#7 花の町カロテ -出発-
仕事多忙でなかなか執筆作業が出来ませんでした。
また、近々現場での作業が忙しくなりますが、執筆活動は続けていきますので、
引き続きよろしくお願い致します。
朝日の光で目を覚ました。
周りを見渡してみると、リゼとフウの姿が見えなかったため、体をほぐすという意味も兼ねて二人を探しに行くことにした。
「元の世界だったらこんな森の中を歩くことなんて絶対なかったよな。というか森の中には虫がいるから入ろうと思わないからな」
この世界は全然虫がいないから散歩には持ってこいな場所だ。
もしかしたらデカい虫が出てくるかもしれないけど、出会ったら側溝で逃げればいい話だから大丈夫だろう。
森の中を散歩する事十分程度経ったところ、頭に何かが乗った感じがした。
「フウか? おはよう」
『……おはよ』
俺は頭に乗っているフウを両手でつかみ胸元で抱きながら散歩を続けた。
「フウ、リゼはどこにいるかわかるか?」
『……最初にいたところ』
体をほぐすことが出来たので、リゼのところに向かう事にした。
『……コウ、逆』
「ごめんなさい」
どこを歩いても景色が変わらないため、軽く迷子になってしまっていたので、フウが来てくれてかなり安心した。
歩くこと数分で元いた場所に戻ってきた。
さっきの場所まで真っすぐ歩いていたつもりだったのだが、知らず知らずのうちに蛇行していたようだ。
「コウ様、おはようございます。どちらに行っていたのですか?」
「おはよう。ちょっと二人を探しに行こうとして森の中散歩していたんだけど、迷子になったところをフウに助けてもらったんだ」
「そうだったのですね。フウ、ありがとうございます」
リゼはフウにお礼を言いながら、コウが抱きかかえているフウの頭を撫でた。
一晩明けてもリゼが近くにいると緊張するのだが、今後、一緒にいて慣れるものなのか正直不安だ。
「では早速ですけど、この後の行動について決めていきましょう。まず、この森を抜けて、ここから一番近い町、カロテに向かおうと思います」
「わかった。ちなみに町とか入るのに必要なものとか、正体がばれない方がいいとか諸注意があれば教えてほしいな」
町に入るためには通行証が必要だとか、門番がいて入れないイメージがある。
後はリゼが町に入れない可能性がある。
町に入った途端、珍しさから不快な思いをさせてしまうかもしれない。
「特にはありませんよ。あえて挙げるとするならば目立ってしまうという事ぐらいでしょうか」
「やっぱりそうか。リゼにフードをかぶってもらえば何とかならないかな」
「いえ、目立ってしまうというのは私ではなく、コウ様の方です」
俺の方が目立つとはどういうことなのだろうか。
服装が目立つというのなら着いてから着替えればいいし、もしかしたら思うことで服装も変えられるかもしれない。
もしかしたらものすごいオーラをまとっているのかもしれない。
流石にオーラはないか。
「コウ様が目立つというのは、その髪の色です。こちらでは、黒い髪は存在しません。故に目立ってしまうというのが一番大きな理由です」
こちらからしたら黒髪が当たり前なので、それ以外が俺にとっては目立つと思う。
確かに髪を染めたりしている人はいるのだが、こっちでは染めていないそのままの色なため、見た感じ全然違う。
「リゼ、髪の色が一番大きな理由って言ったけど、他にどんな理由があるんだ?」
「まず一つ目は顔です」
「顔……そんな不細工か」
自分自身がかっこいいとは思わない。
かっこよかったら彼女が出来ていてもいい気はするが、できたことがないから平々凡々なのだろう。
「違いますっ! コウ様はかっこいいです……はぅ」
リゼは大きな声で否定してくれたのだが、顔を真っ赤にして恥ずかしがってしまった。
そんなリゼを見ているとその後ろからいつの間にかいなくなっていたフウがこちらに飛んできた。
「フウ、なんでこっちに飛んで、うぶっ」
『……かお~』
何故かフウを顔面キャッチするような形になってしまった。
「まあ、とりあえず森から出て町に向かう事にしないか?」
「そ、そうですね。早速向かいましょうか」
『……ごー。コウ、逆』
今現在リゼがどんな状態になっているかわからないが、とりあえず森から出ることになった。
しかし、フウが顔にしがみついているため、前が全く見えない状態なのが非常に困っている。
『……まっすぐ』
どうやら離れる様子がないのでこのまま付き合ってあげることにした。
そんな二人から少し後方を歩くリゼはコウが目立つもう一つの理由について考えていた。
「……コウ様は私がお守りしないと」
「リゼ、大丈夫か? 何かあったら言ってくれ」
コウが目立つもう一つの理由は、そう遠くないうちに、明らかになってしまうだろう。
そして、三人は森を抜けていった。