終わり
ご無沙汰です、突然ですが書き直します、主に自分の暇つぶしです。
時間と僕の創作意欲次第で書くので不定期です。
本小説は架空の世界の話なので、現実世界の固有名詞が有っても関係ありません。
この惑星上空推測で約1万キロ上空に魔王城と呼ばれる浮遊する人工の島が有る。
城からの景色は絶景で、成層圏の境がはっきり見える。夜広がる星空と大気が広がる下層の青い大気、絶景で観光ならゆっくり観ていたいが今は無理だ。
人間や亜人達人類と数種の魔族や魔物達との決戦が終わろうとしている。
日本人の俺には、ゲームやアニメの様なイメージと違い、魔王の城と呼ばれる浮遊要塞は、宇宙船かラピュ◯と言った方がしっくり来るだろう。
地上を一万年もの長い間支配(エルフ長老談)していた魔族の長、魔王を倒しにここまで来た。戦いは亜人や妖精含めた人類と魔族と魔物で行われ。約千年間戦争が続いた事から、後に千年戦争と言われる。
そして戦争も終わりを迎えた‥魔王討伐連合軍が勝利したのだ、本来日本人の僕には無関係で夢物語の話だったはずの僕の手によって。
はぁはぁ、激しい戦いの後で息が上り、剣を杖代わりに倒れそうな体を支える。
「やったぞ!ついに倒した」
俺の装備は魔王との戦いでボロボロで剣以外もう所々ひびができ欠けている、修復不可能だろう。だがもう戦わなくて良いのだ、魔王は死んだ。
「良くやったわ魔王が死んだと言う事は、貴方はもう用済みね」
この世界に召喚した張本人である聖女が無感情で褒め言葉を言うと、隣の騎士に目配せする。
その騎士は、神聖デント王国王太子で討伐軍の幹部で遠征メンバーの名目上のリーダーだ。
王太子は魔王が使っていた魔剣を拾い上げると、そのまま薄ら笑いを浮かべ俺の方に近づいてくる。
それをただ観ているしか出来なかった、魔王との戦いで疲労が限界にきた体は動かない。
「止めろ、何を‥」
そう言うのが精一杯だった。
王太子は魔剣を振り上げ、俺の心臓を貫き俺は意識を手放した。
◆
「呆気ないな所詮召喚した獣と大差無い」
王太子が動かなくなった男を見ながら吐き捨てる様に言う。
「召喚者は召喚主に逆らえないもの、こんなものよ弱っていたしね」
聖女が動かなくなった男を見ながら言う。
「魔王の核の魔石はどうする?」
王太子は聖女の方を見て言う
「あれは呪われているわ、ここに結界を張って封印します」
「確か触ると取り込まれるのだったな、あんな大きな魔石なのにもったいない」
「ええそうよ、触って見る?良くて次の魔王になれるわ、でも大体吸収されて終わり」
「残念だが仕方無い諦めよう、封印するにしてもこいつの体をこのまま放置したらアンデット化するんじゃ無いのか?」
さっき王太子が刺した男に視線を向ける。
「‥爺これ燃やせる?」
聖女はロープを着た老人に話し掛ける。
「無理じゃ今燃やすと帰りの移転魔法が使えん、こやつの体は燃えにくいからの」
老人は淡々と言う。
「仕方ないわね放置で良いわ、聖域で封印するからアンデット化する事無いと思うけど、仮にアンデット化しても直ぐに消滅するのが普通ね」
聖女は動かなくなった男を見ながら少し考えて結論を出す。
「ヘラルド、殿下でも良いわ、聖剣を持てる?」
動かなくなった男が魔王にとどめを刺した剣を指差す。
無言で王太子とヘラルドと呼ばれた筋肉質で大柄の男が杖代わりに使っていた為床に、順に刺さった剣を抜こうと試みるがびくともし無い。
「無理だな」
「チッ抜けねぇ」
「はぁ‥想定内よ、予定通り聖剣の力で封印するわ」
聖女は封印の準備を始める。
「チッ、聖剣が使えたら異世界からわざわざ異世界人を呼ばなくても、俺が魔王を殺ったのに」
ヘラルドと呼ばれた騎士が言う。
「異世界人の器が無いと聖石を体に宿せ無いから、聖剣は使えんからな、そうだ!聖石は回収したのか?」
忙しく準備をして居る聖女に王太子が話し掛ける。
「当然よ、と言いたい所だけど、宿主が死んだら消えて、しばらくしたら聖殿に戻る筈よ」
聖女は魔法陣の準備をしながら答える。
「フッ、なるほどな」
肩をすくめ、苦笑いしながら王太子が言う。
「諸説有るけど宿主の召喚に必要な物でも有るから、神の意志で聖殿に現れるとも言われているわ、伝承しか残っていないから確かな事は不明ね」
「まぁ魔王を殺せたのだから何でも良いがな」
そして封印が終わると、老魔術師が転移魔法を発動させて帰還する。
勇者は魔王と相打ち、魔王の核の魔石を聖剣で封印。勇者の骸は封印の中である事が外で待つ魔王討伐連合軍に伝えられる、一万年もの魔王の圧政から解放され、千年戦争の終結が宣言された。
世界が歓喜しこの日が記念日に成る、真実を知るのは一部の人間だけである。
◆ ◆
クッ苦しい、何だ?息苦しい。それに何故か顔の辺りが重いし暑苦しい、ん!この柔らかい感触は‥猫?ミケか!え?顔に乗ってる?確か俺は異世界に召喚されて‥。
「はっ?」
俺は混乱しつつ飛び起きる。
「にゃ〜」
ミケ(三毛猫)は俺が飛び起きるのが分かっていたかの様に、上半身を起した俺をかわし枕元で鳴いている。猫の表情など分かるはず無いがドヤ顔ぽく見えた、少しムカつく。
「ん?ミケは俺が高校三年の時死んだはず」
俺は枕元のミケを見る。
「にゃ〜?」
ミケが不思議そうに俺を見上げている。
返事(?)が有る生きて居る様だ、そして自分が寝ていた部屋を見回す‥見覚えが有る。
「‥そうだ!俺は勇者として召喚されて、魔王を倒したはず!?」
突然大きな声を発した俺にびっくりしたミケが、ベットを飛び降り部屋の外に走り去る。
ミケの走りさる様子を目で追うと、部屋のドアの外に立っている少女と目が合う。
「お、おかーさーん!お兄ちゃんがお兄ちゃんが〜」
少女がミケの後を追う様に階段をかけ降りながら一階に居るであろう母に叫ぶ。
「お兄ちゃんが厨二病になっちゃた!」
「ちょま!」
俺の叫びは虚しく消え去り、妹は家族に厨二病患者と化した兄の病状を報告するので有った。