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秘密のクロマル  作者: はなまる
第三章 秘密のクロマル
33/96

幕前

 夢を見た。


 私はすっかり小さくなっていて、クロマルの背中に跨って、見渡す限りのススキ野原をどこまでも駆けてゆく夢だ。


 時折りススキの穂が私の頭をピシリと叩く。


 穂を避けてクロマルの背中の毛に埋めていた顔を上げると、背の高い植物をかき分けて進むスピード感に、目が眩んでしまいそうになった。


 凄い凄い! クロマルはこんなに早く走れるんだ! なんて素敵!


 クロマルの上等の天鵞絨(ビロード)のような毛並みから、オレンジ色の光の粒がいくつも、いくつも立ち昇る。


 光の粒は私の耳元で、パチパチと音を立て弾けて散る。弾けた粒で、私の髪の毛が静電気を帯びたように、フワリと立ち上がる。


「ふふふ、クロマルったら!」


 猫じゃなくて、まるで物語の中の不思議な生きものみたい。


 首の後ろに抱きついて、いつも通りのお日様の匂いをスンスンと鼻を鳴らして吸い込んだ。


 そうか、私はこのために小さくなるのか。クロマルの背中に乗って、一緒に走るために。


 クロマルは、私をどこに連れて行ってくれるんだろう。


 怖くないよ、クロマルと一緒だもん。


 うん、行こう! 風の歌を聴きながら、草の海をかき分けて、どこまでも……どこまでも、一緒に走って行こう。



 そんな夢だった。



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