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1 夜明けの銃弾は目覚ましの代わりへと

Googleマップとにらめっこしながら書きました。


 それぞれのハンヴィーに乗って地上へと出る。

 川崎駅から少し離れた住宅街から出れた。

 全員、都市迷彩の服に、ボディーアーマーを着ている。随分重たいのだが、飛んできた破片や、拳銃の弾ぐらいな ら防げるということで、全員着用している。

「まずは、アクアラインまで向かわないと……」

 カノンが運転しながら言うと隣に座っている雅一が、

「そういえば……あの三人組どうなったんだろうな?」

「さぁ~?でも、深夜に22番ハンガーに行ったら誰も返事がなかったから、私たちより早く出たんじゃない?」

「そうなのか……」



 雅一は印象的だった三人の事を思い出しながら、廃墟を眺めていた。


 競馬場らしき残骸を横切り、人が誰もいない大通りを二台のハンヴィーが走っている。

「こちら……ルナ…こちら……ルナ…応答…して…」

 雅一の横に置いてある無線機からキリの声が聞こえる。

「こちら、アルテミス。キリ、何でとぎれとぎれなんだ?」

「……それは…」

「それは、キリの話し方だから気にしないの」

 カノンが隣からいきなり口をはさむ。

「……そう…」

「そうなのか……キリ、どうした?」

「……ルナ…って呼ぶ…」

「何で?」

 無線を持ちながら疑問に思っている。ちなみに、無線は雅一の横に置いてあり、ハンヴィーの屋根と前と後ろの三か所にアンテナがついてる。


「そんなの作戦中なんだから、敵に無線を聞かれたときに情報を特定されちゃうでしょ。」

「そんなの、ここは味方の範囲なんだろ?」

「気を抜かずに、いつも考えるの」

「はいはい。それで、ルナどうした?」

 ルナと呼ぶのに少し抵抗感があったが何とか言う事が出来た。

「…異常…ない?」

「ああ、ないぞ」

 カノンが運転しているアルテミスが先行して、シマリが運転しているルナが後ろから付いて来ている。

「…それなら……通信終了…」

 その言葉と共に無線からノイズが聞こえる。



 国道409号線を東進していく。

 川崎駅より小さい駅の前に差し掛かった時に後ろからシモハルが口を開いた。

「平和だね~~。敵もいないし、人の一人もいないよ~~」

「物騒なこと言わないでください。本当に来たらどうするの!?」

「まぁ、そん時は、そん時で」

「大丈夫ですわ。心配しないで、美夏ちゃん」

「はぁ~~。そうですか……」

 後ろで賑やかになっている。



「平和だな~」

 前の方を念入りに観察している雅一が独り言をつぶやく。

「このクランの売りよ!」

 カノンが横から自慢げに言った。



 そのまま何事もなく1キロ進んでいくと捨てて錆びついている車の残骸が放置されているところを通る。

「海が見える。」

「もうすぐ、アクアラインね。」



 短い橋を越えて石油タンクの横を通ると、カノンが速度を落とす。

「この先は、米軍が押さえているらしいけど、何があるかわからないから、全員戦闘準備。マサ!シマリ達にも連絡して」

「了解」

 雅一がすぐに無線のスイッチをオンにする。

「こちら、アルテミス。こちら、アルテミス。応答してくれ」

「…こちら……ルナ…こちら……ルナ…」

「ルナ、ここから速度を落として戦闘準備してくれ。もしも何か会った時は、首都高速湾岸線に乗って逃げるから、そのことを伝えてくれ。」

「…ルナ……了解…」

 スイッチをオフにして、雅一はM249を目の前に置いて固定する。


 同じようにシノミがMk.19 自動擲弾銃を構える。

 後部でも、シモハルがM249を出してきて固定する。もう一つのハンヴィーも同じように、アヤネが上から顔を出してM2を構えたり、キリがM249の準備をする。

「それでは、行きましょうか」

 アクアラインの料金所が見え始めると、そこに土嚢などで作られた簡易陣地が敷かれていた。

「警戒厳に」

 進んでいき、料金所まで行くと一人の兵士がこちらに来る。

「こちら、アクアラインを守っている米軍です。MCDを見せてください」

 NPCらしい、無機質な声が聞こえてくる。

「はい」

 カノンがMCDを渡す。

「認証確認、どうぞ」

 MCDを見てから返す。

「それでは~~」


 カノンたちのハンヴィーが料金所を過ぎてトンネルの中に入って行く。

 続くようにシマリ達のハンヴィーも料金所を過ぎていく。

「これで、一安心ね。情報通りだった、っていう事かしら。警戒を解くように連絡して」

 雅一は聞くと返事もせずに無線を入れて

「こちら、アルテミス。警戒終了。警戒終了」

「……こちら…ルナ…………了解」

 すぐに無線を切る。

 トンネルの中は、薄い黄色の蛍光灯で照らされていた。



 進んでいき、半分を過ぎて6,7㎞地点で、爆発音と銃撃音がトンネルの中で響く。

 その音と共にカノンがブレーキをして、ハンヴィーを止める。同じようにシマリもハンヴィーを止める。

 シマリが運転席からでてきて、こちらに来る。

「何があったんでしょうか?」

「さぁ?でも、ちょうど出口から聞こえてくるよね」

「そうですね」

 話し込んでいると無線から声が聞こえた。

『こちら、解放軍!!こちら、解放軍!!現在、アクアラインの旧海ほたるPAで、敵と戦闘中、至急応援を頼む。こちら、解放軍……こちらかい…!!…………………』



「これって……まさか私たちはめられた?」



カノンの叫びがトンネルの中で木霊した。



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