表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密のクロマル  作者: はなまる
第五章 クロマル強奪
86/96

第十一話 落ちる

▽カナリ


 クロマルの身体から、ふっと力が抜けたように見えた。俯いて、漂うように宙に浮かんでいる。正気に戻った?


 上昇をやめて、クロマルの周りを旋回してみる。うーん、そろそろプロペラがヤバイかも。


「クロマル、クロマル! 大丈夫?」


 ヘタリと耳を倒して、ドローンの動きを眼で追っている。


 あっ! いつものクロマルの顔だ! 


イタズラをして、怒られるーって時の顔してる。


「バカだなぁ、クロマル! 怒ったりしないよ。怖かったね、苦しかったね。もう大丈夫だよ! ほら、おいでおいで!!」


 クロマルに向かって、両手を差し出した途端、辛うじて回っていた右側のプロペラが、バキリと不吉な音を立てて折れた。


 バランスを保てなくなったドローンは、クルクルと回りながら落ちはじめた。


 ヤバイヤバイヤバイ! こんな高いところから落ちたら、絶対に助からない。


 あ、そうだ! 離脱スイッチがあるじゃない! 確かエクーが、パラシュート付きだと言っていた。


 パニック一歩手前で踏み止まり、なんとか離脱スイッチを押す。


「ポチッとな!」


 一回言ってみたかったんだ、このセリフ!


 あれ? もう一回、ポチッと!


「…………」



 うわぁぁぁーん、反応しないぃぃ!



▽シュウ



 少し離れた場所から、何かを叩きつけて、壊してしまったみたいな『ガシャーン』という大きな音が聞こえた。


 お、落ちてしまった? ドローンが? ちょっと待って! そんなのナシだよ!


 僕はまだ、走り出してもいない。

 

 急いで大人した方向へと走ると、足に力が入らなくて、何度もつまずいて転んだ。


 嫌だ、嫌だ、嫌だ! そんなの嘘だ。


 空を見上げる。真っ暗で何も見えない。さっきまでは確かに、カナリさんの乗ったドローンがチカチカと点滅していたのに!


 焦げくさい臭いがする。あそこだ! 


 煙の場所に転がるように近づくと、ぐちゃぐちゃに壊れたドローンから、細い煙が上がっていた。


 Tシャツを脱いで、バサバサと叩く。熱くてとてもさわれない。震える手にTシャツを巻いてひっくり返したけれど、ドローンの操縦席は空っぽだった。


「カナリさん! どこ? クロマル!!」


 下草をかき分けて、這いつくばって探す。見つからない。暗くてよく見えないよ!!



 どうしよう、見つからないっっっ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ