4 視界内戦闘の飛行機乗りには花の冠を
ジェットエンジンの音が近くなってきた。
さらに、戦闘ヘリからも攻撃が激しくなる。
「もうだめなのか!!」
雅一が叫んだ瞬間、戦闘ヘリが爆音を立てて、落ちて行き、戦闘機も落ちていく。
前から6機、戦闘機が飛んできた。
『こちら、フラワーリング。これから航空支援を開始する』
「ナイスタイミング!」
カノンが大声で喜ぶ。
後ろが爆風に包まれた。
☆
~フラワーリング~
館山の飛行場で休んでいた時に突如、無線から緊急支援の要請が来た。
『こちら、解放軍!!こちら、解放軍!!現在、アクアラインの旧海ほたるPAで、敵と戦闘中、至急応援を頼む。こちら、解放軍……こちらかい…!!!………』
爆発音と共に無線が途切れたのだが、飛行場にスクランブルのサイレンが鳴る。
黒髪のロングで、周りの人からは高嶺の花と言われている人が走ってこちらに来る。
「私たち、フラワーリングに出番よ!みんな乗って!」
12人が返事をして、ハンガーにおいてある戦闘機に乗る。それぞれの戦闘機には、たんぽぽの花の冠が書かれいる
『こちら、HQ。クラン“フラワーリング”は、至急アクアラインまで味方の支援に行ってください。レーダーによれば、戦闘ヘリ5、戦闘機2、その他地上目標多数。』
HQとは、ここでは館山統合司令所のことを指す。
若い女の人がなれていな様子でアナウンスする。
統合司令所には、常時アルバイトの人か、運営側の正社員がいる。
今回、HQにいた女性は、たまたまアルバイトしに来た時に、このゲームに巻き込まれてしまったのだ。出られる 方法がないなら、戦うより、こっちの方がいいと言ってHQの仕事をこなしている。
「こちら、クランリーダー了解。源さん!!NPCの整備兵に3機に爆装《爆撃装備》と、3機に対空ミサイルを搭載して!」
黒髪の人が、30代後半の体がしっかりしている男の人に向かって叫ぶ。
「あいよ!!F―15Eの三機に爆装と、F―14Dの三機をAAM-5を装備する」
NPCの整備兵たちが、次々とミサイルなどを取り付けていく、すごいてきぱきとこなす。
F―15Eに爆装を取り付けている。
F―15Eは、別名ストライクイーグル。F―15イーグルの発展バージョンだ。この機体は、空戦格闘性能はもちろんの事、爆撃を装備するところ…ハードポイントと呼ばれる場所が多く存在して爆弾の搭載量は多い。複座…二人乗りの戦闘機だ。
F―14DにAAM-5を取り付ける。
F―14Dは、トムキャットと呼ばれており、可変翼で、格闘性能、レーダーの性能がいい。複座…二人乗りの戦闘機だ。
AAM-5…04式空対空誘導弾は近距離専用のミサイル。
4分が経過したぐらいで源さんと呼ばれている人が、無線でパイロットに連絡する。
「F―15Eの二機を最初に離陸しろ!」
「了解!みんな、F―15Eそれぞれのコールサインは、コーラル1、2、3よ。F―14Dがハンター1、2,3.」
「ラジャー!」×11
全員女性の声だった。
「HQ、こちら、フラワーリング離陸準備が整いました」
『こちらHQ。了解、HQのコールサインをボックスマウンテンと呼称』
「こちら、フラワーリング了解。離陸します。コーラル1、2から行くよ!」
「了解」
幅が広い滑走路から灰色一色のF―15Eが離陸する。
その後、青色のF―14Dと灰色のF―15Eが続いて離陸して、最後に青色のF―14Dが離陸する。
房総半島のはっしこから、海に出て低空飛行で、アクアラインを目指している。
6機が、3機、3機の変則的な三角形の編隊を取っている。
「こちら、コーラル1。ハンター1,2,3が先行し空に飛んでるハエ退治を、そしてコーラル1,2,3がアクアラインにいるゴキブリ退治。わかった!?」
「こちら、ハンター1。ウィルコ」
「ハンター2も同じく」
「ハンター3、先に行ってエスコートしますね。」
F―14Dが翼を小さくして海上を先行する。
「ハンター2、いっちょねずみ花火でも上げましょう!」
「ハンター3、ゴキブリはホイホイですね」
F―15Eの3機がそれを追う。
レーダーに敵機が写る。
「こちらハンター2、敵さんの数が減ってます。ヘリが2」
「コーラル1、陸でなかなか頑張ってるみたいね。私たちもいくわよ!」
当初の報告数より数が減っていたので感心した。
「コンタクト」
F―14Dの操縦席の後ろに座っている人が言う。
「ハンター2、フォックス・ツー」
「ハンター3、フォックス・ツー」
F―14Dの両翼から一発ずつのAAM-5が発射されて、それが吸い込まれるかのように戦闘ヘリに直撃して火花を散らせる。
「ハンター1、フォックス・ツー」
F―14Dの両翼から一発ずつのAAM-5が発射されて、敵のSu-27が避けようとするが、一発が近くで爆発して操縦困難になったところを、もう一発のAAM-5で仕留められる。
「ハンター1。これからドックファイトをやる。ハンター2,3フォローよろしく」
「ハンター2、ウィルコ」
「ハンター3、派手に暴れてちょうだいな!」
ドックファイトとは、空中格闘戦闘のことで、近づいて戦闘を行うことだ。
F―14DがSu-27に近づいていく、敵から機銃とミサイルが飛んでくる。
「近いからミサイルは当たるか!」
ミサイルが近づいてきたら一気にアフターバーナーにより、一気に加速する。
アフターバーナーは、一時的にすごい加速力を得られるが、燃料の消費が極端に悪い。
ミサイルをよけてから
「フォックス・スリー」
F―14Dのバルカン砲が火を噴く。
轟音の爆発により炎の塊が出来たところを、ぎりぎり横から突き抜けていく。
「ハンター1、ハエは全て落としました」
コーラル1のパイロットがオープンでいう。
「こちら、フラワーリング。これから航空支援を開始する」
すぐに目標に食らいつく
「コーラル1、グッジョブ!コーラル2,3。次はゴキブリたたきをするよ!」
「コンタクト、エンゲージ」
F―15Eの一機が旧海ほたるPAの上に自然落下爆弾を八発落とす。
轟音と共に、コンクリートと、肉塊が飛び散る。
「ハンター2、エンゲージ」
「ハンター3、エンゲージ」
「二人とも、味方に当てるなよ」
ハンター1の心配も杞憂で終わり、ハンター2の爆弾がハンヴィーの数十メートル後ろで見事に爆発して、さらに ハンター3からも爆弾の雨を降らせて大ダメージを与えた。
「コーラル1、目標オールグリーン。帰るよ!」
「コーラル2、ウィルコ」
「コーラル3、早く帰ってシャワー浴びないと」
「ハンター1、手ごたえなさすぎ!」
「ハンター2、これからすごくなるって」
「ハンター3、不吉なこと言わない」
コーラル1に乗っている女のパイロットが、無線をオープンにして
「こちら、フラワーリング、航空支援終了。後は、頑張って!!」
無線を普通に戻して、
「こちら、フラワーリング。ミッションコンプリート」
『こちら、ボックスマウンテン。ご苦労様』
HQに連絡した後
「全機、帰還!!」
コーラル1のパイロット、“フラワーリング”のクランリーダーのミサキが全員に連絡した。
これは、唯一のルールは、視界外戦闘禁止のみで戦うGTCの空を駆け抜けるパイロットたちのお話。
パイロットの話も変則的に載せていきたいと思います。
基本、主人公がメインですので心配はいりません
このパイロットたちは、今後も登場します。ハンドルネームも、その時にわかるかと(予定)。
ウィルコの意味
「了解」
または、「命令を快諾しました」
作中に出てきたフォックス (fox)の解説
戦中に自機が攻撃を行うことを味方へ伝える符丁。使用する兵装によりフォックスの後ろに数字を付ける。分け方としては以下のとおり。
フォックス・ワン (Fox-One):ミサイル発射の際、友軍機に注意を促す符丁。米空軍/海軍ではセミアクティヴ/アクティヴレーダーホーミング・ミサイル(スパロー/AMRAAM)の発射。航空自衛隊の場合、中距離ミサイル(スパロー/AMRAAMなど)。
フォックス・ツー(Fox-Two):ミサイル発射の際、友軍機に注意を促す符丁。航空自衛隊の場合、短距離ミサイル(サイドワインダーなど)。
フォックス・スリー(Fox-Three):ミサイル発射の際、友軍機に注意を促す符丁。米空軍および航空自衛隊の場合は、機銃の発砲。