表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あなたはBANです。

作者: ルク穴禁

読みづらい所もあるかと思いますが、ポンコツスマホの仕様です。

ヨシノブは27歳にしてアルコール依存症だ。子供の頃に親から教育虐待を受け、それから学校でイジメを受け続け、人生どうでもよくなったニート。昼夜問わず毎日、居間で痴話喧嘩をする両親。ヨシノブは限界だった。酒に逃げる。両親はヨシノブから酒を取り上げて飲ませないようにするが、自分達に原因があるとは考えも及ばなかった。


そして、ヨシノブは決意する。親のタンス預金20万円を盗み、祖母の家に逃げた。


ヨシノブは祖母の家で安堵し、大量飲酒して気が付くと病院のベッドの上だった。急性アルコール中毒で運ばれた。もう夜だ。


「ここは…………病院?」


ヨシノブはナースコールをしようとしたが、それらしいスイッチなどはなかった。ヨシノブは起き上がり、左腕を見る。点滴を打たれていた。


「ちょっと飲み過ぎたかな」

「誰だ!?」

(誰だって、患者だろ)


ヨシノブは声の方を見るために、カーテンを開ける。4人部屋の窓際だった。他の患者もカーテンを閉めていた。


「あの~。看護師さんは?」

「誰だ!?」

(なんだ、コイツ)


ヨシノブは誰々煩い男の声がするカーテンを開けた。そこには禿げたジジイが、ベッドから身動きがとれないように腰の辺りを拘束具で縛られていた。


「誰だ!?」

「誰って、ただの患者だよ」

「名前は!?」

「他人に聞く前に自分から名乗らないと」

「俺はマイケル・ジャクソンだ! 本物だぞ!」


ヨシノブはピンと来た。コイツはボケ老人だと。短足でスタイルも悪い。顔は貧相な面構え。マイケル・ジャクソンじゃない。てか、亡くなって十数年経つ。


ヨシノブはソイツを無視して、ナースセンターを探す。病室を出て右に30メートルほど行った所にあった。


ヨシノブは点滴を吊るしたキャスターを引き釣りながらナースセンターへ行き、声をかける。


「すみませ~ん! もう大丈夫なんで帰ります!」


すると、1人の男性看護師がドアを開けた。


「外には出られませんよ」

「なんで? もう治ったから。出口どこ?」

「出られないって言ってるでしょ」

「監禁か? 警察呼ぶからな」

「これだから、ホンモノは。精神病患者は家族の了解があるまで出られないの。おとなしくしていなさい」


ヨシノブは絶望した。親が簡単に了解してくれるとは思えない。20万円を盗った報復をするだろう。ヨシノブは厳しい教育虐待で他人を信用出来ない。やったらやり返されると、いつも怯えていた。

(出られないなら他の奴らを殴り殺そう)


ヨシノブはまず点滴の注射針を抜く。そして、点滴を吊るしたキャスターを引き、病室へ戻る。


「誰だ!?」


自称マイケル・ジャクソンのボケ老人が拘束具を外そうと必死になっていた。


「今すぐ、マイケル・ジャクソンに会わせてやるよ」


バキン! ヨシノブはキャスターを振りかざし、ボケ老人の顔面に叩き付けた。ヨシノブは快感を覚える。


「いてーーー!」

「騒ぐな、ボケ老害」


「あの~、ラジオの音が大きいのですが」


他の精神障害者が、騒動を聞き付けて来た。


「お前もか」


バキン! ヨシノブはソイツにもキャスターを振りかざし、顔面を殴る。キャスターは折れ曲がってしまった。


「何事ですか!?」


今度は1人の女性看護師がヨシノブの病室に駆け付けた。2人が顔面から血を流してぐったりしている。


「次はお前だ」

「やめなさい! 警察呼びますよ!」

「おお、呼べよ。監禁しやがって。そんなに死にたきゃ殺してやるもの!」


ヨシノブは、その看護師の顔面を殴る。ヨシノブはまた快感を覚える。


ーーヨシノブは自分の病室に居た他の患者もぶん殴る。しかし、殺せない。殴っても殴っても。


『気は済んだかい』


天から声が聞こえた。ヨシノブはソイツも殴ろうとするが、声だけで姿が見えない。


「警察か!? ぶっ殺してやる!」

『いい加減に目を覚ませ』


ヨシノブに呼び掛けているのは幻聴だ。ヨシノブはホンモノの精神障害者〝統合失調症〟になっていた。すぐになるものではない。長い時間、過度なストレスに曝される事で発症する。


ヨシノブは何が本物で何が偽物か解らなくなって混乱する。血塗れの病室に立ち竦んでいると、両親が面会に来た。

(怖い。親は何をするか解らない。怖い。殺す)


「ヨシノブ! お金を返しなさい!」

「人様に危害を加えたのか!?」


ヨシノブは折れ曲がったキャスターを持ち、ナードな両親の方を向く。


「死ね!」


ヨシノブは両親の頭を数十回殴り、殺害しようとする。快感だ。今まで両親の顔色ばかり伺っていた。それが、ついに、子供の頃から夢である両親殺害を完遂した。

(人殺しって気持ちいいな)


『いい加減に目を覚ませ!』


また幻聴だ。


「どっちが本当の世界だ!?」

『戻って来い! 死ぬぞ!』

「…………数人殺した。俺に居場所はない。最初から居場所なんてない!」


ピーーー。ヨシノブは苦しみながら急性アルコール中毒で死んだ。


ヨシノブが人を殴り殺した一連の事件は、ヨシノブの脳内再生だ。実際には起きていない。死の瀬戸際、生きようとする意志が生死を分ける。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ミステリアスなムードが漂う作品で良かったです。 ヨシノブが亡くなってしまい、残念でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ