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ドラゴンガール①

4月30日改訂。






彼女は必死で飛んでいた、何かに取り付かれたように飛んでいた。少しでも速く、また彼が遠くに行ってしまうような感覚になり。恐ろしくなり,休む事無く竜の里から飛び続けていた。


流石に神竜と言われるドラゴンでも、この世界ほしを半周休まず飛ぶ事は、並大抵の事ではなく、疲労の限界が近づいていた。時折、意識が飛びそうになる。


彼はもう直ぐそこなのだ。もう少し、もう少し我慢すれば、彼の元にたどり着ける。この思いだけで意識を繋ぎ止めていた。


“もう直ぐ会える”とリアルに感じると。不意に彼女に不安がよぎる。彼は私を前のように優しく迎えてくれるだろうか?彼は一度死んでいる。果たして彼は彼なのだろうか、私の事を覚えているだろうか…。そして彼女は考えるのを止めた、ばかばかしい彼は彼なのだ。彼女にとって大事な人には変わりはないのだから。それにもう直ぐ、彼に会えるのだ。

 






デント軍、本陣。


ナバーラの王城は、丘の上に建てられ、周りを絶壁で囲まれている。城門は北と南にあり、それぞれデント軍が陣取り、王城を攻略している。

デント軍は兵数約5万人(ほとんど農兵)、ナバーラ王城に篭城しているのは兵数約8千人(ほとんど騎士)。ルイス指揮下の兵は、ルイス騎士団、義勇兵、傭兵、全てで1万人。城の中に非難した民間人は、逃げ遅れた人達でほとんど居ない。王都の民間人は、他の町に非難している。


そんな中、神聖デント王国、国王から命令書が届く。


「馬鹿な…農兵を盾にして、大型魔法陣を作り。魔術で城壁を崩せだと…」


ナバーラ王国攻略の司令官、ヘラルド将軍は命令書を読むとそう言った。彼は魔王との戦争で勇者と共に魔王と戦った、英雄の一人であり。その事で、聖騎士から将軍になった1人である。


「しかし閣下、この命令は恐らく王妃陛下の御命令、従わねば首が飛びます」


彼の参謀が言う。


「そんな事は、分かっている。分かっているからイラついているのだ…」


(あの女は、自分の命令に従わない人間には、容赦しない。仮に命令に従って敵を倒し過ぎても、疎まれ殺されるだろう、あいつの様に…結局あの女にとっては、自分以外の人間の意志など関係ない。俺たちは使い捨ての駒でしかないのだ)口には出さず、心の中で思う。口に出せば、首が飛びかねない。


「魔法陣の準備にどのくらいかかる?」


「あの城壁を崩す魔法陣を書くには、城壁から10m以内に半径1mの陣が必要で、敵の邪魔が無ければ、我々の魔術師総がかりで30分、詠唱に10分といったところです」


「10m以内に近づき、矢と魔術が飛び交う中魔法陣を完成させ発動まで40分。… 選択肢は無いか、農兵には死んでもらおう。 準備を頼む」


(やらなければ俺が殺される…)


だがヘラルド将軍は知らない。この命令がナバーラのスパイにより。ルイス将軍に筒抜けなのを。




○ ○



ナバーラ王城近く、行軍中のルイス騎士団。



「閣下、敵が動き出しました。やはり魔法陣を作るようです」


「分かったご苦労、予定通り敵が魔法陣を書き始めたら突入する」


ルイス将軍の作戦は、デント軍が魔法陣を製作中身動きが出来ないところを背後から攻め、城からの攻撃とルイス騎士団によって挟み撃ちにする。その隙に商団が城内に入る。魔法陣製作を阻止したら撤退する作戦だ。戦いが長引けば兵が少ないナバーラ軍が不利になる。


「バークさんもブラウンさんも無理して付いて来なくても良いですよ」


「俺達は、君の為に付いて来たのではない。米国軍の兵士は命令があれば国民の為、何処でも行く」


バーク少佐が俺に言うと微笑する。ブラウン中尉は、黙って親指を突き出す。ブラウン中尉…さっき振られたばかりなのに…ありがとう。


「ヨシオ、声に出てるぞ…」


バーク少佐からつっこみが入る。ブラウン中尉は、馬車の隅っこでいじけている。…ごっごめんよ。


そんな中、出発の合図が出た。奇襲なのでラッパやドラではなく、ジェスチャーで小隊長同士伝達している。魔術でも出来るが、魔力の流れから察知される可能性を考えて使っていない。敵は目前なのだ。




○ ○ ○




城壁に突撃を命じられた農兵達は、次々と敵の矢と魔法で倒れていく。矢の雨の中勇敢にも城壁までたどり着いた者も居たが、投石や近距離で弓矢の狙い撃ちになり、倒れる。

彼らが受けた命令は、城壁にハシゴを掛け上り。中から門を開けることだ。だがハシゴを掛ける前にほとんど物は倒れて逝く。

補給路が絶たれ飢えた彼らに戦う力は残っていなかった。

それでも数で押しやっと辿り着いた者は、ハシゴを掛ける。高い城壁では、手に持てるようなハシゴでは届かないのだが…。

待機しているものは、魔法陣の前に待機させられ盾になり倒れて逝く。

彼らは逆らう事ができない、何故なら村に残した家族が人質に取られているからだ。王妃の命令に叛き、滅んだ村は少なくない。


ある者は、妻の名前を叫び。ある青年は恋人名前を叫び。


ある若者は母の名前を叫び。ある者は無言で死んで逝く。


そんな中、デント軍後方で土煙が上がる。


「敵だぁールイス騎士団が背後から攻めてきたぞー」


誰かが叫んだ。ルイス将軍の作戦が開始される。背後から奇襲を受けた、デント軍はパニックになり、浮き足立つ。魔法陣をめぐる攻防が始まる。ルイス騎士団は、魔方陣を急襲する為、部隊の前方に部隊を集中させ、陣形を形成していた。

血煙が上がり。次々とルイス騎士団の騎士達が魔法陣めがけて敵を蹴散らしながら進んでいく。

遅れて商団の王城侵入作戦も開始される。




○ ○ ○ ○




恐らく誰も気づいて居ないだろう。上空から迫り来るドラゴンの姿を…。





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