3 天然スキルはここぞという時に
シノミが叫ぶ。
「まさか…ハインド!?」
「ハインドですって!?」
カノンも運転席で驚いている。
ハインドと言うのは、ソ連の戦闘ヘリMi-24Dで、戦闘ヘリとしてはサイズがでかいが、対地攻撃能力においては、かなり優秀なヘリとなっている。さらには最大八人も人員輸送ができる。
「カノン!地対空兵器、積んでないのかよ!」
「そんなのあるわけないでしょ!」
「どうするんだよ!?」
「知らないわよ!!」
カノンと雅一が口げんかを開始する。
『どうするんですか?結構ピンチですよ!』
無線からシマリの声が聞こえてくる。
「どうしよう……」
こちらに考える暇も与えずにハインドから、12.7mm4銃身機銃から銃弾が吐き出される。
それがコンクリ―トに当たり、塵となって風に乗って舞う。
ハンヴィーにも数発かするが、致命傷は受けていない。
ハンヴィーを右に行ったり左に行ったりとフェイントをかけながら進んでいるが、徐々に照準が正確になり危ない場面が多くなる。
「この!」
シノミが、Mk.19 自動擲弾銃を撃ちこみ、一機の機銃に命中して打てなくしたのだが、横についている短固定翼からS-5ロケット弾が反撃として送り返される。
横で爆発して、
「うわ!」
シノミが下に落ちてしまう。
「よくも!美夏ちゃんに危険な目をあわせましたわね」
ヒメが、AT-4 CSをもって上部ハッチから出る。
AT-4 CSとは、対戦車弾を打ち出す事が出来る使い捨ての武器で、後ろに爆風が出ないようになっている。
「ヒメ危ない!」
「ヒメやめておけ」
シノミと雅一が叫んだのだが、ヒメが外に出てシノミを狙ったハインドに照準を合わせて撃つ。
轟音と共に成形炸薬弾が放たれてハインドにうまく当たる筈だったのだが
「あれ…………間違いましたわ」
銃口を後ろに向けて撃ったために後ろに成形炸薬弾は飛んでいく。
「ヒメ……」
シノミは、内心ほっとした気持ちになったのだが
次の瞬間に豪快に爆発音がなり、海面に着水する音が響き渡す。
「え……」
シノミが驚き
「やりましたわ!」
ヒメが驚いていた。
その光景を雅一は一部始終見ていた。
「ヒメやめておけ」
叫んだのだが、ヒメがAT-4 CSを撃つ。それが後ろに向かって撃たれて、雅一はさすがヒメだなと思っていたのだが、それがなんと電信棒の根元に当たる。
そして、爆風と共に電信棒がブーメランのように回転していきながらハインドを巻き込む。
ハインドの真横に直撃して操縦不能となったところで他のハインドに当たり爆発。
もう一つのハインドも爆発に巻き込まれて、そのまま海に突っ込んだ。
「なんじゃ、こりゃ…………」
雅一は、この一連の流れを信じられないで見ていた。
「一石二鳥とは、このことだな」
自分で勝手に納得してしまった。
「やりましたわ!美夏ちゃん」
ヒメが下に戻ってきて喜んでいる。
ちなみに、AT-4 CSは、反動と共にヒメが耐え切れずに手を放してしまい地面に落ちてしまった。
「……そうね」
シノミも信じられずに座り込んでいた。
「ヒメちゃん!やる~~」
後ろに向かって銃弾をばら撒いていたシモハルがヒメの方をむく。
「シノミ!早く持ち場について!」
カノンが前から大声で言う。
「は、はい」
すぐに上に戻って、Mk.19 自動擲弾銃を撃つのを再開する。
その間に、アヤネがM2で、プロペラ部分を当てて一機ハインドを落としていた。
あと二機は健在で一機は機銃が撃てず、ロケット弾を当ててけん制してきている。
一機は機銃が健在でこちらに銃弾の雨を降らしている。
その間にも後ろからトラックに乗って追ってきている兵士がいた。
そいつららAK―47で撃ってきている。
まだ、少ししか進んでいなかった。
2㎞と500m過ぎたぐらいに、ジェットエンジンの音が聞こえてきた。
「今度は、何!?」
『たぶん、ソ連の戦闘機のSu-27です。しかも爆弾積んでるみたいですって、カエデが言ってます』
無線からシマリの声が聞こえてくる。
Su-27は、ソ連の戦闘機で長大な航続距離とミサイル搭載能力も持ち合わせている
「何で、戦闘ヘリに、戦闘機まで来るのよ!?やっぱり、マサ!疫病神!!」
「俺は、関係ないだろ!!」
ハンヴィーに戦闘ヘリと戦闘機が襲い掛かる。