表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密のクロマル  作者: はなまる
第三章 秘密のクロマル
40/96

第七話 十二月 85センチ

 小さくなるのは、クロマルが原因かも知れない。


 私の仮説は言葉にすると、バカバカしいにもほどがある。けれど、そもそも私は毎日二ミリずつ小さくなっているのだ。すでに充分バカバカしい。

 あれこれ考えてみたり、クロマルを大まじめに問い質してみたりした。


 クロマルは、わかっているのかいないのか。叱られた時みたいに耳を伏せてうずくまってしまった。


 その様子にこちらの胸が痛んでしまう。


 怒ってないよ!


 首の後ろをポンポンと叩いたら、お腹を上にしてころりと転がった。


『おなかなでてー』のポーズだ。


 目を細めて、ゴロゴロと喉を鳴らすその様子は、私の知っている普通の猫と変わらない。わしゃわしゃと両手で、お腹の毛をかき回す。


 柔らかな内側の毛に埋もれるように体重を預ける。人間よりも少し高い体温、規則正しく聞こえる心臓の音、ふわふわと心地良い毛並み。


 ダメな人になってしまうソファより、百倍くらい気持ちいい。


 クロマル、私のかわいいクロマル。


 重力から自由になることがあんたの本能ならば、受け取っていいんだよ。夜空を駆けるクロマルを、私も見たいと思っているもの。


 星空を泳ぐように駆ける、夜色の猫。きっと、寒気がするほど美しい。



 でも、消えてしまうのは正直言って困る。ほどほどのところで折り合いが付くと良いのだけれど。


『また夢を見たら、わかることがあるかも知れない』


 そんな風に割と呑気に考えて、雰囲気だけ忙しない気分で師走を過ごしていたら。



 暮れも押し迫ったある日の夜、クロマルがとんでもない人を連れて帰ってきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ