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私は今、勇者に

服を脱がされてベッドに押し倒されて、私は頭がパニックになってた。


「やっぱり、思ってた通り素敵です」


頬を染めて瞳を潤ませてそう言われても、なんて言ったらいいのかわからない。


「あわわわわわわ…!」


って変な声しか出てこない。男性とだってまだなのに、初めてが女の子となんて、そんな……!


ああでも、男女のそれとはまた別なのか…?


だけどこれじゃほとんど変わらない気がする…!


とかなんとか。


でももうどうしようもなかった。力尽くて撥ね退けるのも申し訳なくて、体が固まってしまう。


「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。痛いことはしません」


いや、痛いとか痛くないとかそういうことじゃなくて……!


って思ってる間に、唇を重ねられてしまった。柔らかくて、ぷにぷにしてるティアンカの唇の感触が。その上で、覆い被さってくる。


体にも、すべすべで瑞々しい彼女の肌の感触が伝わってきて、私の鼓動は限界まで早くなってた。


「力強い心臓の音。思った通り、勇者にふさわしい…」


少しだけ唇を放してティアンカはそう言う。勇者にふさわしいのはいいけど、これって本当になんなの…?


そんな風に私が戸惑ってると、彼女の肌と触れ合ってる胸の辺りがなんだかあたたかくなってくる感じが。


「私とシェリスタ様の魂の一部が混ざり合います。これからですよ……」


魂の一部を共有してるって、このこと…?


と思う間もなく、どんどん熱くなっていく。熱くて、自分が溶けてしまいそうな。けれど不思議と怖くない。あたたかくて、柔らかくて、満たされる……


「善神バーディナムの<祝福>です。シェリスタ様に、勇者としての力が満たされていきます……」


その言葉通り、熱さの中にものすごい力の塊のようなものを感じた。肌が触れあって熱くなった部分から、私の中に流れ込んできて、私の体がどろどろに溶かされるような感覚もあった。まるで、芋虫が蝶になるためにサナギの殻の中でどろどろに溶けてしまうような。


そうだ。私の体そのものが作り変えられてしまうのが分かる。


これが、<勇者になる>ってこと…?


肌を触れ合わせてるとか、そんなことはもうどうでもよかった。痛みは確かにないけど、何とも言えない感覚に、自分が起きてるのか寝てるのかも分からなくて、上も下も分からなくなってしまう。


だけど満たされる。すごくすごく満たされる。私の隅々までが何かで満ちていく。


幸せ…


そう、確かに私は今、幸せだ。体の中でとてつもない何かがうねり、渦巻き、形を成していく。


私は今、勇者になったんだ。



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