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第二十一話:旧都『グラニーツァ』

 ————『フホート区』、ベルギア探索隊にて。


(皆にあんな偉そうなことを言ったのだ、俺様が手本を示さねば……っ!)


 ()『グラニーツァ』の住人として、自身の知っている情報をベルギアは共有することにした。


「今から五千年前、ここは初代風神(エレーナ)によって創り出された……【()()()()】も勝ち抜き、栄華を極めたのだがな……丁度その五百年後、あの怪物が襲来で陥落してしまった」


 悠久の歴史の一部を語るベルギア。()()な彼は、昔日の光景に思いを馳せるのだったが


「…………おっとすまん、一度に話して良い情報量じゃなかったな」


 数千年単位の視点が入り乱れる解説に、聞き手の隊員たちの頭はパンク寸前だった。




 ————『ボストーク区』、御琴探索隊にて。


「凄いもの見つけました、御琴隊長!これ何か分かりますか!?」


「やったじゃん!どれどれ〜?」


 人当たりの良い御琴は、早くも隊員たちと打ち解けていた。さらに、探索の方でも早速成果が上がっていた。


「んー……この欠片何て言うんだっけ?」


 隊員の手に握られた石片を指差しながら御琴は尋ねる。


「そいつぁ()()()だな」


「そう、それ!!!」


 御琴に助言をしたのは副隊長、ストリカザー・ダムド。御琴はストリカザーに礼を言ったが、彼はただ謙遜するばかりだった。


「でも変ね、『スーゼファルカ』の近辺で大理石は採れない筈よ、輸入物にしたって……」


 辺りを見渡し、他の欠片を拾ったホノカは首を横に振る。


「大理石の相場は高い……欠片の量からして、建造物一つに使われてたくらいだと思うけど、それだけのために大金をはたくかな?」


 中継地域『モナク』に住んでいただけあり、ホノカはこういった貿易鑑定に詳しかった。


「彼女の言う通り大理石は高い、それを天空都市に運搬するともなれば、さらに負担がかかることだろう」


 ストリカザーもそれに同調し、大理石の出所についての議論が白熱し始めた。更なる手掛かりを見つけ出そうと躍起になる隊員たちに


「よし!ここら辺をよく調べよっか!皆、頑張ろ!!!」


 御琴が新たな伝達をした。彼らが散り散りになり、夢中になって調査をする隙を見て、御琴はホノカに耳打ちをした。


「ホノカ、ちょっと……二人きりになりたいんだけど」


「御琴は隊長でしょ?そんな無責任なこと…………待って、もしかして」


 ホノカの予想は的中。御琴は神妙な面持ちで頷いた。


「分かった、私に任せて」


 ストリカザーに一時的な現場監督を頼み、ホノカは御琴の腕を引いて廃墟の影に隠れた。




「あの大理石の欠片は『ダクレ=ムニマ』のものだよ」


 ホノカは唖然とした。


「『ダクレ=ムニマ』って……あの?大昔に滅んだ……?」


 『スーゼファルカ』のことも(ろく)に知らなかった御琴が、地理や歴史に詳しい筈がない。ホノカはそう思いつつも、何故御琴がそのようなことを発したのかが気になった。


「どうしてそんなことが分かるの?」


 単刀直入に問うホノカ、御琴は続ける。


「『ダクレ=ムニマ』って名前が出た時、私が頭痛そうにしてたの覚えてる?あの後、()()と関係してるんじゃないかって、いろいろ調べてみたんだけど……これ持ってきちゃって…………」


 御琴は懐からある本を取り出した。表紙全体が黄ばみ、見るからに古びたその一冊には——錆びだらけの錠前がついていた。


「何やってんのよもう……でも変わった本ね、どこから持ってきたの?」


「城の図書館」


「読み終わったら返しに行こ、私も着いてってあげるから」


 知的好奇心が勝ったホノカは、()()()になること覚悟で本に触れた。


「あれ……鍵開いてるじゃない」


 気になる点はいくつかあったが、ホノカはページをめくっていく。しかし、どこも虫食いと汚れだらけで、まともに読めたものでは無かった。


「もう少し、もう少し先なの!」


 半ば呆れた様子のホノカだったが、御琴の指示通りに読み進めたところで、彼女のページをめくる手がピタリと止まった。


「…………何これ」


 そこに描かれていたのは、昔日の『グラニーツァ』の姿だった。華やかな街並み、豪勢でありながらも品を感じさせる城、そして今、彼女たちが居る『ボストーク区』。その中でホノカが目を奪われたのは————

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