不快な同居人
偏頭痛と私の共生。約六百文字の短文エッセイです。
午前七時。ピピピと、鋭いビープ音が耳を貫く。脳の活性と同時に、耳障りな起床音を停止させる。
そこで、頭を襲う馴染み深い痛みに気がついた。俗に言う偏頭痛である。こいつとの付き合いは相当に長い。幼少の頃に発生して以来、今なお結構な頻度で、脳を踏み荒らしに来る厄介な野郎だ。
私はこの馬鹿に随分悩まされてきた。小学生の時から、こいつが訪れるたびに朝の活力が奪われ、布団から離れるのが億劫になっていた。寝具から出るか出ないか――毎朝、そんな無駄な戦いを強いられてるように感じていたのだ。
それが嫌でたまらなく、幾度も解消法を模索したが、どれも効果はいまひとつ。時には病院へ向かい、薬を処方してもらったこともあった。けれども、処方薬は存外副作用が強く、何度も使う気にはなれなかった。
ついに万策は尽き、私は白旗を上げたのだった。改善策が無いのなら、すべきことはたったひとつしかない。こいつと一生涯を共にする覚悟を持つことである。
そんな決意を胸に抱いた日、驚くべき変化が訪れた。刑法で裁かれるべき侵入者は、共生する意志を手にした瞬間、不快な同居人へと変容したのである。
情愛が芽生えたわけではない。小さな認識の変化が、私の世界の在り方を変えたのだ。とはいえ、偏頭痛そのものの痛みが和らいだわけではない。ただ心の持ちようが、少し違うだけだ。
今日もこいつを脳に抱えたまま、私はベッドから身を起こす。
これがネット作家としての処女作です。
現在長編の構想を練っているので、そちらの方もよろしくお願いします。




