幕前
本日も改稿しながらキリの良い分だけ、1時間ごとに投稿します。最近すっかりエタりがちな作者ですが、完結済み作品なのでご安心を笑
僕がお姉さんを助ける。
あの雨の日に、そう決めた。
霧が立ち込めるような冷たい雨の中、中学生男子にあるまじき泣き方をしながら決めた。
僕が……。僕が何かしてあげたくて、堪らない。
お姉さんの手が冷たかったら、温めたい。
お姉さんの手が温かくなれば、それで良いわけじゃない。僕が温めたいんだ。
僕の抱いているこの気持ちに、あえて名前を付けるとしたら『見当違いな同情』と『自分勝手な独占欲』だ。
それに、子供っぽい『使命感』が勢いをつけている。
お姉さんが隣の部屋で、泣いているかも知れないと思うと、居ても立ってもいられない。自分でも制御できなくて、持て余してしまう。
いったい、僕はどうしてしまったんだろう。まるで、ゲームの中の状態異常みたいだ。
でも現実には、万能薬もチュートリアルもないし、お助けキャラも見当たらない。やり直しも途中セーブも出来ない。ハードモードでため息が出るけれど。
僕が僕のままでも出来ることが、きっとあるはずだ。