10 撤退戦序幕と銃弾の嵐
敵のAK―47から吐き出される7.62x39mm弾がコンクリートに当たって穴をあけていく。
2人は屈みながら少しずつ、がれきなどを盾に進んでいく。
「ストップ。ちょっと待ってね。」
ベルトから手榴弾を取り出してピンととり、投げ捨てる。
爆風が起き破片が舞い散る。
「今よ!」
カノンの合図と共に屈むのをやめて一気にビルまで向かう。
カノンは窓から飛び込み。
雅一はドアからスライディングみたいな感じで中に入って行く。
「二人とも大丈夫!?」
「カノン!」
「やっと来てくれたーー」
2人とも160㎝前後で1人が茶髪のショートの女の子で、もう1人が青色の髪で、後ろでお団子みたいな感じにまとめている女の子だ。その2人は、雅一に片手でもっている拳銃の銃口を向けている。
「はは…なんか俺のキャラって…」
おとなしく手を挙げてM4を地面に置く。
「2人ともその人は新しく入った人よ。」
「そうだ。ミノマサだよろしく。」
「そうなんですかー。私は、カエデといいまーす。」
先ほどの緊張した場面とは打って変わる。
茶髪のショートの女の子が拳銃をホルダーにしまう。
「私の名前は、シモハル。よろしく!」
青色の髪で、後ろでお団子みたいな感じにまとめている女の子も拳銃をホルダーにしまった。
「それで二人ともここから30分したところに車を待たせているからそこまで撤退戦よ。」
「いきなり、大変だな~」
「もう、最後はおいしいものでも食べたいよー。」
2人とも絶望的な顔もせずに逆に明るい。
カエデはM21を持っている。
シモハルはM24を持っていた。
M21はアメリカの軍隊が採用しているセミオートの速射ができる狙撃銃。
M24は、ボルトアクションの速射はできないが一発のダメージが大きい銃。
「ミノマサ!私たちがその扉から出ていくから」
カノンが銃声音でかき消されないように大きな声でいい扉の方を指さす。
「わかった!」
雅一も負けずと大きな声で了承する。
雅一が窓から顔をだしM4をぶっ放す。
撃つのだがすぐに銃撃が集中してすぐに隠れる。
「もうちょっと頑張ってよ!」
カノンたちが出るタイミングを見失う。
「ここは、私に任せなさい。」
カエデがM21を構える。
「それなら、カエデとミノマサ。援護よろしく。」
「ミノマサ君行くわよ!」
「了解!」
言葉と同時にカエデが窓から顔をだしM21を撃つ。
雅一も同時に顔をだしM4を撃つ。
「すげー」
雅一は、カエデの射撃の腕に感心していた。
一発一発が雑なのだが敵に吸い込まれるようにして当たる。
それに比べて雅一はかすりもしない。
「あたらねー」
雅一が窓の下に隠れて弾倉を交換する。
援護しているすきにカノンとシモハルは飛び出してアヤネとキリの居る場所に何とかたどりつく。
「シモハル久しぶり~」
「アヤネさんも久しぶりですね。」
「感動の再開はここらへんにして二人をどうにかしないと」
十数人の敵に囲まれて2人は動けないでいる。
徐々に押されていた。
コンクリ―トと銃弾が当たる音や貫通する音が聞こえる。
「この状況やばくないか…」
雅一が2回目の弾倉を交換している。
「弱音を吐かない!」
隣でカエデもM21の弾倉を交換している。
「あと弾どれぐらい?」
「えーと」
雅一がベルトやポケットを探って
「あと、5つある。」
「そう……それならアングレでかく乱して合流しましょう。」
アングレと言うのは、アンダーグレネードの略称だ。
「わかった」
雅一がM4を構える。
「合図しますから5・4・3・2・1・今です!」
「おら、もてっけ!!」
M4のM203 グレネードランチャーから40mmグレネードが撃ち出される。
激しい爆風と共に二人は動き出し瓦礫の下に来る。
それだけでは、敵の勢いは衰えずすぐに銃撃を再開する。
「これ以上いけん。」
雅一は、M4で敵を狙うのではなくただ威嚇するためだけに撃つ。
「ちょっとまずいですね。」
瓦礫のコンクリートがはがれていっている。
「ピンチだな。」
「そうかも……」
がれきの下で抵抗できずにいた。