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ゴーストライト  作者: 綿貫ソウ
第三章
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そして僕らは

 いつも怖かった。

 誰かが急に、目の前からいなくなることが。

 いつか離れていくのが当たり前のことだと分かっていても、それを受け入れられなかった。

 ずっと、一緒にいられると思っていた。

 いつか別れるなら、初めから仲良くしなければ良かったとさえ思った。

 ほんとうに、どうしていいか、分からなかった。

「傷つくしか、ないんだよ」

 話をするために公園に行き、ベンチに座ると、志穂はいった。桜が散るみたいに、風が吹くと、枯れ葉がパラパラと降ってきた。

「え……?」

 思わず僕は声をあげていた。

 想定外の言葉だった。傷ついているじゃないかと思った。

「信じて、それでも嫌われていたら、そのとき傷つけばいいの。人間関係なんて、そんなもんだよ、きっと。受け入れるしかないんだ。自分は、誰かから嫌われているかもしれないってことを」

 志穂はそう言うと、僕の顔を見た。

「納得いかないって顔だね」

「そうだね」

 正直、納得できていなかった。

 そんな僕に、志穂は笑った。

「まあでも、そうだよね。これは私の考えだから、正解ってわけじゃない。でも、この世に嫌われない人なんて、いないんじゃないかって私は思うんだ」

 僕は冷静になって、反論した。

「いや、いるよ」

「え、だれ?」

「志穂」

 僕がそう言うと、志穂は馬鹿だなぁと笑った。

「嫌われてたよ。いっぱい」

 そんなこと、なかった。

 志穂は小学生の時から、誰からも愛されていた。男女問わず、クラスメイトは志穂が好きだった。嫌う人なんて、どこにもいなかった。そういう才能を持っているんだと、僕は思っていた。

 志穂はベンチに身体を預けて、空を仰いだ。何かを思い出すように、彼女はいった。

「うん。いっぱい嫌われてた。表だって嫌ってくる人はいなかったけど、普通に陰口とか言われてた。偽善者とか、男好きとか、弱虫とか……。あと何があったか忘れちゃったけど、とにかく嫌われてたんだ、一定の人からは」

 嘘をついているようには、見えなかった。

 彼女を見ると、複雑そうな表情をしていた。

 同じように、僕も空を仰いだ。木々の隙間から、赤く焼けた空が見えた。風が吹いて、木の葉が落ちてくる。

「だからさ」

 志穂は言う。

「嫌われるのは、きっと、当たり前のことなんだよ。それを隠すことも、大人になっていくからあるかもしれない。それでもし、嫌われたと分かったら、ちゃんと傷つくしかない」

 空を仰ぐのを止めて、彼女は僕を見た。

「だから、ちゃんと向き合ってよ。智也くん──」

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