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それでも、僕らは星を狩る。  作者: 月照森人
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プロローグ「それでも私は、貴方を狩る」

 釘で、刺すような強い寒さの1月の東京都。

 世界の、終末を告げる最終戦争は、

東京スカイタワーの上に、生成された白い半球状の空間の中で行われていた。


 「もう、いい加減に、してください! 廻児(かいじ)お兄さん」



 ガラス細工のような滑らかな水色の髪、真珠みたいな艶のある肌で、清楚だが、明るさと強さを秘めた、この可憐な16歳の、少女、星王(せお)ながるは、こういった。


 しかし、全身から、燃えるような水色の邪悪な気を放つ20歳の男、夢護(ゆめもり)廻児(かいじ)は、首を横に振り、意にも返さなかった。


 「認めないよ? 君たちも、解っているだろう。この世界では、強いものが勝つ。言いたい事は判るかい?」



 「だから、流星王(りゅうせいおう)に、なって、幽星(ゆうせい)しかいない世界を創るとでも? ふざけるな!」



 そう、叫んだのは、歳は16、太陽の様に輝く金髪の持ち主で、コバルトブルーの瞳の、夢護 廻児の弟であり、

星王ながるの幼なじみ、夢護(ゆめもり)(じん)だった。


 夢護迅は、両手剣を構え強く握りしめる。


 幽星は、星を滅ぼす存在である流星王と呼ばれる生物を生み出すための存在で遥か昔から様々な、星に飛来し続けている。


 そして、人と幽星が交わるとき、人間、幽星、もしくは、流星王の元となる生物、半幽星(はんゆうせい)が生まれる事がある。


 「こうなる事は、避けられなかったんだ。僕が、流星王の器、半幽星として生まれ、君が人間として生まれてしまったんだからねぇ……」



 「ふざけるなよ、兄さん! そんなことは、させない、止めて見せる!」



 「ちょっと待って下さい迅君! サポートしま……。あっ……」



 星王ながるが、止めようとするのも聞かずに、夢護迅は、両手剣を大きく振りかぶる。

 

しかし、攻撃は左にかわされ、両手剣に、夢護廻児の手刀が入った。

 

 両手剣は、砕け散り、破片が、光を反射し、宙を舞い、地に落ちた。

 


 驚く、夢護迅の隙を見逃さず、夢護廻児は、夢護迅の腹部に、正拳突きを目にも止まらぬ速さでミシンの様に打つ。


 夢護迅の、腹部には、握り拳のクレーターが複数個。

 そして、糸が切れたかの如く倒れ、二度と、動かなくなってしまった。


 星王ながるは、夢護迅に、駆け寄り起こそうとするが、反応が無いことを知り、死を悟った。


 「起きてよ、迅君……」



 「……正義など、ない。人も人外も……、同じだ……。僕を倒すには、君は、僕と同じ所に堕ちなくちゃならないし、僕を倒せば君は、僕以下になってしまう事を忘れぬ様に……」



 夢護廻児は、星王ながるに向けて赤い石を投げつけると、不敵な笑みで、星王ながるを、挑発し、流星王に成ることを促した。

 


 「――私は、人を辞めます」



 星王ながるは、夢護廻児に渡された赤い石を口にする。

 

 すると、星王ながるは、苦しみだし、身体を、水色の炎が、包み込む。



 《対象、自分、肉体強化(にくたいきょうか)



 星王ながるは、そう叫ぶと、夢護廻児に、殴りかかる。


 決着は、一瞬だった。

星王ながるの能力は、単語を叫んだり入力すると様々な、効果を発揮する能力で、それが流星王になることで、さらに、強化されたのだった。


 夢護廻児は、水色の灰と化した。



 「さて、世界を、創り変えますか。けど、一部の能力と姿は引き継いでと……」



 こうして、星王ながるによって世界は、作り変えられた。 

 まず最初に星王ながるが取りかかったのは、夢護迅を救うこと。


 それが何度目かのループで、成功し、次の段階へと計画は、進んだ。


 そして、夢護廻児との最終決戦。



 「無事に、倒せましたね。迅君!」



 今までの、戦いとは違い、夢護迅達には沢山の幽星や、半幽星、人間の仲間達が、駆けつけてくれていた。


 その分、夢護廻児側も、強くなっていたのだが。



 「迅君、お願いが、あります」



 星王ながるは、頬を赤らめる。

しかし、幼なじみで、苦楽を長きに渡り共にした、夢護迅から、飛び出したのは、思いもよらぬ言葉だった。



 「ごめん、俺、他に好きなヒトいるんだよね」



 その言葉が、小さな星を水星の女神に変えた。


 


 


 

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