#4 異世界とエルフと妖精
視界が一瞬で切り替わった。
さっきまで真っ白い空間にいたのだが、本当に一瞬で異世界に来てしまった
「明らかに日本ではありえない風景だな。大自然すぎるだろ」
人影が目立たないように森の中にワープ的なことをしてくれたのだろう。
見渡す限りの大自然に少々戸惑ってしまったが、この世界でも死が存在するため、白い空間でできたことが、本当にできるか確認することにした。
「黒い刃の日本刀……こいっ」
白い空間でやったように黒い日本刀を頭の中でイメージしてみると、右手に先ほどと同じ感触がある。
「よし、問題なしだな。あとはこの世界で死ななないようにいろいろと対策を練っておかないとだな。試したいこともあるからちゃちゃっといきますか」
まずは、衣食住の確保は必要不可欠となってくる。
ここで野宿するのは極力避けたいから、町か村を探さないといけない。
もし、村か町に着いた場合、衣食住を確保するためお金が必要になってくるわけだ。
現状、ジーパンに入っている財布に中身など使えるわけはないだろうから困ったものだ。
「とりあえず試したいことから片づけていくか。まずは、刀の複製はできるかだけど……うん、問題なしっ」
今までと同じ要領で黒い日本刀を作成、いや創造した。
目の前に全く同じな黒い日本刀が5本現れた。
「これで攻撃面には問題ないから、次は防御面をどうにかするか。盾とか鎧とか……後々かさばりそうだし重いからやめておこう。ということで」
周囲を確認して手ごろな石ころを拾い上げ、軽く上に投げる。
そして、その落下地点に入り込み、体全体に薄い膜を覆うようなイメージをする。
この膜はただの膜ではなく、どんな攻撃からも身を守れる絶対防御。
「……よし、痛みは全くなし。物理攻撃は完璧に防御できそうだ。あとは魔法に対して防御できるか試したいところなんだけど、どうしようか」
今の状態ならそう簡単にやられたりすることはないだろうが、念には念を入れて確かめておきたいのだが、こればかりはどうしようもない。
今現在出来ることをやったと判断したので、この森から抜け出すため適当に歩みを進めようとした瞬間、背中の方に何かが落ちるような音がした。
振り返って地面を見てみると、一本の矢が落ちていた、
その矢を見た瞬間、足が震えてきた。
この矢は確実に俺を殺しにきた。
そしてこの矢を射った奴は、俺に対しての殺意がある。
「もし、俺が絶対防御とかせずに、この森から出ようとしていたら死んでいた可能性がある……いや、死んでいたな、確実に」
ここにいる以上、油断は許されない。
油断は死を招くという事は今の一件でよく理解できた。
「おい、今この矢を射った奴。出て来いよ」
矢が飛んできた後ろの方をにらみつけて、いるであろう人物に話しかけた。
「……ごめんなさい。逆なんだけど」
「……えっ」
先ほど向いていた正面から声がした。
確かに後ろからだと思ったのだが、相手は複数人か。
そう思いながら正面の人物の方を見た。
正面にいたのは、腰まで伸びている金髪、抜群のスタイル、そして長い耳。
「エ、エルフか」
目の前には異世界の定番ともいえるエルフが一人弓矢を構えてこちらを狙っていた。
目の前に現れた一人のエルフ。
彼女は一人なのかどうか確証がないため、正面の彼女を見つつ、周囲に意識をまわし警戒を行う事にした。
「他にもいるんじゃないかと警戒しているみたいだけど、ここにいるのは私だけよ」
「……その言葉本当か。だけど矢は後ろから飛んできたと思ったんだが」
彼女が言っていることが本当なら、この矢の説明がつかない。
「それは、こういうことよ」
そういうと矢を上空に射った。
その矢が当たるはずがないため、その矢が当たるはずがないのだが、また後ろに何かが落ちる音がした。
もしかしてと思い後ろを確認すると、矢が落ちていた。
「矢を曲げられるのか、しかも自由自在にといったところか」
「ええ。私たちエルフは風の精霊と契約しているから、精霊の力を借りれば簡単な話よ」
そうなると彼女が言っていることは本当だったという事だな。
『……』
何故彼女が俺を殺そうとしているのかはよくわからないが、森に立ち入ってしまったのが悪かったのだろうか。
『……』
エルフは孤高のイメージが強いため森に入られたくなかったのだろう、そういうことだったら申し訳ないことをした。
『……ふぅ』
さっきからずっと気になっていたんだが、頭に何かが乗っている気がする。
お願いだから頭にスリスリしないでもらいたいんだが、どうにかならないのか。
正直、虫とかだったら嫌だったから何もしなかったのだが、もう我慢できないため、頭にいる何かを両手で捕まえ、目の前に持ってきた。
『……どうも』
「……こんにちは」
頭に乗っていたのは緑色の生物だった。
肌、体全体は緑色で髪の毛は、より濃い緑色で、全長30cmで全長より長い髪を持っている。
どうでもいい情報だが、俺は、長くて綺麗な髪を見てしまうとうずうずしてしまい、いじりたくなってしまう。
人間は自分にないものに憧れを持ってしまうため、異性に惹かれ、恋に落ちると俺は思っている。
そんなこともあるため、腰を下ろし緑色の生物を降ろし、背中を向かせて、手櫛で髪を軽く整え、右手手首にしているヘアゴムで髪をくくった。
「ポニーテール完成、なかなかの出来だな」
『……いい』
緑色の生物は、ポニーテールが気にいったようで、ピョンピョン跳ねながらエルフの元へ向かって行った。
「あなた一体何者なの。人間に精霊が見えるとか触れるとかありえない」
ありえないと言われても、実際に見えるし触れるから何とも言えないのだが、どうしようか。
初めて感想をいただきました。
まだページ数が少ないので頂けると思っていませんでしたので、かなり嬉しいです。
まだまだ皆様の時間つぶしになるような内容を書けてはいませんが、今後ともよろしくお願いします。