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死別というのはもっと猶予期間があるモノだと思っていた。


そんなこと考えるぐらい案外余裕があったのかとあとで思った。だかその時はなぜそんなこと思いつくのかわからなかった。


ただ恋人だった田中クンが死んだ。その事実だけは何も変わらなかった。

亡くなった理由は事故だった。新聞の片隅にも載ったらしい。バイクに乗るのが好きだった彼は峠の事故で反対車線を乗り越えてきた自動車と正面衝突であっさりと亡くなった。

ほんとにあっさりとだった。

死別ってもっと時間かけて悲しみを増大させて、そしていよいよってものかなと思ってた。

でもそんなことはなかった。悲しいことは悲しいことけどあっさりしすぎてどうすればいいのかよくわからなかった。



あれから何日か経った朝になっていた。目覚まし時計とかは使わないが窓から入る陽光で目を覚ました。

今日は1限から大学いかないといけない曜日だ。8時前には家を出ないと間に合わない。枕元に置いた携帯を見ると6時半、まだ余裕はある。

実は田中クンが亡くなったと聞いた次の次の日には大学にかよっていた。田中クンとのことを知っている友達がどう声をかけていいのが気になったけどなんとか授業はでることができた。

もしかしたら冷たい人と思われたかな?


「今日もいかなきゃ」

と独り言ちてベッドから起きようと思った。でも同時に体の力が抜けてまたベッドの上に横になってしまった。

あれ、と思っても力が出ない。なんかダメだった。

「今まではいけたいのになぁ」

とまた独り言ちた。薄々自分でもわかってた。そろそろだと思ってた。

「やっぱ好きだったんだなぁ」

これは声に出さなかった。心の中だけで反芻した。

彼が居ない、という事実が自分の中でついに限度を超えたのだ。今までは突然の知らせになんというか、いわゆる実感がなかったのだけど、時間を経てついに私の中で本格的に心を襲いだしたのだ。

そんな中でも今日の授業のこと考えて一日休んでも問題ないのを頭の中で確認して今日は休むことにした。まだちゃんと授業のこと考えられる自分にちょっと呆れつつも天井を見た。白い塗装がしてあった。この塗装見ながら田中クンの愛情感じたことあったなあと変なこと考えた。

涙出てきた。

「好きだったなあ」

今度は声に出した。また涙が出てきた。

多分、多分だけど時間が解決してくれる。それはわかってる。いずれか次の恋も始められるかもしれない。

でも今はそうじゃない。妙に冷静になってしまうこともあるけど、ダメになりそうだった。

付き合ったのは1年と1か月の間だったけど思い出はそれなりにあった。色々な思い出が、同じ思いでが何度も何度も頭の中をめぐった。やっぱり卑猥な思い出のほうが強かった。

そしてぷっつり何も考えられなくなった。

涙の存在を感じながら目をつぶった。

何かしようという気持ちは全く湧かなかった。ただ時間を過ぎるのを待っていた。



多分寝ていたんだろう。ふっと目を開いた。涙が乾いた感じがあった。携帯電話を見たら10時40分だった。

ちょっと気持ち落ち着いたのを自分でも確認できたので今度こそベッドから身をおこした。

今日はもう大学行く気もなくなっていたけど、ちょっと散歩することにした。

着替えてちょっと歩いて早めのランチでも食べようと思った。そしたら少しは解決までの時間が進むと思った。


ドアをあけたら外はいい天気だった。ほんと世界は最大公約数で動いてる。

まあいいかと外に私は出た。

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