表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密のクロマル  作者: はなまる
終章
92/96

第三話 至高のもふもふ

 おなかを上にして寝ているクロマルの上に、そうっとよじ登ってお昼寝する。


 規則正しく上下する柔らかいおなか。素肌をくすぐるふわふわの毛並み。王様やお姫様のベッドにも負けない、極上の寝心地だ。


 あまりの気持ち良さに離れがたくなって、ついついダメ人間になってしまう。


 思えば私の幼い頃の夢は、シロクマやカビゴン(ポケモン)のおなかの上でお昼寝する事だった。


 まさか叶うとは、夢にも思わなかった。ガルーラ最高!! マスターになってほんと良かった!


 香箱座り(前脚を畳んでうずくまる座り方)している時に、胸の毛に埋まり込むのもたまらない。

 頭の上でゴロゴロと鳴る喉の音を聞いていると、いつの間にか日が暮れていたりする。


 座っている前足を枕にするのも、最高に気持ちいい。知ってる? 前足の毛って、短くて細くてサラサラなんだよ!


 肉球もいいんだよなぁ……! 外から帰ってクロマルの足を、温かい濡れタオルで拭うと肉球が少し柔らかくなる。

 そのホカホカのプニプニに、じぶんの冷たくなった頰を押しつける。


 つい、ほわぁーとか、ふひゅーとか、意味不明なことを口走ってしまう。


 先日シュウくんのお母さんと、お茶した時にお互いの至福の時間について自慢し合った。


 私は、自分より格段に大きな『もふもふ』の魅力を熱く訴え、シュウくんのお母さんは掌に収まる、小さな小さな『もふもふ』の愛らしさを、うっとりと語った。


「両方は味わえないのが、ちょっと残念ね!」


 お互い幸せなので、なんの問題もない。


 最近、シュウくんがチャイに夢中なことで、クロマルは少し焼きもちを焼いている。ふよふよと漂うチャイに、ちょいちょいと、猫パンチを喰らわしたりするのだ。


 チャイは何度か弾き飛ばされたあと、強烈な反撃に出た。


 クロマルの鼻に、思い切り噛みついたのだ。クロマルは、タラリと鼻から血を垂らして、尻尾を丸めて逃げ出した。


 そのことがあってから、クロマルはチャイに敬意を払っている様子だ。頭の上に乗せて、空の散歩に出かけて行ったりしている。


 時々、説教をされているような二匹を見かけるので、完全に頭が上がらない関係が築かれつつあるようだ。


 元々チャイは子持ちの、お母さんガルーラなのだ。悪戯坊主のクロマルが、敵うはずがない。クロマルの耳の間に、チャイがペタリと身を伏せて乗る。


 クロマルは落とさないように、そうっと歩いたり、飛んだりしている。


 余りに微笑ましくて、可愛くて、動画に撮って実家の両親に送った。すぐに返事が来て、二人して今度見に来るそうだ。


 ちなみに、ガルーラ同士の関係について、マスターが口や手を出すのは、ご法度なのだとか。ガルーラは余程のことがあっても、お互いに大きな怪我をするような争いはしないらしいんだけどね。



 色々あったけれど。


 本当に色々なことがあったけれど……。



 私はクロマルのマスターになったことを、少しも後悔していない。この大きさだからこそ味わえる、楽しいことがたくさんある。


 これからもクロマルと楽しく暮らして行こうと思う。


 私はガルーラ乗りとして、まだまだ半人前だ。でも今は、それもありがたいと感じている。だって、これからもクロマルと、たくさんの事に挑戦して行けるのだから。



 地球一……いやいや! 宇宙一のガルーラ乗りを目指しちゃおうかな!


 クロマル、どうよ! 目指しちゃう?!



 えっ? カナちゃんはぼくにとっては、宇宙一のマスターだって?!


 ヤダッ! クロマルったら、照れるなぁ!



 クロマル、これからも――ずっとずっと一緒だよ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ