表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

#1 1人暮らしの学生と黒猫

とあるアパートの一室で一人の少年は夏季休暇を堪能していた。


クーラーの効いた部屋で漫画を読み、コンビニで買い溜めしておいた駄菓子を食べながらベッドに寝転がっている。


近くには読み終えたと思われる漫画の山と、食べ終えたであろう駄菓子の袋が散乱していた。


彼、小倉光はお気に入り漫画全55巻の一気読みをしていた。


「普段できないことをやるっているのは最高に贅沢だよな」


そんな気分が最高潮な彼の元に二通のメールが届いた。


相手は大学の男友達の謙と女友達の美子からだった。


二人とも小中高とずっと一緒だった腐れ縁だ。


そんな二人からのメール内容を要約すると、『今日は俺の20歳の誕生日だからお祝いを兼ねて宅飲みしよう』というものだった。


「俺、今日誕生日だったのか。完璧に忘れてた」


昔は20歳になったら酒が飲めて、煙草が吸えるとかで楽しみにしていた年齢だったはずだったが、結局はそんなに楽しみではなかったという事だ。


その後の連絡のやり取りで酒やつまみ諸々購入するために、これからコンビニに一旦集合した後に、俺のアパートで宅飲みを行う事となった。


宅飲みは午後7時から始めるらしく、改めて携帯の時間を確認すると、午後6時前だった。


「いや、どんだけ集中して漫画読んでたんだ。暇かよ」


光は読んでいた漫画を本棚に戻し、散らばっていた駄菓子の袋をゴミ箱に詰め込み、シャワーを浴びて、待ち合わせ場所である徒歩5分弱で着くコンビニに向かう事にした。


コンビニへ抜かう道中、

「酒か……ビールにしようか、日本酒にしようか、いや、初めてだからチューハイの方がいいのか」とブツブツ呟きながら歩いていると、目の前を一匹の黒猫が歩いていき、目が合うと歩みを止めてこっちを見つめてきた。


黒猫は不吉の象徴と思っている人が多いと思う。


確かに黒猫は、魔女の使い魔、パートナーとしてよく物語に登場するが、それだけで不吉扱いはどういうものなのか。


猫は可愛い、だから黒猫も可愛い、可愛いは正義、なので、不吉の象徴ではないということだ。


たまたま出会った黒猫と見つめあう事数十秒、黒猫は何度か首を振り再び歩き始めた。


しかし、時折立ち止まりこちらを確認してはまた歩み始めるという事を何度も繰り返している。


「もしかして、ついて来いってことなのか、そんな漫画みたいなことがあるわけないよな」


とは思いつつ、ひょっとしたらという興味本位で着いていくのであった。


黒猫に先導されながら道を歩くというのもなかなか新鮮ではあるが、人見知りしない猫に出会うのもなかなか珍しいものだ。


「アパートでペット飼っていいなら絶対猫飼うんだけどな。逆にこの際ペット可のアパートに引っ越すのもありかもしれないな」


黒猫の揺れる尻尾を見つめながらそんなことを思う光だったのである。


歩くこと10分程、当初の目的であるコンビニになぜか近づいてはいるのだが、黒猫は止まろうとはしない。


どこか目的地があるのか、それともただ単に歩いているだけなのか。


「もしかして俺は猫に散歩してもらっているのか。そう思うとそれもありだな」


人としてそれはいかがなものかと思うが、本人が良ければそれで良いということにしておこう。


そんなことを思っていると、やっと黒猫は歩みをやめ、振り返り一鳴きした。


そこは神社に続長い階段であり、神社まではこの100段程の階段を上らなければならない。


「ここを上れというのか、黒いにゃんこよ、じゃあ君も連れていくからこっちにおいで~」


こうして黒猫を抱き上げ、100段程の階段を上り始めるのであった。


ちなみに頭に乗せて行こうかと思って乗せてみたのだが、重くて無理だったため、普通に抱きかかえて上る事にした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ