プロローグ
「さて。これで……よしと!偉いぞ!頑張ったな!」
「ワシマカ!ありがとう!」患者さんである男の子は満面の笑み。
「息子が風邪を引いた」とその子の父親が駆け込んで来たので診察をし、たった今「完治」を伝えたところだ。
目の前の子の小さくも大きい笑顔は、こちらの表情を緩ませてきた。
感謝を込めて頭をゆっくりと撫でる。
「申し訳ございませんでした。」
患者さんの両親は、深く頭を下げて来た。
「かまわんよ。風邪は誰でも引くからな」優しく諭す。
「料金は」父親は頭を上げるとすぐに財布を取り出した。
財布ごと手を下げさせた。
「いらん。この子の将来のために使いなさい。先の短い老いぼれの医者に払うより、未来ある子どもに払いなさい」
「そんな価値観は自己満足だ」と怒鳴られたこともないわけではないが、老いぼれのジジイに金は、「猫に小判」も同然だ。
未練がましく医者を続ける事が、良い事かは分からないが「若い連中が成長するための時間稼ぎ」くらいにはなるだろう。
やり取りを終え帰路についた。
次回は、【2025年06月19日 17時00分】 に投稿いたします。
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