5 ガソリン漏れの後にはご連絡を
☆
~月下の灯~
爆風によって視界が悪くなり、熱風が来ていた。
それによって、敵が減ったのはよかったのだが、視界を防がれていたために至近距離にくるまで、RPG―7の弾頭が見えなかった。
「まずい!!」
シマリが叫んで、ハンドルを切ったのだが少し遅く、真横に爆発する。
そのままハンヴィーが横転する。
「大丈夫!!」
カノンが敵の銃撃の中、走って横転したハンヴィーに近づいていく。
「なんとか……」
シマリが瓦礫を取り払って中から出てきた。
「まったく、ひどい目にあったものよ」
他の3人も、何とか出てくる。
「早くこっちに!」
カノンが透き通る大きな声で言って、他の4人もついてくる。
その間、シノミや雅一がM249をぶっ放して、援護射撃をする。
「煙巻いて!」
カノンの言葉に、シノミがスモークグレネードを5,6個投げてから、M67破片手榴弾を2,3個投ると轟音を鳴らす。そして、一時的に敵の反撃がやむ。
「早く、乗って!」
カノンが運転席に乗って叫ぶ。
「定員オーバーじゃないのか!?」
雅一が隣の席からもっともらしい事を言う。
「このハンヴィーを信じましょ」
2人が中に入って、アヤネとキリがはっしこに捕まり、ハンヴィーを動かす。
そのまま、敵の銃撃は単発的にあったのだが、何とか料金所が見えてくる時に、カノンがしまった~と言う顔して、後ろに向いて言った。
「ごめん……ガソリンが漏れてた」
「まじで!」
雅一が叫んだ後に、アヤネが周りを確認すると、黒い液体がタイヤを伝って、流れ出ていいた。
「流れ出ている」
「やっぱり……」
「どうするんだよ」
「そうね……」
カノンが料金所から100m辺りで、ハンヴィーを横に着ける。
「武器をすべてもってきて、マサは、無線機を持ってきて」
「了解」
全員が走って行き、雅一は無線機を大事そうに抱えながら進む。最後にカノンがハンヴィーに何か仕掛けをしてから、こちらに来た。
「作戦を言うから、よく聞いて」
カノンたちが、料金所に簡易防衛陣地を設置してからカノンが口を開いた。
「無線で、タクシーを呼ぶから、場所は、緯度35経度140のゴルフ場の所 それで今から三つに分けるから、しっかり聞いてね」
カノンがMCDに表示されている地図を見せた後に紙に文字を走り書きさせる。
「一つは、東に行ってギリギリまで川を渡らずに行く部隊。南に行って、その途中で東に行く部隊。この場所にとどまって防戦したのち、直線距離で行く部隊の三つに分ける。最初の部隊のコールサインをソウイルにして、1,2,3をそれぞれ、アヤネ、ヒメ、キリ。次の部隊のコールサインがテイワズ 1,2,3をそれぞれマサ、カエデ、シマリ。最後の部隊のコールサインがアンサズ、1を私、2をシノミ、3をシモハル。その場所の到着時間を今から24時間後の8時にするわ。だから早く来すぎてもダメだから時間調整は各自でよろしく」
走り書きのメモを雅一とアヤネに渡す。
敵の銃撃が激しくなったために、質問をする暇もなく、移動を開始した。
☆
~ソウイル~
カノンたちのいる料金所を離れて歩き出す。
幸いにも武器は無傷のために有効に使える。
「キリ。ヒメのサポートよろしくね」
「…うん」
カノンがアヤネにヒメを預けた理由は、シノミの火力支援も欲しかったためもあるが、なるべく安全に行けるとフンでの、ことだろうとアヤネは推測した。
「さて、行きましょう」
3人は慎重に進んで行った。
☆
~テイワズ~
「そういえば、タクシーってどういう意味だ?」
雅一が大通りを歩きながら、横を警戒していた二人に聞いた。
「タクシーは、輸送ヘリを呼ぶこと、大抵お金がかかるから、GCTでは、タクシーって呼ぶの」
「なるほどな~~~何事にも金はいるんだな」
3人は警戒しながら進んで行った。
☆
~アンサズ~
「みんな、ごめんね」
カノンがM249の弾薬を取り換えて、防衛できるように構築しつつ、敵からの小規模の銃撃に反撃をしている。
「それは、いわない約束でしょ!」
シモハルが、笑いながら言う。シノミも頷く。
「それで、館山に連絡しないと」
無線機のスイッチをオンにして、緊急用の回線を使って、連絡を取る。
「こちら、クラン“月下の灯”。館山統合司令所、応答してください」
『………こちら、館山統合司令所。月下の灯のみなさんですね』
若い女性の声が聞こえてきた。
「はい、タクシーのお願いで、明日の8時、緯度35経度140のゴルフ場に9人分のタクシーをお願いします」
『わかりました。状況はどうですか』
「これなら、何とかなりそうです」
突然、無線の向こうが騒がしくなる。
『…え!そうなの!?スクランブル間に合う!?』
若い女性の人が急に慌てだした。
『こちら、館山統合司令所。緊急事態です。木更津に敵の大型輸送に3機が接近しているらしいです。スクランブルでは間に合いません。山を縫ってきたみたいなのでレーダーに写らなかったみたいです』
「これから、修羅場になりそうね……」
カノンが青くなった空を見つつ呟く。