雅一は、その間に小さな土手の裏側にうつぶせになる。
「死ぬかと思った~」
家の窓が割れる。
「敵は?」
「一階部分です」
もう一発が、屋根に当たる。距離が近くなっている。
「当たれー!」
M21の引き金を引き、当たると同時に敵も引き金を引き、斜め上に当たる。
「間一髪」
「もう一人も逃がさない」
M21を連続して数発撃って、弾切れになる。
「命中、敵全滅」
「こちら、テイワズ3。オールクリア」
「テイワズ1、了解。これから学校に行くから、来てくれ」
「テイワズ3、すぐにいくわ」
「テイワズ2、了解です」
M21をしまい、家を出ていく。
ようやく、9時を過ぎたあたりだった。