あらたなこれから
この気持ちは、なんなんだろう。Stella Tearのライブの1曲目の後にボーカルの晴さんと目がふと合ってから、私は最後まで晴さんのことしか見えなかった。
今までどんな好きなバンドに出会った時でもこんなことはなかったのに。
こんな気持ちは初めてだった。
「……春?…小春?」
そんな私を現実に戻してくれたのは一緒に来た千夏だった。
「千夏……私、なんか変なんだ」
「どうしたの?」
「晴さんと目があってから、晴さんのことを目で追っちゃうようになったの」
そんな私の話を千夏は笑いながら聞く。
「だから心ここに在らずだったの?」
「うっ……うん」
「まぁ、晴さんって元々性格とかの波はあるけどそれ以外のスペック高過ぎるもんねぇ。それにしても今日のライブは過去1だったけどね?」
「そう、なの?」
「うん、あんなに楽しそうにギター弾いてる晴さんあたしは初めて見たもんね」
「そうだったんだ」
「すごかったよ本当」
「だね、それは私も思った。こんな人達がまだインディーズにいるんだなって」
「もしかしたらあたし達はすごい特別な瞬間に立ち会えたのかもね!」
「そうだね、そうだと……いいなぁ」
「うん!!……そんなことよりさ、多分だけど小春は晴さんに恋したんだと思うよ?」
「……はい?」
「だから、さっきの話だけど小春は晴さんに一目惚れしちゃったんだよ」
「私が……晴、さんに?」
「そう!!でも、晴さんは恋愛しないと思うけどなぁ」
「そうなの?」
なぜか無性に気になってしまい、ついつい聞き返してしまう私に千夏は優しく話してくれる。
「ほら、ライブ前にも話したけどさ?晴さんって昔に恋愛関係で色々とあったみたいで、だから今日まで不安定だったのもあるしもう恋愛はしない、みたいなことも言ってたみたいだよ?まぁ、今日の晴さんを見てたらそれすらも吹き飛ばしてる感じがしたからわかんないけどね!」
「そっか……」
「小春?」
「……私決めた、晴さんの心を私が晴れさせるよ」
そうだからかに宣言する私を、優しい笑みで見守る千夏。なんだか急に照れてきてしまったけど、言った通り私は晴さんの心に寄り添いたいと思ったんだ。
私の未来が、大きく変わる音がした。
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