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時空の歪み

4月23日改訂、





まさかこんな形で、こんなに早くに異世界に行く事になるとはな。


長期地球を離れるので、時間を作る為。家族には、アメリカの学校に通いながらソフトの開発をするって事で話が付いた。学校にはアメリカに留学した事になっている。


待機室で待っていると、地下の特別室に案内される。この部屋に入るのは初めてだ、話には聞いていたが、この部屋が今この基地で最高機密がある。部屋と言ってもかなり広い、東京ドームぐらいある。もともと部屋で区切ってあったそうだが、一回目の遠征の後。地下の部屋を全て壊し、今はコンクリート剝き出しで柱のみの駐車場みたいな空間になっている。

目の前では、物資がパレットに載せられ、フォークリフトで運ばれている。

フォークリフトが向かう先にそれはあった。見掛けは、小さいブラックホールのような黒い渦である。だいたい半径3メートルぐらいの大きさだ。


「これが”時空の歪み”か」


義雄はそう言うと、歪みに歩み寄る。中を見ると真っ黒な空間で、少し先に光が見える。中に入り、光の方に歩き出す。光に向かって行くと、時空の歪みを抜けそこには車が4~5台入りそうな倉庫のような建物の中だった。

ホフマン大佐が、周囲の安全確認と物資の運び込みを隊員達に指示している。


『大佐 基地内には異常はありません 現在地雷とトラップを確認中です』


無線で外の部隊と連絡を取っている。


「分かった,慎重確認しろ」


『了解』


「大佐,物資の運び込みは終わりました」


「分かった,モンスターの生け捕り用罠の設置に取り掛かれ」


ホフマン大佐が兵士に言い終えると、俺の方を見て言う。


「新田君,例の魔法陣の準備を頼む」


「僕は何時でも大丈夫ですよ」


「そうか,では頼む」


「分かりました」


前もって準備して置いた、魔法陣が刻まれた、ステンレスの板に乗り、魔法陣の中心にある穴に魔道具の杖を刺す。そして、詠唱を唱えると魔法陣が輝きだす。


「これで周囲100メートルに人とモンスターは入れません。でも高い魔力を持つモンスターや人間だと突破される可能性はあります。まぁ、ドラゴンや高位の魔術師が来ない限りは気づかれないと思いますがね。万が一魔法陣が破られたら、魔法陣の光が消えます。杖を抜くと結界が解除されます」


この時に保険で魔法陣に仕掛けして置く、魔法陣の中や周辺の状況を遠くから確認できるように。ミゲルの件やPCのハッキングの件の事を考えると、信用できそうに無い。他国の個人の権利や人権より、自国の利益を優先してきた国だからな。例を挙げればきりが無い、太平洋戦争で兵士の死者が増えるのを理由に民間人の大虐殺(原爆、絨毯爆撃)。大量虐殺兵器を持っているのを理由に戦争、だが結果そんな兵器無し。そもそも、核兵器を唯一。民間人に使った国がえらそうな事を言えないだろ、軍事力と経済力に物を言わせて自分を正義だと信じている、おめでたい国だ。


「あぁ、分かった。こっちの魔法陣は転送用のだな?」


「はい大佐、まだ転送先の魔法陣が出来ていないので使えませんが、僕もそろそろ出発してよろしいでしょうか?」


「勿論だ、気をつけて行け」


「はい、では行ってきます」


向こうの世界から持ち込んだ幌の馬車(二頭引き)に乗り込む。その他に米軍のトラックも併走する。流石に街中にドラックでは、入らないが。予定では、基地と同じように町の近くに隠す予定だ。


別部隊と言っても、ミゲル、スミスさん、ロイ・バーク少佐、ポール・ブラウン中尉、それと俺だけだ。

町に未知の軍隊が大勢行ったら目立つし、戦争になりかねない。彼らが選ばれたのは、神虎大陸の公用語が話せるからだ。


今から行く町は、山を降りて50キロぐらいの所にある。パティング王国首都ボーダー、パティング王国は、神虎大陸最東の国で、神竜大陸との交易で栄えている。

神虎大陸では、中堅規模の国で回りに大国もない事から、比較的戦乱の中でも平穏な方なのだ。

だが、高齢な国王が跡継ぎを決めていない事もあり、貴族の間で政争が絶えないそうだ。


俺が召喚されたのは、神虎大陸中部の大国、神聖デント王国現在隣国と戦争中(聖戦)らしい。


ミゲルの家は、ボーダーの町にある。

ミゲルの実家エランド家は、代々商家で主に大陸間交易と葡萄酒ぶどうしゅを生産販売しているそうだ。俺達はミゲルの家に向かう予定だ、ボーダーの町で商売をする為にもミゲルの親父に相談しよう思っている。


「嬉しそうだな、ミゲル」


俺は、御者席に座り道案内をするミゲルに話しかける。


「ああ、勿論だ。久しぶりの故郷だからな、心配しるだろうし早く帰りたいよ」


ミゲル・エランドは18歳、身長は185cmぐらいで筋肉質。子供の頃から親父の仕事で葡萄酒の樽を運んだりして、こき使われて鍛えられた(本人談)。髪は茶色で目の色は黒、顔はまぁギリ、イケメン?研究所で知り合って仲良くなった、今回の作戦を企画したのもミゲルを帰還させる為でも有る。


ミゲルは、地球で人体実験でもされて帰れないかもしれないと思っていたらしい。 

今回の作戦が無ければ、そうなってもおかしくなかったかも…。そんな訳で、俺を恩義に感じているみたいだ。 

だが、俺の前世が勇者だった事はミゲルや他の人にも教えていない。前世の頃の教訓で自分の力はなるべく隠す事にしている。それに今の俺は勇者でもなんでもないから、チート的な力は与えられていないただの普通の人間だ。なにその人を疑う目は? 所で俺は誰に言い訳しているんだ?


やっと山を降りてきた頃には、日が落ちる頃で野宿する事にした。バーク少佐とブラウン中尉が手際よくテントを組み立てて居る。

ミゲルは、焚き火の準備をしていて。スミスさんは、ホフマン大佐に無線で報告をしている。俺はモンスター除けの魔法陣を書いている。

野宿の準備を終え、みんなで米軍の携帯食を食べている。


「ヨシオ、俺ホントに帰れるんだな… ありがとう。それでいろいろ考えたんだが。ヨシオ良ければ、仕事を手伝いたいんだ」


不意にミゲルが俺に真剣な表情で話し出す。


「俺親父の仕事見てきたし役に立てると思うんだ…」


「ありがとうミゲル、ホントは僕からお願いしたいぐらいだよ」


スミスさん達は黙って俺たちの事を見ていた。食事も終わり、交代で見張りを立てテントで寝る事になり。義雄は空を見上げしばらく見た後、テントに入り眠りについた。












5月6日誤字訂正

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