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開店

27年3月8日改訂






ナバーラ王国、謁見の間


テニスコート1面分の広さで石造り部屋にこの国の君主と宰相、ルイス将軍に近衛兵代わりのルイスの部下達が護衛についていた。


上座の椅子には、頭のサイズよりやや大きめの王冠を白髪の頭にかぶり座っていた。


「ヨシオ、我に仕えてみぬか?」


ナバーラ王国は、神聖デント王国とパティング王国に挟まれた小国だ。小国と言っても領土は、パティング王国より広い。だが山や森が多くモンスターも多い。人間が住める所が少ない為に小国なのだ。パテッング王国も同じようなものだが交易で栄えている。

一番多くを占める税収は、通行税でパテッング王国や神聖デント王国へ行き交う商人たちの税収だ。今回の戦争で主な貴族は逃げるか殺され、ナバーラ王国は、激しく人材不足なのだそうだ。


それに比べ、少ないながらもルイス騎士団を代表に優秀な軍隊が揃っている。日頃から交易商人の安全を守る為、モンスター、盗賊など討伐を頻繁にしているのも影響している。


義雄は膝を付き謁見の間でナバーラ王と謁見している。謁見の間には、宰相とルイス将軍その他は護衛の近衛隊の騎士しか居ない、王城の重臣達は、国外に逃げたそうだ。

神聖デント王国は聖戦を掲げ、皆殺しする勢いだったらしいからな、


この宰相は、逃げた前宰相の変わりに就任した。元は国王の身の回りを世話していた執事だったそうだ… この国大丈夫か?


ナバーラ王は前世で会った事がある、俺の記憶が確かなら80歳ぐらいだ。見た目は、宰相も国王と同じぐらいの年齢だろう。


「いや頼む、仕えてください」


「はぁ‥」


拝まれても困るのだけど…俺の魔術を見たのと商会長と言う立場、なによりルイス将軍の推薦(頼んでねぇ)があり。ナバーラ王は土下座する勢いで頼んでくる。人材不足は分かるんだが…


「よし!今なら爵位もつけちゃうぞ」


老王は、何か思いついたようにどや顔で言い放った。


(なんか通販の社長みたいにドヤ顔されても困るんだが…あっ宰相も拝み始めた)


宰相なら「こんな何処の馬の骨とも分からぬ、やからを貴族にしてはいけません!陛下」とか言うのが普通だろ…まぁ元執事だからな。


確かに商会が成功したらどっかの国の貴族になって見ようと思っては居たけど…。この世界では、貴族=領主だ、無税でもある。日本の大名をイメージして欲しい。


今この国で領地をもらっても良い事が無い、通行税は国の税収になるし戦争で農地は荒れている。間違いなく持ち出しで領民を食わせる事になる。しかも再び神聖デント王国軍が攻めてきてもおかしくない。


ルイスがにやりと俺を見て国王に話し出す。


「陛下実は…ヨシオは、ゆう「分かりました、微力ながらやらせていただきます」…」


ルイス将軍が義雄を見てニヤついている。


(汚いぞ、ルイス。いきなりばらそうとしやがって、勇者だった事がばれるといろいろ不味い。)


「おぉ引き受けてくれるか」


(ちっ、ルイスにばらすんじゃなかった)


宰相と抱き合っている…確かに俺が受けた事で国費を使わず、何処かの領民が飢餓から救われるかも知れないからな。


「ですが陛下、僕は商会を始めたばかりの若造です。しばらくは領地の開発と商会の運営に力を入れたいのですがよろしいでしょうか?」


貴族が商会を経営するのは珍しくない、地球の貴族も会社を経営している。


「もちろんじゃ、領地と爵位は早々に決めて与えるぞ」


「ありがたき幸せ…」


(どうしてこうなった)


計画が狂ってくるな、米国との関係が予定より長くなるかもしれない。






俺は部屋に戻るとリナが寝ているだけで他には誰も居ない。昼飯を食べに食堂にでも行っているのだろうか?俺は今朝文官が持ってきたこの国の商会登録の為の書類を書いていた。ふと視線を感じ後ろを見ると、リナが目を覚まし立っていた。


「リナ‥」


「ヨシヒコなのですね…」


リナは瞳に涙を溜めている。


「あぁそうだ…リナ」


リナは大粒の涙を流しながら義雄に抱きつく。義雄は優しく抱き寄せ、リナが泣き止むまでそのままで居た。リナが落ち着くと、リナと魔王の城で分かれてからの事から転生してここに来るまでの事を話した。リナはしばらく考え込み話し出す。


「ヨシヒコは、どうしたいのですか?」


俺は近くに人が居ないか魔法で確認し今まで誰にも言った事が無い“夢”をリナに話した。前世で召喚される前の夢は官僚から政治家なり日本を変える事だった。召喚され失ってしまったが…転生して前世の記憶を思い出し新たな夢が出来た。もう今は、その夢が目標になったかも知れない。



○ ○




アース商会・本店。


雇った店員達に地下室を立ち入り禁止にして、商品説明をして開店した。


親父の知り合いの交易商人達が来てくれ、この世界に無い物は、利用価値が分からないのもあるが値段設定をかなり高めにした為、あまり売れなかった。


その中でも予想より売れたのがろうそく、石鹸、胡椒、砂糖、等だ。


この世界の石鹸は石のように硬く汚れも落ち難い上に肌が荒れる。


リーザさんの提案で、お客さんに試しに手を洗ってもらったら、好評で1個銀貨5枚なのに飛ぶように売れた。

胡椒や砂糖は、この世界にもあるので普通に売れた、砂糖は苦味が無く質が良いと評判になっている。

ろうそくは店頭で灯すと売れた、この世界では油を皿に入れ明かりにしているが油が高く。魔法では明かりが長続きしないし魔力が持たない。


この分なら俺の野望も夢じゃないぞ!


職人達は、見本の瓶やワイングラス、窓ガラスなどを見せ。リーザさんが溶解炉の使い方と作り方を説明している。

ワインの瓶が安く作れるようになったら親父が葡萄酒を入れて販売したいと言っていた。


開店してしばらくたったころ、何やら外でドラゴンが飛んでくると騒いでいたので外に出てみんなが見ている方を見ると、ドラゴンが町の近くを通り過ぎる所だった。


初めて見たぜ!ドラゴンなんて普通、観れないからな。

勇者はドラゴンに乗って魔王の城に行ったんだな… 俺はあんなのには、恐くて乗れないな。


あれ?何か今俺、嫌な予感がしたのは気のせい?






悪乗りです、御免なさい

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