鷲の、剣姫現る!
【起動 芥子の化身】を、発動した、夢護迅は、見た目は、人形の幽星と言っても過言では無い。
水晶の様な幽流エネルギーの塊が、頭部から、突き出しており、全身の煤けた灰色の体表と合わさって、サムライとは、言いがたかった。
「いくぜ、ながる! コマンドを、2回撃ち込んでくれ! そしたら、後は切るだけだからさ」
夢護迅は、星王ながるに、目配せを、する。
そして、星王ながるは、夢護迅の、意図を察し、すぐさま、星王ながるの双眸には、水色のキーボードが現れ、
星王ながるは、ピアノを引くかの如く、キーボードを叩き始める。
【対象 ネジキ 全身発火付与】
星王ながるの入力が、終わると同時に、水色の銃型のユニットが、現れ、ネジキに、向かって、針を高速で飛ばす。
「熱い、熱い! 熱い!」
雷門ネジキは、自身の肉体である金属が溶ける痛みに苦しみながら、叫ぶ。
雷門ネジキの、一目が、一瞬、蒼くなりかける。
「後は、冷やすだけですね! 迅君!」
「金属は、こーゆーのに、弱いらしいからな」
「ネジキさんの、全身発火を、解除して……」
「「えっ!?!?!?」」
夢護迅と、星王ながるは、眼の前の光景に、驚愕せざる負えなかった。
雷門ネジキの肉体である金属は、確かに冷やされた。
だが、それは、星王ながるに、よるものではなかった。
突如として、雷門ネジキの、巨躯が、氷塊に覆われていき、そして、氷塊が、砕け、冷えた雷門ネジキが現れる。
「はああああああ!!!!!」
雷門ネジキに、光速で、向かってくる、何かが、縦に一閃。
そして、右に袈裟切り。
雷門ネジキに、トドメと言わんばかりに両袈裟切りが、繰り出されようとした時、夢護迅が、慌てて二振りの剣を、生成し、止めに入った。
「お前、何しやがる!」
「貴方達こそ、私の、獲物を取らないで下さる?」
二人は、空中で、激しい剣戟を、交わすと、一気に距離を取り、地に着地する。
「おっさんは、獲物じゃない。本当解ってないなぁ!」
「ネジキさんは、私が最初に、目をつけていてました。それに、この暴れっぷりだと、討伐懸賞金もつけられてもおかしくないのでは?」
「討伐懸賞金!? だと……」
討伐懸賞金。
それは、幽星や、半幽星など、カフェテリア財団に、敵対する人物達を討伐した時に与えられる賞金の事。
基本的には、生け捕りじゃないと、賞金は発生しないが、社会の維持に、脅威だと判断された人物を、カフェテリア財団が、排除するために用意される賞金。
そして、夢護迅の、眼前には、鷲の翼のようなものが生えた、鋼の鎧に覆われた人間がいた。
骨格、相手に悟られないように見た、鎧からも判る適度な膨らみの、胸部から、性別は女だと言うことを、夢護迅は、悟った。
「――ところで、お前、女だったんだな、戦いに夢中で、気づかなかったぜ」
「シレモノ! ヘンタイが! どこ見て言いましたか!? 頭の幽晶石砕きますわよ!」
「迅君! 危ない!」
星王ながるが気づいたときには、雷門ネジキは、満身創痍の状態でなんと、腹部の、幽流炉に、
莫大なエネルギーを、溜め始めていた。
「終わりだガキども! 【ボルテックス・サンシャイン(不完全)】!!」