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意外な出会い

はぐれ魔族による襲撃は大変だったけど、ポメリアと一緒に森の中を彷徨うのは、思った以上に<快適>だったかもしれない。


食事も水も、彼女の知恵で何とかなって、飢えたり乾いたりってのがなかったのが何よりだった。


神妖精しんようせい族は森と共に生きる種族だった…だから森は私達の庭みたいなもの…」


そんなポメリアの言葉が私の心を優しく撫でる。


結局あれから、ドラゴンが現れるような気配もない。魔王に操られたドラゴンはきっと、あの時現れたドラゴンに<粛清>されたんだろうな。


しみじみ、ドラゴンにもいろいろ事情があるんだろうと思ってしまった。


で、日が高いうちに移動して、それが傾き森の中が薄暗くなり始めた頃、私達はまた、はぐれ魔族の襲撃に備えるために葉の生い茂った枝を切り、それを組み合わせて簡単なテントを作った。私達の姿が丸見えにならないようにするためだ。


それと同時に、ポメリアが下草の一部を集めて火にくべる。


「この草は、燃やすと匂い消しの役目をする…これで私達の匂いも少しは誤魔化せる…」


だって。匂いで人間を嗅ぎ分けるタイプの魔族に有効らしい。


それでも油断はできないから、交代で仮眠をとることになる。


だけどその時、


「!?、はぐれ魔族…!?」


森の中で何かが動く気配がして、私の体に緊張が走った。


剣を構えて、ポメリアを庇う。


でもその私の視線の先に現れたのは…


「ああ、良かった。やっぱり人だった……」


なんてホッとしたような声を上げながらこちらを見てる、紛れもない<人間>だった。それも、ボロボロの鎧を身に付けた、若い男の人。


「勇者……」


現れた男の人を見たポメリアの口からこぼれた言葉。


「え?」


と私は思わずポメリアの方を見てから改めて男の人を見た。


言われて見れば、ドゥケのそれと同じ鎧。


騎士と勇者は、それぞれ鎧の形が少し違ってた。と言うか、騎士は、騎士としての身分を示すために独特の細工を鎧に施してるんだ。それが目の前の男の人の鎧にはない。


かと言って、戦士のような重装備でもない。動きやすく、最低限の守りをするための鎧でありつつ、それなりに手間を掛けて作られたものだというのは一目で分かる。


だけど、なんで…? なんで勇者がこんなところに…?


「僕は金剛騎士団に同道していた勇者の、カッセルと言います」


その名乗りで、私もピンときた。


金剛騎士団は、今から三ヶ月ほど前に魔王軍に敗れて壊滅したと伝わってきた騎士団だった。その際に勇者も戦死したと思われてたけど、生きてたんだ…


同じ勇者なのにドゥケに比べると何だか変に腰が低くて少し頼りなさそうなカッセルを前に、私は正直、戸惑ってたのだった。



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