別れと出会いの春 2
4月1日、東京のとあるライブハウスで行われる近頃インディーズでは知名度を上げてきているバンド、『|Stella Tear』のライブに、私は初めて参戦する。
正直言って友達に誘われたから行くだけで、そこまでこのバンドに興味は持ってなかったりするんだけど。
じゃあなんでバンドの情報を知ってるのかって?それは簡単な話。
私は、インディーズのバンドが好きなだけ。だから、聞く聞かないに関わらず多少でも活動が大きいバンドの情報くらいは頭に入れてるの。
そんな話は置いておいて、支度をしていると玄関のインターホンが鳴る。
「はーい」
扉を開けると、私を誘った張本人が待っていた。
「小春ー!ちょっと早くきちゃった!」
「もー、千夏?まだ準備途中だよー」
「うん!待ってる!!……それにしても小春って可愛いよねぇ、同性のあたしが見ても襲いたくなるわぁ」
「……千夏?襲いたくなるは喜べないよ!?」
そんな会話をしながら、私は友人の鶴見 千夏を部屋へと招き入れる。
あ、私の名前は由比 小春だよ!なんて言ってみた。
私は、千夏を待たせすぎないように急いで支度をする。
「小春?そんな慌てなくていいんだからねぇ?」
「大丈夫だよー、そんなに慌ててないし!それにもう終わるからね」
「そう?」
「うん」
「ならいいんだけどねぇ!」
まぁ、慌ててないっていうのは半分くらいは嘘なんだけどね?そんなわけで、準備を終わらせた私は千夏と一緒にライブハウスに向かう。
「千夏ー」
「んー?」
「私、Stella Tearの歌聞いたことないんだけど、どんな感じ?」
「んー、STはね、季節によって全然雰囲気が変わるんだけど」
「え、そんなことある?」
「そこが面白いところだよ!で、今は春だから……あ、待って今日4/1じゃん!」
「そうだね、それが何かあるの?」
「ボーカルの晴さんが1番気分がbadな日だから、多分今日のセトリは失恋とかそっち系の曲が多いんじゃないかな」
「badって……」
「なんか恋愛関係で色々あったみたいだよ」
「よく知ってるね、千夏」
「ん?割とST聞いてる人の中だったら有名な話だからねこれ」
「へぇ、なんか面白そうだね」
割とこのバンドに興味が湧いてきた。そんな、自分の感情に左右されるボーカルなんて大丈夫なのかな?っていう心配もあるけど。
そんな話をしているうちに、ライブハウスに着いた。入場はもう始まっていたので、私たちはフロアに入る。
割と前の方が空いてたので、2人で前の方に移動して開演を待つ。
これが、私のこれからを大きく動かすきっかけになるなんてまだ思いもしていないのに。
読んでいただきありがとうございます!
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!