米軍の暗躍
改訂中
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「リーザさん、リーザさん、……」
店長室でミゲルがリーザに呼びかけに、リーザは何か考えているのか気付いていない。
「ごめん、ミゲル。私出掛けてきます、母国に送る物資を仕入れてきますね」
「……はい」
「どうかしたのミゲル?」
「いや何でもないよ、気を付けて行ってきてね」
商会の資金管理はミゲルが行っている。レオン領の開発資金はあくまで義雄個人の資金で運営しているのだ。
米国と義雄の契約では提供された物資の利益は商会の手数料を引いて米国の輸入資金になる。
米国の資金はリーザが管理して義雄が輸入物資を買い付けていたが最近はリーザが直接買い付けに行くことが増えてきた。
リーザの言葉がかなりこちらの世界でも違和感なく話せるようになってきたのもあるが、義雄が不在でボーダーの町で仕入れられるような物はミゲルが仕入れていたのだがミゲル自身も忙しく、なし崩しにリーザが仕入れに行くようになった。
義雄にリーザの行動に注意するように言われていたが店の忙しさとリーザへの感情から警戒心が徐々に薄れていき、今ではリーザの心配こそすれ警戒はしていないに等しい。
ミゲルは18歳の青年なのだから異性に対して理性より感情が無意識に優先されても仕方ない。
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店を一人で出たリーザ・スミスはコミニティギルドの魔術師ギルドの受付に来ていた。
ギルドの職員らしき20代後半の金髪の男性が、今は来客が無いのか窓口に座り事務作業をしているようだ。
リーザは受付の前まで来るとギルドの職員に声をかける。
「失礼、よろしいかしら?」
ここで大体の日本人は「あのーすいません」もしくは「すいません」などと言うがアメリカ人のリーザに言わせると「なんで謝るの?」と言う事になる。
「ええ、勿論です!貴方のような美人は何時でも歓迎します」
何でこの人こんなにハイテンションなんだろう?とリーザは思いながらも表情には出さずに話し始める。
「ありがとう、魔術師を雇うのはここで良いのかしら?」
「はい、ここであっています、あっていなくても貴方の為なら合わせます。それでどんな魔術師をご希望でしょうか?偶然ですが僕も優秀な魔術師ですよ」
お前はギルドの職員だろう!と突っ込みそうになったが思い止まる、彼女はギルドシステムを詳しく知っている訳ではないのだ。
「希望としては、魔術の知識が豊富で人に教えた経験がある人かしらね……あ、あと口が堅い人ね」
「なるほど…、少々お待ちください」
金髪のギルドの職員は何やら水晶に詠唱し始めた、彼はギルドの名簿を確認しているのだがリーザには何をしているのかは分からない。
まぁ話の流れでリーザなら予測がついては居るのだが。
彼女が受けた本国からの命令は、魔術師を雇い義雄とミゲル以外から魔法の知識を得て、魔術を使える人材育成(米軍人の人材)と対魔法の戦略と戦術を練る事だ。
義雄は貴族になり領地運営で米国への物資は送ってくるものの、異世界との窓口としての働きを失っている。
ミゲルからは魔術の事は聞き出せているが彼は拉致されていた立場からの情報なので、他の信頼できる情報ソースが必要なのだ。
「……今ご紹介できるご希望に該当する魔術師は、この3人です」
ギルドの職員が水晶を見ながら紙に手書きでリストを作りリーザに見せる。
「3人を1年間雇うわ。それと魔術を無効化する魔法陣が有るそうだけどここで手に入れられるのかしら?」
「はっはい、ここで買えますが魔術師3人と無効化の魔法陣ですとかなりの費用がかかりますが…」
ギルドの職員は遠慮しながら他の人に聞こえないように話す。
「…これで足りるかしら?」
リーザは金貨が入った袋をギルドのテーブルに乗せる。
それを見たギルドの職員は一瞬固まり、再び笑顔でリーザに話し始める。
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米軍、駐屯基地。
「大佐、本国からの物資の確認を終わりました」
「ああ、分った。さっそく発射準備に取り掛かってくれ」
ホフマン大佐の前には地球から今さっき運ばれてきたロケットが並んでいた。
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